ネコぶんこ


2014年09月20日 [長年日記]

§ [TRR][Oni] リプレイ『鬼の話~ミドルフェイズ:シーン10』

ミドルフェイズ:シーン10・鬼面の男(十五郎)

さて、時は少し遡る。

十五郎、お倫が棲んでいる裏店を鬼面の男たちが取り囲んでいた。 包囲が済んだのを確認すると、闇の中へ手振りで合図をする。そこから出てきたのは、身の丈六尺をゆうに超える鬼面の巨漢。まさに“鬼”にふさわしい容貌だ。

“鬼”が木戸に当て身を食らわすと、戸は襖のように破れ男たちは中へなだれ込む。

しかし。

「待っていたよゥ」

彼らがそうするのを待っていたように、通り過ぎたはずの後ろから声がかかる。

「お倫さんも随分舐められたもんじゃないのさ。だけど、もう好き勝手はさせないよ」

啖呵を切りながら、懐から金山大明神の札をばら撒いて印を結ぶ。鉄火場を離れて数年。勘が鈍っているのは自分でも判るが、数打ちの面で形だけ変じたにわか相手には充分な呪だった。

札に触れた鬼たちは悲鳴をあげながらのたうち、その場に倒れる。

だが、“鬼”には効かないだろう。そういう諦観も彼女にはあった。

同志たちと修羅場をくぐり続けるうちに、いつしか自分の生死も含め、冷静に頭を働かせるようになってしまった。

そして、生き残った者ゆえの計算高さをあの男も持っていた。

それがゆえに充はあの日死に行くしんがりを務め、彼女は生き残り、新太郎を産んだのだ。

「やるな。女」

倒れた鬼たちを踏み越え、“鬼”の声が近づく。

「流石にアンタは殺れなかったか」

それなら次はアタシの番だ。

凍りついた息子の背を押して式を憑かせ、駆け出すよう命じる。できるだけ速く遠くに。

「そろそろアンタのとこに行けそうだよ。充」

GM:お倫は《五行呪:金行》に《広大無辺》を宣言。エキストラの毘沙門組を全滅させました。そして《至誠如神》を宣言し、新太郎がこのシーンから退場するための判定をクリティカルで成功させています。そして、PCが登場可能になります。

十五郎:「お倫さん!」と言って飛び込む。

銀次郎:「待ちねぇ、お侍! ひとりでツッコんじゃいけねぇ!」と突撃する十五郎に追いすがりながら登場。

“鬼”/GM:「お前を片付けたら餓鬼も纏めて送ってやるさ。女ァ!」“鬼”は背中から野太刀のような剣を抜き放つと、地面に叩きつける。

十五郎:“鬼”を見て戦闘態勢に。初めて見る妖異ですが、明らかに人じゃないんでしょうか?

