2011年07月07日 もしもぼくが、コンピュータ犯罪マニュアルの著者として家宅捜索されたら、貧弱なワードプロセッサーを失っても同情ではなくて失笑を買ってしまうだろう。 [長年日記]
§ [DnD][4e] 8月:『Neverwinter Campaign Setting』
さあこの、『Neverwinter Campaign Setting』! 商品カタログの説明を見てみよう。
超常の災厄によって廃墟と化したネヴァーウィンターは、“北方の玉石”の称号を取り戻すために瓦礫から立ち上がった。市民たちは帰還して再建を行なおうとしているが、影に潜む力たちも自らの目的と復讐を果たそうとしており、それらの誰もが街を混乱させることができる。
ネヴァーウィンターは長い間フォーゴトン・レルムのキャンペーン世界でもっとも人気がある場所だった。この本はプレイヤーたちを政治、不正、そして街に迫る破壊や巨大な危機へ巻き込ませることができる完璧な英雄級のキャンペーン・セッティングである。ネヴァーウィンターとその近傍についての豊富な情報、地図、クエスト、遭遇、そしてステータス――ダンジョン・マスターが彼あるいは彼女の英雄級アドベンチャーに必要なものすべてが提供される。
ネヴァーウィンター・キャンペーン9つの凄さ
固定されたセッティングの詳細を紹介するよりも、『Neverwinter Campaign Setting』はDMがセッティングを改変したり新しいプロットを作ることを重視している。キャンペーンはプレイヤーがそれに深く熱中し、プレイヤーの選択が物語を動かすように設計されている。プレイヤー・キャラクターたちの決断――1レベルからキャンペーン最後の瞬間まで――は、北方の人々、そしておそらくはその地方を越えた人々にとって重要なものとなる。
『Neverwinter Campaign Setting』はいくつかの方法でこれを可能にしている。以下の特徴――本書の第1章で読める――はDMやプレイヤーとしてこの素晴らしいキャンペーンをプレイするための要点である。
1.低レベル
ほとんどのキャンペーン素材はレベルとは無関係に使えるが、『Neverwinter Campaign Setting』では英雄級に焦点を絞って冒険者が直面して乗り越えられる挑戦を提供している。脅威たちはすべて1から10レベルのキャラクターたちが立ち向かえる範囲内で、キャンペーンではそれらのレベルで事件の中心になることができ、そして多くのキャラクターたちは異なるプロットをたどってふさわしい悪役と戦うことができる。
2.キャラクター・テーマ(Character Themes)
プレイヤーは既存のキャラクターをネヴァーウィンターで使えるが、『Neverwinter Campaign Setting』では新しいキャンペーンを始めるのにうってつけの機会を提供する。新しく作られたキャラクターたちは第2章にあるキャラクター・テーマを使うだろう。このキャンペーンのために特化したデザインがなされており、キャラクター・テーマは英雄たちを1レベルからプロットの渦中へ巻き込み、それぞれのプレイヤーに背景情報とキャンペーンの事件に対する動機を与える。
3.キャラクターは影響を生む
ネヴァーウィンター・キャンペーンの英雄たちは影響を生み出し、良くも悪くも状況を変化させることができる。これはセッティングにおける冒険者たちが神話級の存在の下働きに過ぎない悪役を足止めするというわけではない。このセッティングの伝説的な悪役は英雄級でのプレイ用にデザインされていて、有名な英雄であるNPCは舞台裏に引っこんでいる。彼らが望むにしろ望まないにしろ、冒険者たちには彼ら自身しかおらず、彼らの決断は重要になる。
4.辺境の雰囲気
ネヴァーウィンターの破壊は北方を数世紀前よりも荒れた場所にした。人々は街を再建したが、法の及ぶ範囲は狭く騎士団の手は弱いままである。街へ運ばれる食料くらいの単純なものでも死に物狂いの対立と悲惨な事件のきっかけになることができる。そんな場所で、プレイヤー・キャラクターたちのような個人は多くを守る要になるか、馬車から車輪を外させる要因となるだろう。
5.多くの陰謀
誰もが何かを望んでいる。キャラクター、一般人、秘密のカルト、反乱軍、傭兵、移民、暗殺者、侵略者、略奪者、僭王。『Neverwinter Campaign Setting』は多くの組織やノン・プレイヤー・キャラクターに多くの計画を持たせている。英雄たちはこれらの集団すべてと関わりあうことができ、秘密の策を見つけ、時には味方となり、他の誰かを敵にし、そして他の誰かやあるいはそのすべてに対して演技をする。味方は敵になりうるし、敵は味方になりうる。決断するのはプレイヤーたち次第だ。
6.無数の可能性
セッティングは君を混じりあう計画で拘束しない。それは即興で対応できるよう設計され、キャンペーンはキャラクターの力によってどうとでも動くものである。そのために、本のいたるところでサイドバーとして事件が向かうかもしれない方向のアイデアを提供している。それらはときおりシナリオのフックにもなるだろう。それらはゲームで事件に対する異なる解釈やゲーム内にある派閥の異なる目的を提供するかもしれない。どの場合においても、これらのサイドバーにある意見を真実として受け取ってはいけない。
その代わり、君が望むところへそれらを利用するのだ。君にとってそれらの考えがキャンペーンにちょうどいいものかもしれないし、それらは君自身のアイデアにひらめきを与えるかもしれない。
7.物語は続く
