ネコぶんこ


2012年04月14日 ゲームは冒険の舞台だけではなく、社交場にもなっていった。 [長年日記]

§ [DnD][4e][DSH] 『ダンジョンの種別(Types of Dungeons)』

The Dungeon Survival Handbook』プレビュー

バート・キャロル

暗い通路が四方八方に伸びている。静止し、澱んだ空気が一歩づつ注意深い前進によってゆっくりと攪拌される。鎧のぶつかる音と砂利を踏む音が地底深くの部屋では唯一の音だったが、それらが低く反響し続けて耳を惑わす。

次の角を曲がったところにあるかすかな明かりが、通路のこちら側からも見える。闇の中で距離を測る方法は無く、それは遠くの明かり、近くのヒカリダケ、あるいは潜んでいるけだものの目に反射する炎、のいずれでもありえた。仲間を一瞥し、前方に何があるか確認するためパーティのリーダーは開閉式ランタンのシャッターを持ち上げる……。

ダンジョンには冒険者が望みうるすべてが待っている。掴み取るべき無数の富、新たなる探検場所、危険なけだものへの挑戦、そして見知らぬ社会との交流。地上世界での楽な生活に慣れた普通の冒険者は、少しの間ダンジョンに入るだけでそれを栄光ある勝利だと考えるかもしれない。

しかし寸進尺退はなはだしいアンダーダークの住民や熟練の穴掘り屋は暗闇の奥深くで生き残ることがどれだけ困難か、洞窟を降りるほど世界はより危険になることを知っている。

ダンジョンの冒険すべてには大いなる危険とそれより大きな報酬がついてくる。君(と君のキャラクター)がダンジョンに潜り成功したいなら周到な準備、問題解決技術、鋼の神経、そしてかなりの幸運が必要となる。すべての曲がり角には予想外の脅威、危険な謎、あるいはこれまで見たこともないアンダーダークの脅威が潜んでいる。君はそれらを理解しなければ、脅威へと近づけないだろう。

今日のInto the Unknown: The Dungeon Survival Handbookのプレビューから、私たちはこの本が見せる以下のようなキャラクター・オプションを覗いていく。

キャラクター・テーマ:君のキャラクターをダンジョンやアンダーダークとより密接に結びつけるため、君は彼や彼女の背景を肉付けしたり、探検に関係した職業を意味するテーマを選ぶことができる。このサプリメントではそれぞれのテーマの項にオプショナル・パワーだけではなく、君がさまざまなレベルで選択できる独自の特徴を含んでいる。さらにそれはテーマをゲームおよび作成済みキャラクターへ導入するための方法をいくつか提案もしている。また、君の世界における立場についての助言や背景の説明もそれぞれの項にあるサイドバーで確認できる。

種族:3つのダンジョンに潜る種族――ゴブリン、コボルド、そしてスヴァーフネブリン――がこの本では完全な説明、ロールプレイングの手引き、そして追加種族特技およびパワーつきで紹介される。彼らの地下生活への順応性と特筆すべき生存能力は、これらの種族が疑いのまなざしを向けられたり上流階級に嫌われていても、冒険生活の一員として優れた候補となるだろう。しかし例外はあり、正当な状況下でコボルドが英雄になることだってできる。

ダンジョンをテーマとしたパワー:ダンジョン探検という挑戦は専門技術と熱心な専門家によるギルドを生んだ。そして時に、キャラクターの背景や特別な経験は教えられずに生存能力を発揮することがある。この章では広範囲をまとめるアンダーダークの案内人に注目し、何年も地下で行なった苦難に満ちた訓練、名状しがたい悪によって引き起こされる心を引き裂く洞察まで、これらの可能性の一部を紹介する。ここで君はさまざまなクラスの攻撃パワーや、関連した技能を修得していればどんなキャラクターでも使用できる技能パワーを新たに見つける。

ダンジョンの種別

ダンジョンは常に目的を持って構築され、ほとんどの場合はその場所の物理的性質から直接の影響を受ける。あるダンジョン職人は生きた場所、たとえばコボルドのなわばりとなっている洞穴を求める。他の者はドワーフと彼らの鉱山のように、土の下に隠された富を求める。

