2012年05月12日 彼らは何かの本で紹介されそうなぐらいめちゃくちゃな連中だが、私にとってはかけがえのない存在だ。 [長年日記]
§ [DnD][4e][DSH] 『報酬(Rewards)』
『The Dungeon Survival Handbook』プレビュー
バート・キャロル今日の『Into the Unknown: The Dungeon Survival Handbook』のプレビューで、私たちはゲームで冒険者が生命を危険に晒す第一の理由を見ていく――聞いたこともないようなお宝を約束しよう!
暗い通路が四方八方に伸びている。静止し、澱んだ空気が一歩づつ注意深い前進によってゆっくりと攪拌される。鎧のぶつかる音と砂利を踏む音が地底深くの部屋では唯一の音だったが、それらが低く反響し続けて耳を惑わす。
次の角を曲がったところにあるかすかな明かりが、通路のこちら側からも見える。闇の中で距離を測る方法は無く、それは遠くの明かり、近くのヒカリダケ、あるいは潜んでいるけだものの目に反射する炎、のいずれでもありえた。仲間を一瞥し、前方に何があるか確認するためパーティのリーダーは開閉式ランタンのシャッターを持ち上げる……。
特別な報酬
もっとも深く厳重に守られたダンジョンでは地上世界で知られているあらゆるものをしのぐ魔法の財宝が見つかることがある。この項では扱う者に神のごとき力を与える魔法のアイテム、力の巻物を紹介する。
ここには4つのダンジョンに関連した――アドベンチャーの物語を強化するのと同時にパーティの役にたつ役割を果たす第2のキャラクターとなる――物語とステータスがまとめられている。
力の巻物
力の巻物はたいへん希少な呪文、祈祷、招力、思念、あるいは呪詛を記した特別な魔法のアイテムだ。神格、エグザルフ、そして大魔術師はによって作成されたこれらのスクロールは、すべての魔法のアイテムの中でもっとも希少かつ強力である。
力の巻物はいかなるキャラクターでも標準アクションで使用することができる。1回使用すれば、その巻物の魔法は消えて二度と使うことはできない。
アイテムの解説
すべての力の巻物には3つの要素がある。
級:アーティファクトのように、力の巻物はある級のプレイのためにデザインされている。
利益:巻物を起動することで発生する効果。
授与:どんなスタイルのアドベンチャーやキャンペーンがスクロールの利益に合っているか。
パワー・ワード・キル
6日の間、混沌のエミリコルはストーム・タイタンのヴォルトゥヌスと戦っていた。裏切りのウィザードは彼が知るすべての呪文を使い尽くし、元素の怒りを巨大な敵にぶつけた。彼は召喚したデーモンにタイタンの肉を引き裂かせ、生の秘術の力でその心を爆発させた。攻撃を受け血まみれになったが、ヴォルトゥヌスは近づいてきた。彼にタイタンの怒りが雨のように降りそそぎ、エミリコルは岩を登りながらぶつかり合う戦いを終わらせようと決意した。ヴォルトゥヌスは雷鳴のように大笑し、ウィザードは死んだものだと思った。しかし嵐が岩を掃除した時、エミリコルは再帰の言葉を叫んだ。ヴォルトゥヌスは悲鳴をあげた。風はうなった。電光が雲を集めた。そしてタイタンは死に、脅威は去った。
最初のウィザードにとって、世界のすべての言葉でも秘術のエネルギーに命令を与えるには不足だった。彼らの呪文学を支える難解な概念を声にするための能力と言葉が欠如していたので、彼らは秘術の言葉――魔法語――を創造し、そこから最初の力ある言葉が生まれた。
すべてのウィザードの呪文には力ある言葉が含まれており、それなしで魔法は効果を発揮しない。それらのほとんどは単体だと無害で、術者が形成した時だけ魔法は顕現する。しかし、わずかなものの中にはただ口に出して言葉を紡ぐだけでも魔法を引き出すのに足りるものがある。
これらのもっとも強力な秘術の効果――パワー・ワード・スタン、パワー・ワード・ブラインド、そして恐るべきパワー・ワード・キル――はこの世界で開放された時非常に危険であると知られている。多くの大魔術師は彼らの手で呪文書を破壊し歴史を修正することで、これらの力ある言葉を秘術の言葉から排除しようとしてきた。力の言葉は失われた、あるいはそうあれかしと彼らは希望した。とはいえ、すべてのウィザードがこの恐るべき秘術の力を手放す気があったというわけではなかった。
級:伝説級
利益:使用者が視認できる定命のクリーチャー1体は死ぬ。そのクリーチャーは使用者のレベル以下でなくてはならない。そして使用者は0ヒット・ポイントになる。
