2012年02月27日 リチャードのゲームにはそんな彼自身の内面も反映され、ゲームに登場するキャラクターとプレイヤーは試練の内容も明らかにされないまま善悪のジレンマに陥り、身動きが取れなくなっていく。 [長年日記]
§ [DnD][4e][LnL] 『ヴァンスを含めて次へ(Putting the Vance in Advanced)』
伝説と伝承
ゲイリー・ガイギャックスは幻想小説を愛していた。私が好きなゲイリーが関わったTSR草創期の逸話に、レイク・ジェニーバの書店でサイエンス・フィクションと幻想小説の棚を漁っていた時のものがある。彼は買おうと思った本をたくさん持っていた。同じような荷物を抱えてもうひとりやって来た。ふたりは共通して持っている本やそのほかの物について話を始めた。会話が終わるまでに、ゲイリーはその男に新しい会社での仕事を持ちかけた。その男、ジェームス・ウォードは、仕事を請けるだけでは無く何十年も会社に留まって、直接あるいは間接的に、今日までのゲームを形づくる何百もの素晴らしい製品を送り出してきた。
そう、小説はゲイリーにとって大切なものだった。
彼はジャック・ヴァンスの作品を愛していた。ヴァンスは多くの小説をものしたが、D&Dにとってもっとも重要な作品は『終末期の赤い地球』シリーズだろう。これらの作品の魔術師は、“無敵火炎放射術”のような名前の魔法を準備する。これらの魔法は熟練した魔術師でもその複雑な構成要素――言葉、動作、そして神秘的要素――をわずかな数しか彼の頭脳には記憶できない。そして、少なくともゲイリーはそう解釈したのだが、一度使えばその呪文を再び準備するまで忘れてしまう。
そしてこれはD&Dが“ヴァンス風”の魔法システムを得た瞬間である。ウィザード(あるいは他の呪文使いほとんど)はあらかじめ彼らの呪文を準備し、使ってしまえばそれを忘れる。
ジャック・ヴァンスは偉大な小説家だが、D&Dは『終末期の赤い地球』ロールプレイング・ゲームではない。回顧主義以外のいくつかの理由で、私たちはヴァンス風の呪文発動をゲームに戻すことについて考えている。それはゲームプレイのためになる。それは呪文使いにどんな呪文を使いたいか事前に考えさせる。いいかえれば、冴えたプレイが報酬になる。君がキャラクターを最適化するためにはどんな冒険を行ないたいのか考える必要があるが、それはしばしば計画と調査を必要とする。ただしそうしたプレイを好まないプレイヤーも存在する。一部のダンジョン・マスターはそれに報いない。そして一部のプレイヤーは彼らの呪文を慎重に使いたいわけではない。
これらを考えると、私たちはヴァンス風の呪文発動をゲームの中にある一種類の魔法形式にしたい。そして最近の投票の結果を見ると、君たちの大部分は――私たちがヴァンス風と非ヴァンス風の呪文発動システムを両方コアへ収録することに――同意してくれるようだ。
たとえば、第4版のデザインに触発された私たちは、呪文使いに彼らが数限りある呪文を使っていない時に使える面白いものを与えたい。冴えていて魔法的だが、呪文ではないものを。この概念は呪文以外の形で魔法が世界に存在してそれをキャラクターが扱うという考えに対する扉を開くので、特に興味をそそっている。これはメカニカル面と物語の展開の両面でプレイできる楽しい考えだ。
私たちが温めている考えのひとつは魔法特技だ。この特技はキャラクターがいつでも使える魔法能力を意味する。たとえば、私たちは基礎特技を《ウィザードの徴》と呼ぶかもしれない。この特技はキャラクターが秘術呪文使いであることを示し、彼や彼女に制限無く使える、ちょっとした能力を与えるかもしれない。ちょっとした力場の爆発かもしれない。メイジ・ハンドのようなちょっとした念動能力かもしれない。そしてより役立つ特技を後から修得できるようになる。《モルデンカイネンの弟子》特技は呪文使いに(モルデンカイネンズ・フェイスフル・ハウンドのように)忠実な魔法の猟犬を与ええるかもしれないし、《テンサーの弟子》特技は彼や彼女にフローティング・ディスクを与えるかもしれない。
この概念はふたつの目標を達成する。ひとつ、我々は伝統的なヴァンス風システムでファイアーボールやマジック・ミサイルに比べると無視されがちだったいくつかの呪文効果に新たな命を与えることができる。ふたつ、それらは呪文使いが彼らの限られたリソースを費やさなくても魔法的なものを提供できる。
このシステムでもっとも面白いところのひとつは、呪文の代わりにこれらの特技に頼るクラスを我々がデザインできるというところだ。それらのクラスに準備する呪文は無いが、いくつかの面白い魔法的な攻撃、防御、そして汎用オプションを持ち、ウィザードより格段にプレイが簡単である。実質的に非ヴァンス風の呪文使いは第4版の[秘術]パワーのようなものになるだろう。
私たちはヴァンス風D&Dのやり方とは別の方法を使う呪文使いが肩を並べて生きていける他の可能性を見つけた。呪文使いに彼らのリソースを別の方法で管理させると、たとえば第3版スタイルのソーサラーがかつてのサイオンのようなポイント制の呪文使いだったが、伝統的なウィザードと同じD&D世界に簡単になじんでいた。
1は“完全に否定”、そして5は“完全に同意”となる1から5の評価で、D&Dにおける呪文発動のシステムについて評価してほしい。
一日毎/遭遇毎/無限回の呪文発動
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- 2
- 3
- 4
- 5
ヴァンス風の呪文発動
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
(第3版のソーサラーのように)柔軟な呪文発動
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- 2
- 3
- 4
- 5
ポイント制呪文発動
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- 3
- 4
- 5
君が呪文発動システムを1つだけ選べるとしたら、どれを選ぶ?
- 一日毎/遭遇毎/無限回の呪文発動
- ヴァンス風の呪文発動
- (第3版のソーサラーのように)柔軟な呪文発動
- ポイント制呪文発動