GM:その気配は人というより獣に近く、野太刀のように見えた得物は奇っ怪にも蛇のように折れ、宙を這いながらお倫の方へと迫る。

十五郎:柄に手をかけたまま、一瞬気圧されます。「ば、化けものッ!!」

GM:“鬼”は《疾風怒涛》を宣言します。マイナーアクションで鬼甲自在刀を装備し、メジャーでエキストラのお倫を殺す。

銀次郎:《不惜身命》でダメージの対象をこちらに変更。一撃を身体で受け止め、ニヤリと牙を剥いて笑います。瞳は黄金色にランランと輝く。「させねぇよ」

GM:ダメージは〈斬〉の26点です。

銀次郎:〈斬〉だと9点止めて17点通るか。《どこ吹く風》でさらに7点減らして10点のダメージいただきます。

十五郎:「こっちも化け物!?」と打撃に耐えた姿と金色の瞳を見て、思わず口にする。

三日月:「狒々男! 三度笠の!」そこに一足遅く駆け込もう。「……わかったかい、狒々男。あんた、もう引き返せないよ。それでも先に行くかい?」

“鬼”/GM:「これはとんだ邪魔が入ったなァ」剽げた調子で鬼は呟く。

十五郎:「三日月の、ひとつだけ教えてくれ」震えを抑えて尋ねる。「こいつら、刀で切れるのか?」

三日月:「やってみりゃわかるさ。ただ、銀次郎の鼻が本物なら、あんたならこいつを斬れるさ。だから、覚悟を問うたのさ」

十五郎:震えが止まる。「……そうか。切れるのか。なら、なんにも問題ねえ」

銀次郎:「お侍、覚悟をお決めなせぇ。アンタさえその気ならきっと鬼でも妖かしでも斬れますぜ」《妖怪変化》を解除して白銀の人狼に変化。

三日月:「覚悟は決まったようだね。なら、あたしも本来の姿に戻るとしますか!」と言って、タイムレシーバーを掲げて《天狗変》します。

貞親:「……あー、みんな鼻息荒いねえ……荒事は苦手なんだけど」

“鬼”/GM:「おお、おお。怖ェ。まさに多勢に無勢だ」

十五郎:「妖怪だが化け物だか知らないが……、素ッ首叩き落とされて、まだ動けるなら動いてみやがれ!」

“鬼”/GM:「頭に血が上った奴らの相手をするほど俺ァ身の程知らずじゃねェよ」そう英傑たちに吐き棄てる。「使えねえ手下どももくたばっちまったしな」

貞親:「お、退く気かい? そいつはありがたいが、ちょっと困るねえ」

三日月「…引くつもりなの?」

銀次郎:「待ちな外道。おめぇさんなにもんだ?」グルルルと唸りながら詰問します。

“鬼”/GM:ふっと嗤い「八刃破りのォ。お前さん、鼻ァ利くようだが甘ェなァ」と銀次郎に言います。

銀次郎:「なんだと?」

GM:銀次郎と三日月は【知覚】難易度10で判定を行なってください。

銀次郎:こちらは成功しました。

三日月:失敗ですね。

GM:銀次郎は面の隙間からのぞく目元や口調で判断できましたが、この“鬼”、金剛童子の中にいるのは拝み屋の丈です。

銀次郎:「てめぇ……冗談じゃねぇぞ……!」と咆哮します

丈/GM:その咆哮で面の左目あたりが割れ、丈の顔が覗きます。「いやぁ残念だ。手下が殺られてなけりゃ旦那も今頃は首ッ玉になって八方丸く収まってたんですがねェ」

銀次郎:「はなっから何もかもてめぇのイカサマ芝居だったってことか!」

丈/GM:「何をおっしゃる。俺ァ旦那には本当の事しか言ってませんぜ。“毘沙門組が蘇った”のも“金剛童子が生きてた”のも全部本当のことですヨ。俺ァ嘘をつくのが苦手でね」鮫のように笑う。

三日月:「まぁ、「金剛童子が全部同一人物」とは言ってないからねぇ。嘘をつかない代わりに肝心なことは言わない。詐欺師のよく使う手さ」

丈/GM:「さすが三日月の姐さんは話が早ぇや。しかし、八丁堀まで動いてるとなりゃあまた図面の引きなおしだ」

銀次郎:「さすが口先三寸の拝み屋丈だ。褒美にその舌引っこ抜いてやるから覚悟しな」怒りに燃えた瞳で睨み返します。

丈/GM:「しかし残念だが、ここは退かせてもらいやすぜ」《神出鬼没》を宣言。屋根に飛び移るという演出でシーンから退場します。

十五郎:青龍の剣客には何もできないので、唸ってよう。

銀次郎:奥義を使われては追うのも詮なきこと。お倫さんの確保が先なので追跡は諦めます。

十五郎:「お倫さん、しっかり!」

三日月:じゃぁ、三日月の姿に戻ります。「逃げられちまったね……丈のやつにまんまと一杯食わされたよ!」