2011年07月09日 一方では貧しく権利も奪われた者たちが街角に流れていき、また一方では豊かなコンピュータを装備した者たちが、安全な寝室からモデム越しにおしゃべりをする。 [長年日記]
§ [DnD][4e] “奈落の疫”(The Abyssal Plague)
デザイン&ディベロップメント
生が営まれている既知次元界の向こう側にある暗黒の次元で、“鎖に縛られた神”は開放を渇望している。彼は意思を死して久しい宇宙の残滓に吹き込み――銀の蔓と金の斑に真紅の液体を流し込み――彼はこの鎔けた結晶を彼の道を準備するため諸世界へ流出させた。しかし彼の意思だけが“虚無の禍”を動かしているわけではない。
“虚無の禍”の力に染まったドラゴンのヴェスタパルクはネンティア谷へ“奈落の疫”を広めるために、デーモンの僕たちを組織した。だが脅威はひとつの世界で終わってはいない。フェイルーンとアサスもその世界に出現した穢れしデーモンと凶悪な悪疫を相手にせねばならない。“虚無の禍”は多元宇宙を喰いつくすのだろうか? “鎖に縛られた神”は開放されるのだろうか? あるいは不世出の英雄が“奈落の疫”に終止符を打つだろうか?
“奈落の疫”はダンジョンズ&ドラゴンズの多世界に渡る事件である。7つの長編と5つの中編は3つの世界に渡る物語を綴り、その見えざる手は『Monster Vault: Threats to the Nentir Vale』や将来のD&D Encountersといったロールプレイング商品にも伸びている。
ドン・バッシングスウェイトの小説、『The Temple of Yellow Skulls』(Kindle版)は今月(訳註:2011年3月)上梓され、“奈落の疫”は真に開始される。ビル・スラヴィセックの『Mark of Nerath』や『Heroes of the Fallin Lands』や『Heroes of the Forgotten Kingdoms』でおなじみのキャラクターたちは『Yellow Skulls』に戻ってくる。エラドリン・ウィザードのアルバノン、ヒューマン・ファイターのシャラ、そしてハーフリング・ローグのウルダン。謎めいたデーモンに憑依されたヌ・アリン、そしてグリーン・ドラゴンのヴェスタパルクも舞台へと登る。災いを告げる双璧として。
“奈落の疫”は少しの実験でもある。私たちは異なる小説のシリーズを繋ぐ事件を作ることができるか知りたく、ひとつの世界に熱心な読者が他の世界を舞台とした本をもっと読んで欲しいと思っている。私たちはまた小説とゲーム製品にまたがる事件、小説の読者からロールプレイング・ゲーマーまで多くの層への共有体験を作りたかった。その試みはまだ完全な実現はしていないが、われわれが将来的にそこを目指しているのは確かである。
タリズダン、その起源
私たちがD&Dの世界にまたがる物語を探し始めた時(それがスーパーマンの信頼が重圧となる事件にスパイダーマンを投げ入れるこっけいなマッシュアップ・コミックになることのないよう)、結局私たちはD&Dの歴史から“鎖に縛られた神”、タリズダンを引き揚げて要点を描くことにした。ゲイリー・ガイギャックスが1982年に作成したシナリオ『The Forgotten Temple of Tharizdun』で、“鎖に縛られた神”は明らかにH・P・ラヴクラフトやクラーク・アシュトン・スミスといった作家によって創造された有害な古代神の影響を受けていた。モンテ・クックの『邪悪寺院、再び』(2001年)は『Forgotten Temple』の神話を下敷きにしてタリズダンを造形し、それが旧き元素の目と呼ばれ、中心的な存在になっていた。
第4版で、私たちはタリズダンに宇宙創世の鍵となる役割を担わせた。『モンスター・マニュアル』で記述されているように、タリズダンは純粋な悪のかけらを元素の渾沌に渦巻く大渦へ植えつけてアビスを創造したのだ。彼の罪への罰として、他の神々は彼を次元界の外にある牢獄へ幽閉した。
そしてこれは“奈落の疫”という事件の始まりになった。私たちは物語を組み立てるさい、タリズダンの牢獄が実はアビスが成長しきって宇宙のすべてを呑み込み、死滅した宇宙の残骸だったと決めた。因果応報という神の理を示すため、神々はタリズダンを彼自身の罪で彩られた宇宙へ幽閉したのだ。
タリズダンは、逃れようとしている!