授与:古代のウィザードによって守られたパワー・ワード・キルのわずかな写本は失われたか何世紀もの間秘匿された。冒険者はこうした巻物のひとつを古代の秘術工房、アンダーダークの深淵に埋葬された宝物庫、あるいはたとえばティーフリングによる帝国ベイル・トゥラスや、蛇の王国ザナードなど滅びた文明の忘れられた図書館で発見するかもしれない。パワー・ワード・キルの写本を持つウィザードは肌身離さずそれを守り、巻物が自分に対して使われることを恐れる。
ウィッシュ
死を目前とした神は彼の崩壊した要塞の玉座に腰を下ろし、それがそうなるすべての終わりを思った。彼の子らは彼に打ち勝ち、今や彼に活力を与えていた魔法は消えつつある。時と世界が変転するのはそれらの常だが、彼はもはやその一部ではない。
彼の永遠が潰える時、彼はその力を永遠に刻みつけるために力の巻物を記し始めた。ウィッシュの巻物は彼の迷える信徒たちへ最期に授けるもの――定命の者の手に神々自身の力を委ねる行為だ。
巻物を世界へ放った時、彼は定命の者がいつの日にか深く埋葬された彼の墓所や古いダンジョンでそれらを発見することを予見した。それらが発見される日まで彼は生きていないだろう。しかし薄れゆく命の中、彼はその力が世界に再び変革を与えるという確かな予感だけで満足していた。
世界がまだ若かったころや暁の戦があらゆる場所で荒れ狂っていた時、神やプライモーディアルはいずれも定命の者の忠誠と助力を必要としていた。両者は自分たちの側に信徒を獲得するためできる限りのことをした。武器、鎧、そして神器を与えもした。他にも禁じられた知識――自然な時の流れや現実の法則への干渉などもっとも強力な能力――へ導くこともした。
やがて、ウィッシュの呪文は制御されることなく使われるようになった。その知識を持つ定命の者はアストラル海や元素の渾沌の主たちに挑戦することを夢見始めた。暁の戦いの最終局面で、神々とプライモーディアルたちはそれらの知識すべてを定命の者の記憶から抹消するために戦った。
しかし、このもっとも力ある魔法は、力ある巻物に封じられたまま創造されて以来時に埋もれたものがこの世界に残っている。ウィッシュの巻物の噂を聞いた者たちは絶えずそのありかを探している。幽閉されているプライモーディアルのしもべなど相応しからぬ者が使うことであるじの鎖を破壊しかねないため、神々とプライモーディアルたちの御使いたちも同様にこれらの失われた巻物を見つけたがっている。
級:神話級
利益:このスクロールの使用者は強力な存在に1つ要求することができる。有効な望みの例には以下のようなものがある。自身の強化(使用者が選択した1つの能力値を+4する)、1つのアンコモンあるいはレアの魔法のアイテム、プライモーディアル1体が持つ秘密の名前の手がかり1つ、あるいはアーティファクト1つについて最後に知られている所在。使用者は報酬としてその存在に奉仕しなければならない。奉仕の完遂に関する怠慢には恐ろしい結果が待っている。
授与:ウィッシュのスクロールはエグザルフへの奉仕の報酬として与えられるかもしれないし、伝説に謳われた英雄の墓所で見つかるかもしれない。数柱のデーモン・ロードが世界でもっとも名高い図書館の写字生のように、このスクロールの写本を蔵しているという噂もある。しかし、誰かがそのようなスクロールを持っていることが暴露されることで狂騒が巻き起こり、それを望む者の注意を引きつけるため、誰もこうした噂を確かめることはできない。
バート・キャロル
バート・キャロルは1980年からのD&Dプレイヤー(そしてイラストに色を塗った第1版の『Monster Manual』が好きだった)で、2004年からウィザーズ・オヴ・ザ・コーストで働いている。彼は現在D&Dのウェブサイトのプロデューサで、ヒーローとモンスターについてのブログをhttp://ourheroesjourney.wordpress.comで書いている。君は彼をツイッターで見つけることもできる(@wotc_bart)。
今回の『Dungeon Survival Handbook』プレビューは新しい魔法のアイテム、Scrolls of Powerの紹介で、パワー・ワード・キルやウィッシュなどが新しい形と役割で戻ってきたですぅ。
紹介文が呪文(spell)ではなく“魔法(magic)”なのにぐっときたりするけど、あの時君は若かったという感じで苦笑いさせられるウィッシュの説明文はきわめつけですぅ。