ネコぶんこ

霜の巨人たちを撃退し、炎の巨人と共闘することになったパーティは長老のつかいとして、炎の巨人たちをまとめる最も強い族長のもとへ赴くことになった。200マイルほどの距離もサーシャのグレーター・テレポートを使えば一瞬である。

やってきた炎の巨人の町もさきほどまでの村と同じく、戦士たちは武器を帯び、そうでない者も町の囲いを補強している。少し違うところといえば、道端で傷痕も生々しいままに寝転がる難民たちの姿。しかし、どう見てもいい様子ではない。

通行人に話を聞くと、霜の巨人から炎の巨人への襲撃はいたるところで起こり、家族ほどの規模しかない集落の者たちが命からがら族長がまとめるこの町へ逃げ込んできているらしい。

混乱した状況だが、村から同行した小さい人の使者が長老に伝えられたとおり“村を襲った霜の巨人たちをたった四人で皆殺しにして助けてくだすった英雄”たちを族長に紹介したため、すぐに面通しがなされた。

族長も村の長老と同じように、霜の巨人たちはいつものように散発的な攻撃ではなく、数を揃えて同時に多くの集落を襲っていると語った。しかも、同じような性向を持ちながら、火の力を持つために永年の仇敵だったはずのレッド・ドラゴンまで霜の巨人に加勢しているという。

そして、長老が最も不審に思っているのは、群島のちょうど半ばほどにある活火山で、炎の巨人たちの聖域である島、“とこしえの灯火ともる山”を霜の巨人が襲い、占拠してしまったということである。確かに、士気をくじくには聖域を汚してしまうことが手早いかもしれないが、彼らは逃げ出す山の巫女たちには目もくれず山の神殿に入り、その直後に山は吹雪に閉ざされているという。

霜の巨人たちの動きが不審だというのもあるが、神殿を奪われっぱなしでは他の者たちに示しがつかぬと族長はパーティに助勢をあおぎ、彼らもそもそも聖域の奥に消えたハビール老師を追うため、最悪の場合は炎の巨人たちを出し抜いてでも入らなければならなかったために利害が一致。族長が3日後に船を出して島を攻めるのでそれを陽動として神殿内部へと直接テレポートし、神殿を乗っ取り返すことになった。

3日の間はリリシアが部族の若者と試合をして実力を認めさせたり、サーシャが大事なものと言って保管を頼んだジェム・ジャンプの宝石をニシンの塩漬け樽に保管されそうになったり、イーグルオウルとサーシャが威力偵察を兼ねて島へ飛ぶと、謎の空を駆けるトカゲのような生命体と遭遇し、コール・ライトニングのセーヴでサーシャが1を振って雷撃が頭に炸裂してサークレット・オヴ・パースウェイジョンを壊しかけて「これ壊れたら大陸に帰る」と言いかけたりもしたが、大過なく過ぎた。

ちなみに、イルダーナフがコンタクト・アザー・プレインで名状しがたい何者かに問うたところ、「あれはストーム・ドレイクである。およそ汝ら3人前……手早く云えば30HDほど(プレイヤ曰く「フランクすぎる」)を持っておる竜の一種じゃ。特に属性を持つ生命体ではないので、何か吹き込んでるやからを倒せば〈交渉〉の目もあるのではなかろうか」という応えが戻ってきたため、とにかく神殿の制圧を最優先目標とし、神殿内部を心に浮かべるためにパーティは疎開している巫女に取材を慣行し、神殿内部の様子をつかんだ。他にも神殿のことを聞くパーティに巫女は、洞窟を改装した神殿には彼女と世話のもの数名しか住む場所は無いため、いくら吹雪で気候を最適化しているとはいえ、霜の巨人たちは島の入り江にある村にほとんどが居るのではないかと言った。

そして、作戦当日。族長と戦士たちは船の上から敵の船を狙って投石をし、村を占拠している霜の巨人たちを誘い出した。その様子を見て、パーティはインヴィジビリティ・スフィアーで身を隠し、神殿へとグレーター・テレポート。巫女の私室だった部屋へと出現した。

すぐ横に神殿の大広間がある巫女の部屋周辺を警備していたのは、アイス・デヴィルことゲルゴン。しかし、〈Iaijutsu Focus〉つきリリシアの初太刀と、ゼロット・パクトの乗ったイーグルオウルの一撃必殺で塵も遺さず純粋な光へと還元されてしまう。
「アルヴァー(ゲルゴンの名前)！」
「手前ェらどこのモンだ。あいつは、アルヴァはなあ。今月やっとゲルゴンに昇進できたんだ」
「物質界に配属されたからって嫁さんに指輪まで買ってよお」
「いい奴だった。お前の仇はこの槍にかけて取ってやる」
「毎度NPC死んだ後にいい奴だった演出入れるのやめてよDM」

さて戦闘が始まり、ゲルゴン3体とマレブランケを相手にするためイーグルオウルとリリシアが前に出たところで、トゥルー・シーイングとミラー・イメージで準備を固めたニュカロスが後ろの術者ふたりにデスラー戦法をかけ、さらにダメ押しとばかりに別の部屋からアダルト・レッド・ドラゴンとギスヤンキ、フロスト・ジャイアントたちが出現する。だがマレブランケとゲルゴンはリリシアの《大旋風》クリティカルであっさりと壊滅し、イルダーナフのディクタムで敵の多くが無力化され、自らを無理やり従えていた乗り手を殺されたドラゴンも遁走した。

ディクタムに耐えたニュカロスはサーシャに一矢報いんと攻撃を試みるが、ビナイン・トランスポジションでリリシアに入れ代わられてしまう。
「もうここは保たん。撤退だ」
「俺にも意地ってもんがあります。指令だけでも先に」
「馬鹿が。そんな忠言を聞く将帥がいると思うてか！」
「俺の生き様、見ててくだせえ！　いずれ、また！」

広間の惨状を知ったニュカロスの司令官は撤退を命じたが、ただひとり残った部下のニュカロスはリリシアに飛び掛り刀の露と消える。そして、指令にもイーグルオウルが飛び掛り、腕ひとつをその掌から付け根までドリルで唐竹割りにする。が、ふたつに割れてべろりと垂れ下がった腕は即座に修復された。

どす黒い血を振り払って瞬間移動の印を結ぶ間際、悪鬼の口がにいと微笑みとも憤怒ともつかぬ形に歪むと、パーティに向かって開かれる。
「部下たちの礼はいずれさせてもらう。久々に良い戦争ができそうだ」