『The Gates of Madness』で(君はまだ読んでない、なぜ? それはここから無料で読めるのに!)、タリズダンの狂信者たちは“生ける門”のかけらを使って“大門”を開こうと試み、“虚無の禍”が流れ込むのに充分な広さを持つタリズダンの牢獄への窓を開いた。
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上の文章を打ち込む時に私はオタク的な喜びでうち震えていた。“大門”はブルース・コーデルのシナリオ『The Gates of Firestorm Peak』(1996年)に初登場し、そこでそれは“彼方の領域”がシナリオに出てくるダンジョンに影響を及ぼした原因とされていた。“生ける門”は『プレイヤーズ・ハンドブックIII』と『The Plane Above』(2010年)で初登場した――“彼方の領域”へと通じる奇妙なアストラルのポータルで、時が始まる頃にペイロア、アイウーン、そしてタリズダンによって発見された。“生ける門”の崩壊によってシャードマインドという種族が生まれ、サイオニックの歴史にも大きな事件を起こした。
そして狂信者たちは“生ける門”のかけらで“大門”を開こうとした。結果、彼らはタリズダンの牢獄に小さな窓を開けた。
タリズダンは彼の狂信者たちが“大門”の力を高めるために使うことができるだろうと考え、“虚無の禍”を窓から流出させ――そして最後にはポータルを広げきり、タリズダンは牢獄から脱出しようとしている。
しかし、しばしば起こることだが、いくたりかの冒険者たちがその 恐るべき計画の裏をかいた。“虚無の禍”が狂信者たちを知らないうちにデーモンへと変性させた時、冒険者たちが乱入し“大門”を破壊した。
続く混沌で、デーモンたちと他の“虚無の禍”の断片は宇宙のいたるところへとばらまかれた(ヌ・アリンはポータルを開いた狂信者のひとりで、“虚無の禍”によって定命の肉体に寄生する液状のクリーチャーに変性していた)。“虚無の禍”を収めた小瓶は冒険者によって世界、フォールクレストのウィザード、モーリンの塔へと持ち帰られた。
そして
『Mark of Nerath』の続編である『The Temple of Yellow Skulls』はよりよくなるが、冒険者たちは“虚無の禍”をしっかりと脅威として認識する。小説の冒頭、3人の冒険者たち――シャラ、アルバノン、そしてウルダン――はフォールクレストに逗留しており、もちろん、即座に冒険へ向かう。その途中、彼らはネンティア谷の地図上で、本に名前を与えた注目の場所を訪れる。短編で創設されたとこで、彼らは警戒騎士団最後の生き残りと主張するクレリックのキリ・レドシャールに出逢う。
その次に何があるか? それなら、『The Temple of Yellow Skulls』の立ち読み版をダウンロードし、読んでいただければ、私は君が引き込まれると思っている。我らが英雄たちと警戒騎士団――そして君は荒野を駆けるだろう!
ジェームズ・ワイアット
ジェームズ・ワイアットはウィザーズ・オブ・ザ・コーストのR&Dでダンジョンズ&ドラゴンズのクリエイティヴ・マネージャーを勤めている。彼はダンジョンズ&ドラゴンズ第4版のリード・デザイナーであり、第4版『ダンジョンマスターズ・ガイド』の著者代表者でもある。彼はさらに『エベロン・キャンペーン・ガイド』にも貢献し、著作にはエベロンを舞台にしたダンジョンズ&ドラゴンズの小説も何作か存在する。
Twitterのほうで知りたいとtweetした方もいたので、2010から2012年にかけて行なわれているクロスオーバ企画“奈落の疫(The Abyssal Plague)”の紹介記事、『The Abyssal Plague』を、冒頭部分を訳してくださっていたからくりさんのサイトなどを参考にして訳しましたぁ。
クロスオーバといってもネンティア谷、フェイルーン、アサスがそれぞれタリズダンの侵攻に立ち向かうというものなので直接の関わりはなく、製品展開のトーンを合わせるためのものという印象ですぅ。
小説は以下のものが関連しているですぅ。
Prelude
- R.A. Salvatore『The Ghost King』(フェイルーン)
- Bill Slavicsek『The Mark of Nerath』(ネンティア谷)
- Jeff Mariotte『City Under the Sand』(アサス)
- Richard Lee Byers『Whisper of Venom』(フェイルーン)
- Tim Waggoner『Lady Ruin』(エベロン)
これらは“奈落の疫”と直接関係はなく、存在がほのめかされる程度のものですぅ。
これらには、『The Gates of Madness』の章がひとつづつ挿入されているですぅ。
Origin
- Bill Slavicsek『The Mark of Nerath』(ネンティア谷)
- James Wyatt『The Gates of Madness』
『The Gates of Madness』では、タリズダンの視点を交えながら各世界が侵攻される様子を描いているですぅ。
The Plague Strikes
- Don Bassingthwaite『The Temple of Yellow Skulls』(ネンティア谷)
- James Wyatt『Oath of Vigilance』(ネンティア谷)
- Don Bassingthwaite『The Eye of the Chained God』(ネンティア谷)
The Plague Strikesはネンティア谷を舞台にした三部作で、物語も連続しているですぅ。
The Plague Spreads
- Bruce R. Cordell『Sword of the Gods』(フェイルーン)
- Keith R.A. DeCandido『Under the Crimson Sun』(アサス)
- Erik Scott de Bie『Shadowbane』(フェイルーン)
The Plague Spreadsはフェイルーンとアサスでそれぞれ別の主人公が“奈落の疫”と戦う物語ですぅ。
最後に、『The Gates of Madness』の冒頭を訳したファイルがあったのでくっつけておくですぅ。
“鎖に縛られた神”は語り、“先住者”は囁き返す。
「開放を」“鎖に縛られた神”は続ける「すべての滅びを」
「滅びを」“先住者”が囁くと、無間の“鎖に縛られた神”の牢獄にこだまする。
“鎖に縛られた神”は闇と骨で手を形作って輝く液体へと指を伸ばした。その光は彼を形成する闇を流れる血となる。
「彼らは血に溺れる」彼は言った。
「血に」“先住者”は囁く。
彼の指が液体の表面に触れるとそれはにわかにざわつき、骨に巻きつくと、物質に飢えていた彼の影とひとつになった。
ふたたび“鎖に縛られた神”はそれが何だったのか、それが何になったのかを認識した。彼はそれがすべてを喰らい尽くし滅びゆく世界を、虚無のみが在る彼の牢獄を後にすることを想った。
「そうだ、それはある」そう言った彼の言葉は、虚無の中で唯一の音だった。
「すべてを滅びへ」“先住者”は囁いた。
TwitterでSHINYA Akihikoさんから指摘を頂き、Preludeについての記述を修正しましたぁ。ありがとうございますぅ。
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