2014年07月07日 [長年日記]
§ [DnD][5e][LnL] 『アドベンチャーの構築(Building Adventures)』
幸運にもウィザーズ・プレイ・ネットワーク加盟店の近くに住んでいてD&Dの早売りプログラムに参加できたなら、すでに君はその手に『Starter Set』を持っているはずだ。もし君が私と同じくらいの廃人なら君は既に『Starter Set』のアドベンチャー、『Lost Mine of Phandelver』を既に終わらせているかもしれない。君は次に何をする?さて、私たちは遭遇のデザインとバランスのガイドラインを見てみたいとDMたちの声を聞いたので、今週はそのルールを見ていこう。君はこれらのガイドラインとモンスターを『Lost Mine of Phandelver』の「Appendix B」のモンスターと組み合わせ、キャンペーンを続けることも新たなアドベンチャーを作ることもできる。
注意:これは製品版のルールではない。これらはプレイテストで検証済みだが、君たちの想像通り11月の『Dungeon Master's Guide』で正式公開される前に、少し調整されるだろう。
まず、これらはガイドラインであり、厳格なルールではないことを思い出してほしい。脅威度と経験点の目安はDMが戦闘遭遇や冒険全体の難易度を決定することを助けるための道具だ。しかし、D&Dにはこれらをはじめとした多くの変数があり、すべてのバランスを完全に取るのは不可能だ。経験豊かなDMはしばしば難易度を見渡し、あるいはセッティングやアドベンチャーに応じて必要なだけのクリーチャーと脅威を配置するだけで彼らのキャンペーンを運営できる。
言い換えるなら、こうしたもろもろは私たちが例示するDMをするための助言として扱ってほしい。それが君のゲームをよくするなら採用する。それが邪魔になるなら無視して構わない。
脅威度:モンスターの脅威度はその総合的な力の目安である。一般的なルールでは、モンスターの脅威度がパーティのレベルより高い場合は重大な脅威になる。彼らはキャラクターより難なく圧倒できる能力や、正面からの殴り合いでもキャラクターを倒せるだけのヒット・ポイントを持っていることが多い。
君が故意に困難な――あるいはさらに致命的な――遭遇を作成しようとしないかぎり、クリーチャーの脅威度はパーティにいるキャラクターの平均レベル以下のもので固めるのが最善だ。
経験点:君は戦いの難易度をモンスターの経験点とパーティのレベルを比較することで決定することができる。ここには最新版の経験点の目安表がある。表にリストされた経験点をキャラクターの人数で掛けることで、合計の目安を求めることができる。その目安は君に戦闘におけるクリーチャーの総経験点についてのガイドラインを与える。
レベル | 簡単 | 通常 | 挑戦的 | 困難 |
---|---|---|---|---|
1 | 20 | 50 | 100 | 150 |
2 | 20 | 70 | 140 | 210 |
3 | 40 | 110 | 220 | 330 |
4 | 50 | 150 | 300 | 450 |
5 | 70 | 200 | 400 | 600 |
6 | 80 | 250 | 500 | 750 |
7 | 100 | 300 | 600 | 900 |
8 | 120 | 350 | 700 | 1050 |
9 | 130 | 400 | 800 | 1200 |
10-11 | 150 | 500 | 1000 | 1500 |
12-13 | 200 | 600 | 1200 | 1800 |
14 | 250 | 700 | 1400 | 2100 |
15-16 | 250 | 800 | 1600 | 2400 |
17 | 300 | 900 | 1800 | 2700 |
18 | 350 | 1000 | 2000 | 3000 |
19-20 | 350 | 1100 | 2200 | 3300 |
脅威度対経験点:脅威度と経験点は君が戦闘遭遇のバランスを取るために協力して作用するようになっていることを頭に置くことは重要だ。パーティのレベルより高い脅威度を持つクリーチャーは簡単に目安を満たせるかもしれないが、そのようなクリーチャーはパーティに致命的な脅威を与えることになる。たとえば、オークは450経験点を持つ脅威度2の敵だ。1レベルのキャラクター5人のパーティにとって挑戦的な戦いは約500経験点の相手でなくてはならない。オーガがふさわしいように見える?