多くのセッティングで世界を記述するさい使われ、それが当たり前だと思われていることがある。重要人物はセッティングに必要で、永遠にプレイヤー・キャラクターたちは手を出せない。『Neverwinter Campaign Setting』では毎日変化する世界を見せることでこの状況とは違うところを向いている。キャラクターたちが何もしないなら、何かがまた起こる。彼らがセッティングの大物を追いかけて殺しても、物語は終わらず――より面白くなる。
8.冒険はあらゆる場所に
キャラクターたちがどちらへ行こうとも彼らの追う手かがりが何であろうと、他の冒険や陰謀が角の先には待っている。キャラクターの味方と敵には絡み合う目的があり、英雄たちが注目しなかった事件によって彼らの命が突然絶たれるかもしれない。このセッティングのキャラクターたちには冒険が彼らのところへやってくるか疑問に思って手遊びをしている暇は無い。その代わりに英雄たちはどんなクエストを行なうべきかという厳しい選択をする必要があり、ひとつの冒険を終わらせようとした時、彼らは多くのものに遭遇する。
9.ネヴァーウィンターの向こうへ
冒険はネヴァーウィンターの砕けた城壁で終わらない。絡み合ったキャンペーンのプロットは英雄たちに北方の荒野を探検させるかもしれないし、失われたドワーフ王国ゴーントルグリム(Gauntlgrym)を見つけるためにシャドウフェルの暗がりへ飛び込んだり、遠く離れ魔法に冒されたサーイにさえ行くかもしれない。
『Neverwinter Campaign Setting』のプレビューは次週、7月11日に始まる予定で、キャラクター・テーマの紹介から始まる。私たちはテーマのうちひとつを深く紹介するが、既にこのセッティングが提供するすべてのテーマはここで見ることができる。
テーマ | 説明 | 前提クラス | 前提種族 |
---|---|---|---|
ネヴァーウィンター・ノーブル | 真のネヴァーウィンター継承者 | - | ヒューマン |
オグマズ・フェイスフル | 神格に幻視を授けられた | - | - |
ハーパー・エージェント | ハーパーを裏切ってしまい組織の信頼を取り戻そうとしている | - | - |
デッド・ラット・ディザーター | かつて盗賊ギルドの一員だった | - | ハーフエルフ、ハーフリング、あるいはヒューマン |
イリヤンブルーエン・ガーディアン | 妖精界から帰還したエラドリン | - | エラドリン |
ウスガルド・バーバリアン | 復讐を求める未開の戦士 | - | ヒューマン |
パック・アウトキャスト | ワーウルフの群れから追放された者 | - | シフターあるいはヒューマン |
ヘアー・オヴ・デルズーン | 古代ドワーフ王の血をひく者 | - | ドワーフ |
レネゲイド・レッド・ウィザード | サーイへの忠誠を捨てたレッド・ウィザード | ウィザード(メイジ) | - |
サイオン・オヴ・シャドウ | 領地を捨てたネザリルの貴族 | - | シェイド、シャダーカイ、あるいはヒューマン |
デヴィルズ・ポーン | 地獄の力による刻印を押された者 | - | - |
スペルスカード・ハービンジャー | “呪文荒廃”による“呪痕”を持つ者 | - | - |
ブレガン・ダエルス・スパイ | ドラウの傭兵 | - | ドラウ |
PCゲームでも『Neverwinter Nights』、『Neverwinter Nights 2』でおなじみ、フェイルーン北方の“北方の玉石”と呼ばれたネヴァーウィンターの街を舞台としたキャンペーン・セッティング、『Neverwinter Campaign Setting』のプレビュウが公式サイトのJuly and Beyondで公開されたので、そこを抜粋して訳したですぅ。
この紹介で一番大きかったのは、ネヴァーウィンターは百年前に起こった“呪文荒廃”で壊滅したけど、それは1〜10レベル、英雄級のPCたちが街の政治、不正、危険に深く関わらせ、活躍させるための破壊だということが強く示されたことですぅ。
『NCS』で紹介されるネヴァーウィンターは復興のために人が戻り始めたものの、秩序を取り戻すにはほど遠く、誰もが何かを望んで暗躍と闘争を繰り広げる混沌とした街になっているですぅ。こうした状況の中で『フォーゴトン・レルム・キャンペーン・ガイド』などでおなじみの著名なNPCたちは舞台裏に回っているので、PCたちはさまざまな陰謀劇に直接関わることができる英雄になっているですぅ。
これはシステム面からも、ネヴァーウィンターを継ぐべき者や祖国と袂を分かったレッド・ウィザードやネザリル貴族、デヴィルの手駒など、キャンペーン・セッティングに従って強い設定とモチベーションを与えるテーマの導入や、英雄級のPCが直接倒せるレベルの悪役が用意されているなどの後押しがされてますぅ。
また、DMに向けては設定やプロットはあくまでも素材で、サイドバーで別のプロットを提示するなどして個々のプレイ環境に合わせた物語を作りやすくしていることをアピールしたり、有名NPCにもどんどん手出しして行こうと積極的に打ち出しているのは、フォーゴトン・レルムの既存イメージを破壊して新しいことをしようという意欲を感じますぅ。
短い紹介記事ながら、これを読んでいると三年前に『FRCS』と『フォーゴトン・レルム・プレイヤーズ・ガイド』でユーザ示した道筋を具体的にこうだと実装して見せつけてくる本が出るんじゃないかという期待が持てる紹介になっているですぅ。