ネコぶんこ


2012年11月20日 我々は昆虫のようにふるまっている。 [長年日記]

§ [DnD][4e] 神話級シナリオ作成のコツ

これは私が神話級シナリオを作るときに心がけていることについてのエントリですぅ。戦闘遭遇の組み立て方よりはどう神話級ならではの雰囲気を出すかに重点を置いているので、そうした面で何かほしい方の参考になるかもしれないですぅ。

タイムスケールを変化させる

神話級のPCが動くのは世界や宇宙の危機が絡むことも多く国などで重要な立場になる神話の運命も多いため、特にキャンペーンでプレイしている場合は“前回の冒険から何ヵ月後”、“かつての戦いから数年が過ぎた”のように事件の頻度がまれになるのは簡単ながらPCが特別になってきたと実感できる演出になるですぅ。

また、これはシナリオの導入で普段は国を治める王や神格に仕えるエグザルフのようにひとりでも重要な人物の日常描写を入れた上で彼らが集結して冒険に旅立つ劇場版作品の雰囲気をかもし出すのにも有効ですぅ。

英雄級のシナリオを遭遇に

悪の勢力が支配する都市の開放など英雄級でシナリオとしてやっていたことをひとつの遭遇で表現し、以前は苦労していたことが片手間程度になったと実感してもらうのはPCのスペックを実感する肩慣らしの場にぴったりですぅ。

これは次元界や多元宇宙全体の危機へつなげるシナリオが多い神話級で、悪役をのさばらせればやがて世界はこうなるという大局をPCの故郷やかつて冒険で立ち寄った街のように身近な場所の危機という卑近なものと同時に描写できる点でも便利ですぅ。たとえば自然世界の一部がシャドウフェルにとらわれるといってもピンとこないことが多いだろうけど、実際PCと縁のある土地がシャドウフェルにとらわれたことで苦しむ人々がいる描写を入れることで具体的にどうなってしまうかを描けるですぅ。

非戦闘遭遇とあわせてリソースを削る

4eの構造上、高レベルPCのパワーやアイテムなどをすべて吐き出させるような戦闘遭遇はそれだけで時間がかかる(遭遇毎攻撃パワーをすべて使わせるだけでも最長4ラウンド)ですぅ。そこで私が使っている非戦闘遭遇と戦闘遭遇をセットにし、次の戦闘遭遇で使う遭遇毎パワーをひとつ封印することで判定にボーナスを与える、判定を試みることでダメージを受けたり回復力を消費するなど非戦闘遭遇の時点である程度のリソースを削る試みですぅ。

あまりやりすぎてもプレイヤのやる気がなくなるので遭遇毎攻撃パワーを削るならふたつ程度、hpなら一番低いPCが重傷値に入るか入らないか程度が目安だと考えているですぅ。

時間や広さで無理をさせる

神話級PCが強いのは当然なのでいっそ彼らが参加する遭遇は成功することを前提にするというのがこの手法ですぅ。具体的にはPCを国同士や次元界同士の戦いのように広大な戦場や、ごく短期間で多くの交渉をまとめなければならない外交会談などひとつひとつは楽だけど普通にこなすだけでは手が足りない状況で攻め、それを解決させることで凄さを演出しますぅ。

ルールで再現するならダメージを受けることや回復力、パワーを消費することで“無理をして”1回追加で判定を行なえる判定回数に制限をつけた技能チャレンジといったところですぅ。

ここで重要なのはルールで解決できる範囲内にはどちらかを助ければどちらかが死ぬようなジレンマを作らず、PCがすべての困難に立ち向かいそれを克服すればすべての水を掬えるようにすることですぅ。

物語の破綻を恐れない

神話級PCはできることが非常に多くなりDMですら予想していなかった特徴や儀式でシナリオが根底から揺さぶられることがあるかもしれないけど、逆にいえば神話級の戦いは老人が炉辺で語る昔話のようなものでテーブルを囲んだ人間にすらすべてを感得できないものと開き直ることも割と大事だと考えているですぅ。

処理を淡々と進めるなりプレイヤに頭を下げて取り下げてもらうなりルール上は解決しても演出を想像しづらいことが発生したとき、“そのとき不思議な事が起こった”や“記録が抹消されているため後世の歴史家も推測することしかできない”などで適当に流して次に進めるのもある意味神話級をプレイする時の楽しさのひとつではないかとも思うですぅ。