ネコぶんこ


2012年04月17日 「暴政によって突如“普通であること”を強要され、異質な者は不快な思いをするだけでなく、危険な目にもあうことになった」 [長年日記]

§ [DnD][4e][Liber] マイク・ミアルスビル・スラヴィセックロドニー・トンプソンヒーローズ・オヴ・ザ・フォーゴトン・キングダムズ

Amazon.co.jpヒーローズ・オヴ・ザ・フォーゴトン・キングダムズの予約が始まったので粗く内容を紹介するですぅ。

クラス

ヒーローズ・オヴ・ザ・フォーゴトン・キングダムズで紹介されているクラスはウォーロック、ドルイド、パラディン、レンジャーと、ヒーローズ・オヴ・ザ・フォールン・ランズの定番構成と比べたら少し独特だけど、“らしい”クラスがチョイスされているですぅ。

これらのクラスはいずれもヒーローズ・オヴ・ザ・フォールン・ランズと同じようにサブクラスがあり、レンジャーがスカウト(撃破役)、ハンター(制御役)の二役構成になってますぅ。

ここでは、それぞれのクラス紹介をするですぅ。

ウォーロック(へクスブレード)

ウォーロックのサブクラス、へクスブレードは、高次の存在と契約して呪文と秘術の力を実体化させた魔剣を授かる撃破役ですぅ。地獄の契約を結んだウォーロックはデヴィルの力を秘めた光をも吸い込む漆黒の剣ブレード・オヴ・アニヒレーション、フェイの契約を結んだウォーロックは冬の諸侯から抜けば玉散る氷の刃ブレード・オヴ・ウィンターズ・モーニングを授かり、これらの武器と呪文を組み合わせて戦う魔法戦士になってますぅ。

クラスの成長によって呪文を習得し、契約によって武器関係が強化されて相棒がもらえると、秘術クラスらしいやれることの幅が広がっていくデザインになってますぅ。得意分野は攻撃パワーが主に何らかの状態を与えること、汎用パワーが逆境からの脱出を得意にしている雰囲気ですぅ。

伝説の道はレジェンダリィ・へクスブレードで、契約で得る特徴を強化していくには必須のものになっていますぅ。

へクスブレードはダメージ種別を持つ攻撃パワーを基礎攻撃の代わりに行なえるので、特定キーワードのダメージを強化するものと突撃を強化するもの、これらの両方に対応した特技やアイテムで攻撃を強化できるのが強みですぅ。

ドルイド(センチネル)

このゲームのドルイドは自然世界(通常PCが住んでいる世界)の原始精霊たちに働きかけ、世界の均衡を守護する者たちと定義されていて、この本ではセンチネルというサブクラスで指揮役になってますぅ。方向性としては、敵や味方に遭遇中ずっと続く効果を与えるパワー、技能判定へのボーナスや移動能力などで特殊な環境に対応できる能力が強いデータになっているですぅ。

センチネルは1レベルで支援重視の春か攻撃重視の夏の自然の相をどちらか選び、方向性の大枠を決定し、オーラで隣接した敵に影響を及ぼせる動物の相棒を得るですぅ。その代わり、無限回パワーは1つしか修得できないですぅ。

あとはレベルが上昇すると回数が増加する動物の相棒との連携攻撃を表現した遭遇毎パワーのコンバインド・アタック、何らかの持続する効果を持つものが多い一日毎攻撃パワー、自分や味方を強化するものが主な汎用パワーを得ていくですぅ。

伝説の道のステッドファスト・センチネルは順当にセンチネルの特徴を強化したり移動困難地形を無視できるようになる他、変装能力であるア・サウザンド・フェイスなど、これまでの版に存在した要素の再現にも力が入っているですぅ。

パラディン(キャヴァリアー)

宿命によって大義を果たすべく召命された聖戦士がパラディンで、信仰パワー源の防衛役ですぅ。防衛能力はディフェンダー・オーラで敵をとらえ、オーラ内の敵から攻撃されない場合はライチャス・レイディアンスでダメージを与え、味方に攻撃がヒットしたら遭遇毎ではあるもののライチャス・シールドでダメージを肩代わりするという、(ライチャス・レイディアンスがやや癖はあるものの)二段構えの構造になっているですぅ。