ダンジョンの創造者はリッチが暗黒の儀式を行なっている研究室や、文明から遠く離れた場所でデーモンのように強力な存在が封印されていたとしても、隠された秘密の場所としてそこを利用するかもしれない。君が向かっているダンジョンの種別、そしてその存在理由は、君の準備に影響を及ぼす主因となる。君がそこへたどりつくまでに学んだものは君が成功して生き残る可能性を向上させる。

死の罠

死の罠は膨大な財宝のふれこみで、命知らずを誘い込む。無鉄砲な者はそこで適度に飢えさせた護衛のクリーチャー、そして想像を絶する拷問という――瞬間ごとに幽閉か恐るべき死が訪れそうな――悲惨な命がけの危険だけを見つける。

死の罠はもっとも熟練した探検家以外に容赦無く致命的で、ダンジョンの存在理由の中でも非常に高い難易度となっている。それは殺戮か(時々はより酷いが)捕獲以外の目的を持たない。

変格

通常、死の罠はその種別が目指すものとは別に、何らかの目的を持たせて“完全な”殺戮機械以上のものとして作成される。その建造理由は、たとえば特定種族のクリーチャーを試す、侵入者がある種の魔法をどれだけ使えるかの見極め、あるいは獲物を捕らえるためなどだ。このような場合、ダンジョン内の試練と罠はすべてこの目的のために使われる。

いくつかの死の罠は部屋同士を通路で繋げた適当な集合体でしかない。そうしたダンジョンでは、個々の罠や遭遇は大きな目的のための主題を持たない。他の死の罠は一貫した主題が繰り返され、作者の意図を詳細に示す。そうした建造者にとって、死の罠は芸術であり、恐らく命を懸けた最高傑作だ。

死の罠のまったく容赦無いさまはそれ自体が他のダンジョンができない方法でより多くの注目を集められることを意味している。難易度が高い死の罠は秘密ではない。人々はその名を恐れとともに語り、周囲の土地は寂れている。死の罠はそびえる鉄格子で正門を囲まれていたり、中の危険について警告が書かれているかもしれない。それは鋭い岩山をどくろの形に彫って穿たれた穴かもしれない。その入り口は間違った選択が死を意味するよう、並べられた魔法のポータルの間に隠れているのかもしれない。

探索

無計画に死の罠を探索するなら、君は即座にその名が適切である証明をするだろう。この種別のダンジョンは君のやり方に慎重さを求める。隠された通路を見るべき正しい時間を選んでルーンを学んだ上で、行動に集中して素早く動くことを心がける。きちんとした地図を作ってダンジョン探検用具を慎重に使っても君は確実に安全というわけではないが、どちらの戦術も必須となる。

発見された手がかりは君が罠を切り抜けることを助け、危険要因を安全に回避できる。床に無数のかすり傷がつくのは珍しいことではなく、流される血は少なく済むわけがない。ルーンは対策無しにすぐ読まないこと。すべてに優先し、死の罠で発見した魔法のアイテムは、絶対に慎重な調査を行なう前に使用しないこと。

死の罠の中心はダンジョンを創造した者の至聖所であり、世俗を超越した聖地であり、あるいはアーティファクトが眠る、非常に重要な場所である。君がそこへの道を見つけるのは容易なことではなく、死の罠は偽の中心をたくさん持つかもしれない。

危険

その外に無い限り、死の罠の内部にあるものすべてが危険である。あらゆる回廊は君を酸の池へ落とすために崩壊するかもしれない。あらゆる扉は爆発するルーンや他の魔法の罠で護られているかもしれない。あらゆる敷石の隙間から毒ガスが噴き出してくるかもしれない。あらゆる像は動き出して攻撃してくるかもしれない。

住民

あらゆるダンジョンはそれを作成したクリーチャーの特徴を示すが、死の罠はその設計者が選んだものだけを反映している。あるダンジョンの作者は純粋な娯楽のために死の罠を構築する加虐趣味かもしれない。他の者はある強敵を求めて、大きな目的のための兵士、外道の魔法実験に使える頑丈な人型生物、などある目的のために挑戦者を試しているのかもしれない。