しかし、オーガは脅威度2のクリーチャーなのでそのダメージは1レベルのキャラクターを1回のヒットで撃墜してしまう。それは君が1レベルのパーティに決してオウガをぶつけてはいけないということではない。(私がプレイしてもっとも印象に残ったゲームのひとつでは、1レベルのキャラクターとオーガが走りながら戦っていた。)しかし、それは君が厳しい戦い――英雄たちが勝利するためには幸運とさえたプレイが要求されるもの――の準備をしていることを意味している。
恐るべき大群:キャラクターよりも多いことは、ときにモンスターへ大きな戦術的優位を与える。パーティのレベルにふさわしい経験点の目安よりも比較的低い経験点を持つモンスターとぶつかる遭遇を作成したいなら、君はキャラクターの二倍以上のモンスターを出すまでになるかもしれない。しかし、君がホブゴブリンのプレビューを見ているのなら、彼らが集団で戦うとき、低い脅威度のモンスターさえより危険なものになると知っている。そういうわけで、大量のモンスターは遭遇のバランスをゆがめることができる。
これを計算に入れるため、モンスターと冒険者の比率が2対1以上の場合は遭遇の経験点に1.5を掛けること。モンスターとキャラクターの比率が3対1以上なら、経験点に2を掛けること。4対1以上なら、同様に経験点の総計に2.5を掛けること。
冒険の一日:経験則として、あるレベルのキャラクターは大休憩を取る必要が出てくる前に困難な遭遇2回分の経験点に等しいクリーチャーを倒すことができると仮定できる。それは完璧なものさしではなく、冒険の一日は戦略的な要素を受けることでときに圧倒的なものが些細なものに、そしてその逆へと遭遇の難易度は揺れ動くものである。しかし、それはガイドラインとして、パーティの余力がなくなり始めることを予測するためのいい補助輪になる。
即興:このシステムはDMが戦闘の難易度を判断する助けになるようデザインされている。これはキャラクターを作成するときにプレイヤーが特定のルールに従うようにDMがアドベンチャーを構築するときこれらのルールに従う必要はないという意味で、ゲームの中で前提になるものではない。
私は自分のゲームで、モンスターの強さを評価するために脅威度だけを使う傾向があり、遭遇のデザインもそこから即興で行なっている。ゲームに触れて多少の経験があるプレイヤーならばキャラクターが多すぎる敵と戦うのは避け、たむろしているクリーチャーの近くではそっとやり過ごすのが無難なことを知っている。私はアドベンチャーを変換するときは単純に元のステータス・ブロックを第5版のものに交換し、クリーチャーの頭数も元のまま使って脅威度や経験点の目安についても考えないことにした。私は『秘密の工房』のプレイをこの方法で成功させ、さらに第3版でこのアドベンチャーを行なったときの経験を大写しにした鏡のような動きを見つけることができた。
君はこの脅威度と経験点のシステムを第5版の遭遇と戦闘のシステムになれるために使いながら、パーティの強さについての感覚と君だけのDMスタイルを反映させてゆっくりと調節していくことができるかもしれない。そしてあらゆる道具と同じように、君はこれらのガイドラインを作者が決して予測できなかった方法で使うことになるかもしれない。楽しみ、そして自分だけのルールを作ってくれ。
さて、この記事と『Starter Set』にあるものを使って誰かGen Conで20レベルをやってのける猛者はいないものか……。
マイク・ミアルス
マイク・ミアルスはD&Dリサーチ&デザイン・チームのシニア・マネージャだ。彼はD&D第5版のデザインを主導している。彼が他に名前を出している仕事は『キャッスル・レイヴンロフト』ボードゲーム、第4版『モンスター・マニュアル3』、そして第3版『プレイヤーズ・ハンドブック2』だ。