ネコぶんこ


2023年01月13日 [長年日記]

§ [DnD][5e][Ludus] 海賊の時間……か?

1980年代、ソフトウェアを実行する自由、ソフトウェアを複製する自由、ソフトウェアを配布する自由、ソフトウェアを変更する自由、ソフトウェアを有料で売る自由などを主張するフリーソフトウェア運動というものがリチャード・ストールマンという人を中心に起こり、インターネット文化にも影響を及ぼしながら現代にも続いている一部コンピュータユーザの哲学となっているですぅ。

そうした文化を背景にして1998年、Netscapeがソースコードが開放された自由参加型のソフトウェアとしてMozillaを提唱し、誰もが好きにソフトウェアをいじって育てていこうというオープンソース思想とその文化が花開きましたぁ。

そして上のようなコンピュータ業界の動きをゲーム業界で(A)D&Dの第3版をリリースしようとしていたスタッフが見て、これを真似た形でOpen Game License(OGL)を策定、D&D第3版の核となる部分をSystems Reference Document(SRD)をOGLで配布し、D&Dに好きなものを足していける環境を作ったのが2000年のことで、そこから先はここを読んでいる方もご存じな方が多いと思われるような色々な会社や個人がD&Dで使えるサプリメントやゲームを使ったり、D&Dのバージョンアップに際してはPathfinderが生まれたりしたですぅ。

かくのごとき歴史的背景がありながら、今回WotCが提示してきたOGL 1.1はユーザを保護する名目で誰もが自由に開拓や遊びを行なっていた共有地を囲い込んで鎖に繋ぐようなもので、先人(私はコンピュータ好きでもあるので)の行ないを愚弄するものだなあと感じる次第ですぅ。

OGLとSRDは、もし会社が潰れたりプロジェクトが立ちゆかなくなったり、愚かな意志決定機関に支配されたりしても、ユーザが共有地で勝手にゲームをする自由を確保する方舟の意味もあった決断だったので、起こってほしくなかったことがライセンスを有名無実にする一番愚かな形で現実になるのがまったくもって悪夢のようなものですぅ。

詳報がまだなので実際のOGL 1.1がどうなるかはわからないけど、WotCの告知段階でこれくらいは言えるから書いてやったですぅ。うなぎむらの活動も共有地で好きにやれるからやっているのが九割くらいなので、OGL 1.1で公式にお伺いを立てないといけないようなら、ライセンス関係ない同人誌を勝手に売るようなスタンスで行く予定ですぅ。