2012年09月23日 それがぼくの新しい風景になるのだ。 [長年日記]
§ [DnD][4e] 2012年08月26日『計画停電を阻止せよ~電化製品はコンセントから抜け~』
アゼリ・アダナ(ロングトゥース・シフターのガーディアン/ウォーデン/ホーンド・チャンピオン20):。いろいろなことをして周囲の味方を護る自然の戦士。ケモ要員。プレイヤはアシタカ氏。
エスペランザ(エラドリンのスカラー/メイジ/ブララニ・ウィンターソウル20):冷気を支配する力をより研ぎ澄ました秘術使い。トリガーハッピー。プレイヤは荒原の賢者氏。
グスタフ・トラップ(ヒューマンのグルームロート・エミッサリー/シーフ/パラゴン・シーフ20):速くて痛い弓使い。装甲は心許ない。バックスタブ人生。プレイヤは森聖氏。
セヴン(ドワーフのマーセナリー/ウォーロード/キャプテン・オヴ・フォーチュン20):斧を偏愛するドワーフ。飛び込んできた敵はひどい目にあう。キャプテンにしてジェネラルなのでまぎらわしい。プレイヤは隠者氏。
ダオの宮殿と物質界の融合は避けられたが、次元障壁を中和する装置に接続された回路を切断しただけだった。その解析中、回路が“ささやきの市場”と呼ばれる諸次元界の交易拠点となっている次元界へ接続されていることを知った冒険者は、元を断つために敵の本拠へ乗り込むことを決意した。
一旦カーレリアに戻って準備をしながら情報を整理すると、ささやきの市場は自由な市場に見せかけ、その実“市場の主”と呼ばれる大物デヴィルが影から支配する魂の取引場だとわかった。彼は次元界自体の法則に干渉し、進入したものの魂を収穫する仕組みを構築していることが判明する。
ささやきの市場の特徴
魂の担保:ささやきの市場に進入したクリーチャーは1回分の回復力を失い、1回分の回復力使用回数を永久に失う。また、ささやきの市場で回復力使用回数を回復させる大休憩を行ったクリーチャーは1回分の回復力を失い、1回分の回復力使用回数を永久に失う。この効果で回復力使用回数が0以下になったクリーチャーは、死亡して復活する際に“市場の主”から何らかの対価を求められることになる。回復力使用回数が1以上残っているクリーチャーは、ささやきの市場から離れると回復力使用回数の上限が元に戻る。
地獄の沙汰も金次第:ささやきの市場で発生した遭遇でクリーチャーが最初に遭遇毎パワーを使用した時、そのクリーチャーは1回分の回復力を失う。また、一日毎パワーを使用したクリーチャーはそのたびに1回分の回復力を失う。
そのかわり、ささやきの市場は税や禁制品などの規則が緩いため、魂が対価であると知らない者、知っていながら利用しようとする者、さまざまな次元界から人と物が集まってきている。“市場の主”はそうして収穫した魂を使い、宇宙の不和を煽る投資を行っているらしい。
翌日、四人は道案内の小さなエンジェルに導かれて“名無し”で出帆した。次元界の流れもよく一日足らずでささやきの市場へ着くと、まずはグスタフが雑踏で情報収集を行ない、すりや物乞いのギルドに渡りをつけ、ギルドの長、どこかの次元から流れてきたスリクリーンの“五本腕”と話すことになった。
五本腕の話では、デヴィルが関係する魂の取引は他の地区と城壁で隔てられる高級な邸宅が立ち並ぶ街区で行われているということだ。四人がそこへ向かうと、確かに門を警備の兵士が固め、周囲をデヴィルが巡視している。地下水路もあるが、そちらも様子がきな臭い。
結局、急な宴で屋敷に呼ばれた客だと警備の兵士たちを言いくるめて冒険者たちは潜入した。中でしばらく調査を行なってデヴィルの出入りがある建物を特定すると、そこには前回仕留め損じたレイアも出入りしたとわかった。
問題の建物に潜入すると地下で集会でもやっているのか、レギオン・デヴィルたちがガンバルゾーと連呼している。魂の取引で大きな収益を挙げる計画を進めるために幹部が激励に来ているらしい。
もちろん、冒険者はそこに飛び込んだ。
アゼリとエスペランザはゲルゴンの氷に対する完全耐性には苦戦したが、傭兵やハマトゥラ、レギオン・デヴィルはさしたる脅威ではなかった。
広間の敵を撃破して機械の駆動音がするほうへ走ると、デヴィルと傭兵を従えて魔力の中継点となっている制御装置を操作するティーフリングのような外見の紳士と、“市場の主”から与えられた力で雪辱に燃えるレイアがいた。アゼリが〈看破〉した彼女の正体は、顔の顎から上が存在せず、そこについているはずのものが胸元に貼りついたパッション・デヴィルだった。
次元界の障壁を中和する膨大な魔力が柱からほとばしっているため、殴りこんだ冒険者たちは逆に狭い通路をアゼリとセヴン制圧し、エスペランザとグスタフが遠隔攻撃でつぶしていく戦術を取る。
前衛と後衛を行き来しながら魂を差し押さえる証文を投げつけ、魂を収穫することでアクション・ポイントを復活させるパワーを持つ謎の紳士こと“市場の主”のアスペクトにパーティはやや苦戦するが、他の敵がつきあわされた削りあいながらの支援射撃は彼らの得意分野だった。
市場の主は霧散して傭兵は壊走。レイアも倒れかけ戦いは決したかと思ったその時、彼女の体に異変が生じた。
「安心したまえ。君が勝利するにせよ敗北するにせよ、ことは起こる」
レイアの体が厭な音をあげながらひしゃげ、魂もろとも純粋な力へと還元される。その力は次元障壁を中和するために圧縮、蓄積された魔力を爆発させる引鉄となった。
「中和運転を停止。蓄積魔力による爆砕へ移行します。撃鉄落下まであと三十秒」
ダオの宮殿と物質界の間にある次元界の障壁へ強引に大量の魔力を流し込み、修復不能な破壊を発生させるのが、“市場の主”が敗北した場合の計画だった。だが、冒険者たちは制御盤の間を駆けずり回って強引に緊急停止させる。
「あ、最後の判定で出目20」
「成功数があれなので……ずいぶん上回る結果が出たので炉に魔力逆流させて破壊するコマンド入れてもいいDEATHゥ」
「やるやる」
エスペランザが限界まで圧縮された魔力が運転中の炉に逆流されるよう回路を書き換えると、一行はプレイナー・ポータルで“名無し”へと帰還。そのまま即座に港を出た。
爆轟。
港を出て物質界へと帰還しようとしていた冒険者たちは、ささやきの市場の近くにあった小さな次元界がバラバラに粉砕され、輝きと轟音の中で跡形も無く消滅していく風景を見た。