攻撃面では、攻撃の目標を決定したところで使用して、ミスしてもある程度のダメージを与えるレベルで増加する遭遇毎パワーのホーリィ・スマイトで敵を討つほか、一日毎攻撃パワーを修得してその場に合わせた動きができるようになっているのが特徴ですぅ。

成長の大枠は信奉する徳を献身と武勇から選択するタイプで、お察しの通り献身が防御重視、武勇が受けた痛みを攻撃に転化させるようになっているですぅ。

伝説の道のヴァリアント・キャヴァリアーでは特に合わせた能力強化の他、自分のレベル以下の病気にかからなくなるなど、やはり旧版のこれはという要素が取り込まれているですぅ。

レンジャー(スカウト、ハンター)

ヒーローズ・オヴ・ザ・フォーゴトン・キングダムズで紹介されるレンジャーは、自然の生き物を真似た動きを原始から、武器の扱いを武勇からと、ふたつのパワー源から力を得ていることで特殊な動きにデータとしての説得力を持たせたものになっていて、撃破役のスカウト、制御役のハンターとふたつのサブクラスが収録されてますぅ。

いずれのクラスにも共通して、動物を手懐けるための判定や足跡の追跡を行なう判定にボーナスを得るなど“らしい”能力を、パワー枠圧迫しないクラス特徴レベルで得られるのは好感が持てる要素ですぅ。

スカウトはドリッズトなど旧版でおなじみの二刀流軽戦士を再現したサブクラスで、命中重視の軽刀剣類かダメージ重視の斧類のどちらを得意な武器にするか、そして動物の動きを真似た構えで移動や攻撃に恩恵を受けるアスペクト・オヴ・~の構えを選ぶことで大まかなスタイルを決めるですぅ。

二刀流による攻撃は、敵に近接基礎攻撃が命中したらトリガーが発生するパワーのデュアル・ウェポン・アタックで再現されていて、突撃しながら斬るなどもできるようになってますぅ。ダメージ強化はヒットしたら武器のダイス分をダメージに上乗せする遭遇毎パワー(レベル上昇で回数増加)のパワー・ストライクでも行なえますぅ。

伝説の道はイントレピッド・ハンターで、移動速度が上がったりぬるぬるシフトしたり、水泳や登攀を難なくこなすなど、移動面での安定性があがっていくですぅ。

ハンターはボウ類かクロスボウ類のどちらかを選ぶと、攻撃の目標にさまざまな効果を与える“遠隔基礎攻撃を行なう”~・ショットの無限回攻撃パワー、アスペクト・オヴ・~の構え、ダメージを増やして敵を動けない状態にする遭遇毎パワー(レベル上昇で回数増加)のディスラプティヴ・ショットを得るですぅ。

一日毎攻撃パワーは持っていないけど、~・ショットアスペクト・オヴ・~を組み合わせて行なう攻撃がヒットすれば、目標を伏せ状態にしてそれに隣接した味方が次に行なう攻撃ロールおよびダメージロールに+1パワー・ボーナスなど、細かく支援していけるので、大物狩りで特に安定した強さを発揮するというのは上手くできているですぅ。

伝説の道のピアレス・ハンターになると、~・ショットが強化される他、ハンターズ・グラスピング・トラップという罠を仕掛けるパワーや各種パワーで面に対する制御能力もやや強化されていくですぅ。

神話の運命:ディスティニード・サイオン

この本には、21レベル以降のどんなPCでも恩恵を受けられるようにデザインされたディスティニード・サイオンという神話の運命が収録されているですぅ。

任意の能力値上昇、攻撃ボーナスとセーヴィング・スローのボーナス、ヒット・ポイントが0でターンを開始したところで回復して立ち上がるエピック・リカヴァリィと、攻撃を自動命中させるアンデニアブル・ヴィクトリィの一日毎パワーと、ヒーローズ・オヴ・ザ・フォールン・ランズのインドミタブル・チャンピオンより攻性の汎用要素でまとめられているですぅ。

