2011年10月19日 発売から一年ほど過ぎたころ、ガイギャックスと仲間たちは売上の予測を立て直していた。 [長年日記]
§ [DnD][4e] 『五輪の死影(The Five Deadly Shadows)』
デザイン&ディベロップメント
DDIチームのデザイン方針は簡単だった。カラ=トゥアのシナリオは英雄たちが5人の恐るべき殺し屋を1人づつ倒していく、古典的なカンフー様式のもの。私はそれが好きだったが、プレイヤーとDMがシナリオを進めることでこのジャンルへの理解を深めることを助けられる、より確かな物語の構造が欲しかった。私は殺し屋をそれぞれ、日本の古い行動規範である武士道の徳に関係させることを提案した。後から思えば、これは執筆中、構想の中心線になって本当に私を助けてくれた。
幸運にも私はAD&Dの『Oriental Adventures』、『Hong Kong Action Theatre!』、そして『Legend of the Five Rings RPG』などのRPGをプレイしていた。私の第1目標は他のゲーマーにジャンルの可能性をより深く理解してもらうことだった。私の第2目標は少年時代に観てソファからソファへ飛び移り、少林の達人ごっこをやったカンフー映画の象徴的な場面を再現することだった。
創造の初期段階
普段の私は最初に物語を1ページに書き出してからそれを遭遇に分割する。今回はその代わりに象徴的な要素を想起することから始めた。芸者、忍者、簡素な服に幅広な農夫の帽子を被ったのっぽの男、日本庭園、飛刀、僧院――私はこれらを書きとめ、武士道や殺し屋との対決において楽しめる場面になる追加のアイデアを繋げて書いていった。これは紙2枚分になったので、いくつか物語のアイデアも考え、私はそれを3枚目の紙に書きとめた。これは私が冴えたアイデアを集める気にいっている方法だ。
アイデアを1日置いて落ち着かせてから、私はたいへんおおまかに遭遇を書いていった。私はそれぞれの紙に武士道の7つの徳を書いて、関連しそうな舞台と敵のアイデアを出していった。象徴的な概念と徳にぴったりと合うものを探すのは本当に挑戦的だったが、創造の喜びにあふれたものだった。
私は自分自身へ常になぜそうなっているのか問い続けることで、いくつかの要点を明確にし、私はなぜ5人の殺し屋がなぜそこにいて、英雄たちはなぜ勝たなければならないのかを書き出した。こうして私はさらにアイデアを明確にした。
草稿を書く
私はコンピュータを起動した。私はこの段階で遭遇間の流れを快適なものにするためにも最初から最後までを書いた。私はみんながこのジャンルに持つ象徴的なイメージを想起させるため、遭遇を視覚的に豊かなものにしようとした。私は命名規則、社会的役割、そして民話など、文化の引用も行なった。私は舞台を輝かせるためにも、立ち回りが始まる前にプレイヤーに遭遇を調べさせたかった。
私は現実世界の武士道から格闘技、そして茶室の構造まで、驚くべき量の調査を行なった。こうすることでより強く地に足のついたファンタジーになると思うので、私はこうした調査が大好きだ。
私はいつもモンスターの選択、特にモンスターの外見、生態、そしてパワーで物語を高めたいから、その選択で難儀をする。Dungeonの執筆者は既存の第4版のモンスターを使わなければならないが、ここで私は問題にぶつかった。飛刀、ゲイシャのウーイァン、恐るべき単独のモンク、忍者? これらはいないじゃないか! 私は編集チームが相当品を使わせてくれることを望んだ。ありがたいことに、彼らは必要性をくんでくれ、私に少し特徴的にするよう頼んできた。私はパワーの名前を変更するためにゲームやジャンルの伝承を深く調べた。単独のモンクはAD&Dの『PH』、第3.5版の『PH』、『Sword and Fist』、第4版の『フォーゴトン・レルム・キャンペーン・ガイド』、『Dark Sun Creature Catalog』、『The Plane Below』、そして『ドラコノミコン』から想を得た。私はこのシナリオのために15冊以上のRPG書籍とオンラインのD&D Compendiumを利用した。
編集の審査と最終稿
私が草稿を送ってから約1ヵ月後、私は電子メールで校正と私への質問が入った第2稿を受け取った。私は本業で編集者との共同作業には慣れているので、反応を歓迎した。私の経験則だと編集者はいつも正しく、私は彼らと戦うよりは変化を吸収したほうが学べるということだ。私のオタク心はロブ・シュワルブがオフィスにいてシナリオに目を通したことを知り、大喜びした!
ロブのコメントはたいへん洞察に富んでおり、特にモンスターの設計と調整で助けられた。遭遇にはPCの行動次第でパワーを得られるものがあった。ロブは他の問題と一緒に、私がここで再チャージするモンスター用パワーの書式を使ったことを指摘した。結局パワーは地形の特徴になった。それはそうしたほうがよい動きをして、彼のコメントでさらにいくつかの改善も行なえた。
ロブとクリス・パーキンスは私に単独のモンクを精鋭にして敵か罠を追加するよう提案してきた。私はPCの憎しみが最終的にその敵1体へと集中することが物語を一番盛り上げると思っていた。ロブはこれを読んでいたのか、彼は単独を改善するためいくつかの案を出してきたので、私はそれらすべてを取り入れた。
結論
最初から最後まで、この企画の仕事は夢のようだった。私は最後にDMとプレイヤー双方がカラ=トゥアの雰囲気とそこでの物語と遭遇を楽しんでくれることを望む。私は今2本目のカラ=トゥアのシナリオを書いている。信じられないかもしれないが、次のものはよりユーモラス――『七人の侍』よりはジャッキー・チェン寄りのものだ!
『Dungeon #195』に掲載されたカラ=トゥアを舞台にした東洋風シナリオ、『The Five Deadly Shadows』のメイキング記事ですぅ。どういう流れでシナリオを作っているかが短くまとまっていてわかりやすいので訳しましたぁ。
記事にも書かれているように、『The Five Deadly Shadows』は街の色々な場所に潜伏している殺し屋をひとりひとり追い詰めては殺していくというシナリオだけど、茶会の技能チャレンジ、戦闘しながら敵の術を破る、徳を窮めると文字が浮かぶ衣など時代伝奇風味を高める要素が豊富で、小品ながらよくまとまっていると思うですぅ。
また、精鋭や単独の敵が多いので、これらを利用した遭遇の組み立て方の参考にもなると思いますぅ。