死の罠のもっとも一般的な作者はリッチ、エンシェント・ドラゴン、マインド・フレイヤー、そしてデヴィルである。これらのクリーチャーは長命で、高い知性を持ち、そして他者を試したり拷問にかけたいという強い望みがある。死の罠に不自然に配置されるクリーチャーとして選ばれるのは、頑丈さ、残忍さ、そして(重要なら)ダンジョンの目的に沿ったものである。しかし、一般的にモンスターは他と関係しておらず、命について生態学的な考慮がされた死の罠は非常に稀である。

報酬

あらゆる死の罠の中心には、財宝の山、失われた知識、あるいは恐るべき存在との対面など大いなる恩恵がある。君がそこへたどりつくためには大きな代償を払うことになるかもしれないが、終着点への到達は君の人生を変えるかもしれない。

魔法研究所

もっとも邪悪なダンジョンの支配者はゆがんだ実験を行なうための不浄なる研究所を構築する。死霊術師、召喚術師、そして秘術技師は魔法研究所を利用し、その場所を熱狂的な従者や不浄なる新発明、さらに新開発のモンスターなどで満たす。

変格

魔法研究所は多種多様な設計がなされうる上、すべてはその作者の目的と関係している。死霊術師の研究所では謎の液体に満たされた容器で分解された肉体が保存されている。陰険な秘術技師は棚に道具が並び機械仕掛けの部品で機械装置を作る魔法機械工廠を作成しているかもしれない。だが、どのような形であっても、あらゆる研究所は創造や実験の結果を試す場所でもある。

死霊術師は彼らの作業場で新作の悪魔めいたアンデッドを作成し、穢れた魔法を信仰の力で編み上げる。死霊術研究所の棚には珍しい薬草と構成要素、そしてそ保存された肉体の部品や臓物で満たされている。広い作業台には死体を分解してそれを組み立てなおすだけの広さがある。臭いはきつく、もっとも無神経な冒険者の忍耐すら試すものだ。

召喚術師と秘術技師はよりさっぱりとした舞台装置を持つ。彼らの棚には本、装置、そして彼らが召喚や作品の制御に使う秘薬が並び、他世界からのモンスターや機械式の下僕がいる。

探索

一般的な研究所は活動中のダンジョンであるため、君は護衛のクリーチャーと罠に遭遇することが考えられる。研究所の構築者は細部にこだわる癖があるため、内部はあらゆる種類の不思議な装置や統一された主題による装飾で満たされているかもしれない。

危険

魔法研究所の危険性は通常ならば明白である。不可解な機構と薬物、罠、危険要因、護衛のモンスター、人造、そしてダンジョンのいたるところに仕掛けられた他の脅威。研究所の防衛力の多くは真の性質を見極めがたい奇怪な外見の物体やクリーチャーかもしれない。

錬金術の物質は魔法研究所で一般的なものだ。彼らはそれらを溜めたり流すことで危険な地形を作ったり、護衛のクリーチャーを強化したり、武器として用いることが得意かもしれない。

住民

魔法研究所でもっとも一般的な住民はそこで創造された独特なクリーチャーか、そこを護衛するように命じられてじっと立ったまま侵入者を監視する錬金術製の人造、クロックワーク・ビースト、そしてゴーレムだ。死霊術師は休まない衛兵としてスケルトン、ゾンビ、そしてグールを使う。召喚術師は低級のエレメンタルや野蛮なもんスターを彼の研究所と住居に放つ。

報酬

研究所の中には作者の想像力によるたったひとつの素晴らしい財宝がある。これらの財宝はたとえば新しいポーションやエリクサー、処方、魔法のアイテム、そしてかつて見たこともないような従者としてのクリーチャーですらありうる。

バート・キャロル

バート・キャロルは1980年からのD&Dプレイヤー(そしてイラストに色を塗った第1版のMonster Manualが好きだった)で、2004年からウィザーズ・オヴ・ザ・コーストで働いている。彼は現在D&Dのウェブサイトのプロデューサで、ヒーローとモンスターについてのブログをhttp://ourheroesjourney.wordpress.comで書いている。君は彼をツイッターで見つけることもできる(@wotc_bart)。

The Dungeon Survival Handbookのプレビューが本格的に始まったですぅ。この「ダンジョンの種別」は、プレイヤ側にどういうところへ気をつけたらいいのかの示唆をしながらDMへの遭遇作成イメージ提供としても機能していて、なかなか期待が持てるものだったですぅ。