種族

ヒーローズ・オヴ・ザ・フォーゴトン・キングダムズに収録されている種族は、悪魔の血を引き地獄の炎を操るティーフリング、地底からやってきたダーク・エルフのドラウ、竜人族ドラゴンボーン、器用でタフなハーフエルフ、強い野性を秘めたハーフオーク、おなじみのヒューマンで、ヒーローズ・オヴ・ザ・フォールン・ランズより個性的な面々が揃っているですぅ。

ヒーローズ・オヴ・ザ・フォールン・ランズと同じく1種族あたりの説明は6ページで、データに加えて身体的特徴、精神性、その種族はどんな共同体に住んでいるのか、典型的冒険者、ロールプレイの指針といった紹介がまとめられているですぅ。

技能

技能の章では技能の使いみちや難易度などがまとめられていて、プレイするときはこれ一冊でもだいたい把握できるようになっているですぅ。

特技

特技はヒーローズ・オヴ・ザ・フォールン・ランズの再録が多いけど、完全新規も13個あるですぅ。やはり前提条件の無いものや能力値を前提にしたものばかりなので1レベルのPCでも最初からたくさん選択肢がある上、武器や装具の種別に応じて攻撃ロールへのボーナスに加えて特典が得られる練達シリーズなど、PCの個性化にも有効なものがそろっているですぅ。○○に加えて△△という特技が多いので、特技の利益を得たと感じる時が多いのもいいところですぅ。

装備と武器

ヒーローズ・オヴ・ザ・フォールン・ランズと同じく、ヒーローズ・オヴ・ザ・フォーゴトン・キングダムズでも鎧、武器、そして冒険で使うための装備が一通り紹介されているですぅ。魔法のアイテムはラックブレードフレイム・ブレイサーズなど、結構ラインナップが入れ替わっているですぅ。

日本語版独自要素

ヒーローズ・オヴ・ザ・フォーゴトン・キングダムズ日本語版にはヒーローズ・オヴ・ザ・フォールン・ランズ日本語版同様、付録としてWotCの公式サイトでプレイヤーズ・ハンドブックのクラスを新書式でサブクラスとして紹介していたClass Compendiumなど、プレイエイド記事の和訳が掲載されるそうですぅ。

これにはおそらくプレイヤーズ・ハンドブックのクラスからウォーロード、ウォーロックが、他にもDragon Magazineからこの本に収録されたクラス用のもろもろが収録されるはずですぅ。

既存ユーザ向け要素

ヒーローズ・オヴ・ザ・フォーゴトン・キングダムズ収録クラスの中ではレンジャー(ハンター)が遠隔基礎攻撃にさまざまな効果を付与する能力なので、冒険者の宝物庫2の矢弾やマルチクラスと組み合わせ、色々なコンボを組む足がかりにちょうどいいという印象を受けたですぅ。

パラディン(キャヴァリアー)も、Heroes of Shadowがあるのでパワーのレベルで攻撃を少し重視したりして、細かく遊べるですぅ。

まとめ

データの読み方は以前書いた『ヒーローズ・オヴ・ザ・フォールン・ランズ』の紹介に譲るとして、ヒーローズ・オヴ・ザ・フォーゴトン・キングダムズからひしひしと伝わってきたのは、神話やファンタジィ小説、映画など他メディアの物語を再現することもさることながら、“ダンジョンズ&ドラゴンズの”ドルイドを、パラディンを、レンジャーを再現することにたいへん心を砕いていることですぅ。

これはD&D Nextについてのもろもろで何度も繰り返されているように、旧版で遊んでいた人が「パラディンは病気にならなくってなあ」という思い出話をした時、それが思い出話で終わるのか、現役プレイヤも理解できてそれをネタに話が転がり、もう一度プレイしてみようかと思わせるフックになるかの分岐点であることを強く意識したものだと感じられたですぅ。

そしてこうやって過去を再現したクラスの中に4eで標準クラスになったウォーロック(へクスブレード)やティーフリング、ドラゴンボーンといった種族が入っているのは、旧交を温めながら“現在の”ゲームも提示しているとも取れ、ヒーローズ・オヴ・ザ・フォールン・ランズが復古の一冊であるならヒーローズ・オヴ・ザ・フォーゴトン・キングダムズはそこから現在のゲームへ繋いでいく意欲を持って編まれた一冊だと位置づけることもできると考えたですぅ。