ネコぶんこ


2012年10月01日 農夫の寛容さは、とても絶対的なものに思えた。 [長年日記]

§ [DnD][4e][LnL] 『D&D Nextの魔法システム(Magic Systems in D&D Next)』

伝説と伝承

マイク・ミアルス

時々ブログやフォーラムへの投稿を読んでいると、私たちがなぜゲームの作成作業を速くしないのかと疑問に感じている人たちを見る。実際は、私たちが急いでそれらを出すことを求められるなら、すべてのクラスと種族、モンスターの群れ、財宝の山をプレイテスト用にまとめて出すことができる。その代わり、私たちは6つのクラスと4つの種族を公開し、より多く見られるようこれを何回か繰り返すことを約束しよう。これは何を意味するのか?

私たちは調査と第4版のオンライン・ツールによるデータで4つの基本クラスがもっとも人気あるオプションだと知っていた。私たちがそれらをより正しいものにすることは、みんなを幸せにする。それら4つのクラスも、他のクラスよりはるかに広い幅の概念を表現するものだ。多くのキャラクターはそれらの範囲内でそのあり方を表現できるため、それらは私たちが作成する他のクラスよりも柔軟である必要がある。

また、私は創造的な作業に取り組むさい、気がついたことがある。君が大きな突破口を開くひらめきの機会は、君がより多くの時間を活発な活動に費やし、それらを考えることに時間をかけることでより生まれやすくなる。君が長距離ランナーとして強くなりたいなら、君はランニングを行なうべきだ。同様の理由で、より強いファイターを生み出す最高の方法は、新しい考えがあればそれらを選択したり、実際に動かした結果を見てそれらを設定したりと、こつこつとクラスに手を入れ続けることだ。君がランニングで自己ベストの時間を目標とするたびに、新たな目標を達成できない日が長く続くだろう。ゲームのデザインも同じようなものだ。パックに組み込まれるすべての考えの前には、会議を過ぎてさえ決してものにならなかった多くの残骸がある。

さて、ではこれがどうやって心待ちの人も多そうなモンクやレンジャーがプレイテストに存在しない理由を正当化するのだろうか? その通り、私はおそらくゲームだけにはとどまらないが、うまくいけば面白い試みとしていくつかの基本的な考えを君と共有したかった。それらは呪文発動とそれらがどう機能するかに関係している。

システムかクラスか?

先週、私はプレイテストの結果を書いて、ウォーロックとソーサラーの掘り下げた話については後日に回した。それらのクラスについて語るべきことはまだ多くあるが、私は今週、すべてのクラスは異なる呪文発動システムを持っていることに注目したい。私たちが最初に出した考えは、それぞれのクラスが異なる方法で魔法を使うということだった。いくつかの異なる魔法システムを1つのクラスに詰め込むことは、問題をはらみ混乱の原因にもなるとわかった。この考えは君が異なる魔法の使い方を持つクラスでどれを使うのか調査ができるということでもあった。

私たちがクラスの作業をしている間、1つのクラス内で発動の方法を変える考えは裏に残っていた。君はパックをまたいでもウィザードはそんなに変わらなかったと気づいたかもしれないが、私たちが求め、加えたかった秘術の伝統を適合させるためにかなり時間がかかってしまったのだ。そしてあるところで、私たちは伝統的なものを異なる発動システムにして試してみることを決断した。実は私は伝統的な呪文ポイントと第3版のソーサラーが使っていたシステムを、同じ頃に書き上げていたのだ。この方法ではやはりクラスの持つシステムが不規則になってプレイ中に発生する問題が多くなると私たちは再び突きつけられ、行き詰まった。

私たちの手には困難な問題が委ねられたように思えた。私たちはどうやればクラスをフランケンシュタインの怪物にすることなく、1つのクラスに複数の呪文発動オプションを提供できるのだろう? 実際にはかなり単純な答えだったが、それは視点を変えることが必要だった。

複数の発動システムをクラスに組み込んでプレイヤーに選ばせるより、私たちはより単純にそれらのシステムをDMが決定できるようにした。結局、魔法のシステムは重い。それはファンタジー世界の一部を定義するもので、世界の建造は主に(多くのグループでは完全に)DMの役割だ。なぜDMがそれらを選別し、プレイヤーが使用できるオプションを制限するのだろう? たとえばリザードフォークのウィザードやグレイホークでウォーフォージドのキャラクターをプレイしたいプレイヤーのように、あるシステムを使いたいプレイヤーはDMに質問することができる。

この転換は私たちが抱える困難に見えた問題を解決した。私たちが現在やるべきことは、ひとつの中心的な考えをもとに作成されたシステムのすべてを受け入れられる基本魔法システムを作成することだ。たとえば、すべてのシステムは呪文と呪文レベルの概念の中で機能しなければならない。私たちはシステムそれぞれのためにいちから呪文リストを作り直したくない。シスこのテムは無限回呪文、名前を冠された呪文、セーヴィング・スローなど――ウィザードと秘術の伝統に求められるゲーム要素を扱えなければならない。このやり方の本質は、私たちがモジュール化でやりたいことを含んでおり、まずはいくつかの芯となる考えによって構成された単純な基礎を構築する。オプションのシステムがそれらの定義内で正常にプレイされる限り、1つのシステムを他のものに交換したり、同じキャンペーンで複数のシステムを使ってもきちんと機能する。

唯一変更されるのは、ウィザードの呪文成長表だ。呪文ポイント、スロット、あるいは伝統的なD&Dの発動を使用するにはいくつかの修正が必要だが、君はテーブルに異なるシステムを使う術者を数人抱えても、ゲームは申し分なく機能する。それらの術者が魔法のアイテムを共有することも、呪文を見せ合うこともなども、何の問題もなく行なえる。

発動のモジュール化が使いやすいと確信してもらうための一環として、私たちは世界の背景と雰囲気をそれぞれのシステムで提供する。この方法はすべてのシステムを君のキャンペーン――確執がある帝国と秘術学院は魔法に対して非常に異なる取り組み方をする――に最小限の手間で導入できるようにする。君が雰囲気を決めなおしたり物語を変更したいなら、そうすることもできる。

この突破口は最近開かれたものなので君は次のプレイテスト・パックではそれを見られないが、次々回で見ることになるだろう。私たちがうまくやれば、それはまたD&D Nextのモジュール化されたルールのよい例示になるだろう。

マイク・ミアルス

マイク・ミアルスはD&Dのリサーチ&デザイン・チームのシニア・マネージャだ。彼はレイヴンロフトのボードゲームやD&D RPGのサプリメント何冊かを手がけている。