ネコぶんこ


2013年10月21日 [長年日記]

§ [DnD][4e][LnL] 『怪物と物語(Monsters and Stories)』

マイク・ミアルス

今週はゲーム・システムから離れ、D&Dの物語――具体的には私たちが目下記述中のモンスターのことについて話そう。これは以前にも触れたことだが、私たちが何を考えているのか君と共有するためにこの話題を再び持ち出す価値があると考えた。

D&Dにはこれまでの長い歴史がある。モンスターの起源、習慣、そして目的を形づくる物語が、時とともにかなり変化したことは事実だ。さらに、私たちはモンスターの生態をまるで現実世界の生物であるかのように説明することについて多くのインクを費やしてきた。これらのものは興味深いが、しかしそれは必ずしも君がゲームをするテーブルの上やキャンペーンを構築することにつながるわけではない。

私たちはまずD&D Nextのモンスターを、これまでの年月で彼らがどう描写されてきたか見てきた。その怪物は悪知恵に長けて周到な待ち伏せをするのか、あるいは単純な暴力で近接戦に飛び込むのを愛するのだろうか?それは手下を集めて命令を下す司令官なのか、それともそれは己の力のみを頼みにする孤独な存在だろうか?

これらの問いは多くのプレイヤーとDMがこれまでにこのクリーチャーでどんな経験をしたかを感じさせるので有用だ。これはそのクリーチャーがこのゲームの旧版と同じふるまいを行なうことができるモンスターの物語の出発点として有用なものだ。

だが、私たちはD&Dの宇宙におけるモンスターの根本的な役割は変更せずに、新たな物語やこれまで曖昧にされていたことに肉づけしていくこともできる。この方法は新たな素材を君に別の方向からモンスターについて考えることを強いることなく導入できるという意味だ。私たちがきちんと仕事をすれば、モンスターはNPCや世界に存在する勢力としてより興味深いものになる。

数週間前、私たちはメドゥサの物語について取り組んでいた。メドゥサの基本的なところは第1版とAD&D第2版の『Monster Manual』の概説のままにされた。これらのクリーチャーは単独あるいは小集団で生活をする。彼らは忌まわしく、暗い洞窟に住む。メドゥサは体はヒューマンのようだが、その顔は恐ろしく髪にはのたうつ毒蛇が巣食っている。そのにらみは犠牲者を石に変える。

これらの基本事項を踏まえ、私たちはメドゥサの背景と個性を感じさせるためにもう少し掘り下げた。メドゥサは見たものを石にしてしまう哀れな容貌となることを引き換えに10年間の絶世の美貌と声望を得る呪いによってヒューマンから生まれたものだ。多くのメドゥサは彼らの容貌と魅力によって社会的地位を拡大しようとする気持ちを持ち、野心的で、貪欲で、自己中心的だ。しばしば彼らは一時的な恩寵を富や権力との婚姻のために利用する。その他は彼ら自身で力の基盤を築く。

メドゥサがその新たな恩寵をどう使おうが関係なく、10年後、彼らはその取引の対価を支払わねばならない。変成は突然訪れる恐ろしいものだ。一部のメドゥサは自らの変化に対策を立てて辺境の別荘や砦に退き、外界から自らを守りながら彼らが蓄えてきた富と権力を謳歌する。取引を忘れた者、それを踏み倒そうとする者、あるいは真の対価を知らない者もいる。これらの気の毒で哀れな者たちは殺されるか地下へ身を隠すしかない。

この物語を紡ぐために重要な要素はDMへメドゥサの個性と可能性を感じさせるために存在する。あるメドゥサは奸智に長け、特にその隠れ家へ進入した冒険者の中でも一番の美男美女に目をつけ、悪意から殺す憎むべきクリーチャーかもしれない。他の者は彼女の本章を隠したくてたまらない隠遁した貴族で、パーティの謎めいた後援者になるかもしれない。そしてもちろん、メドゥサは君のダンジョンに住む凄まじいモンスター――背景や起源の物語など浮かんでこないひとつのクリーチャー――かもしれない。それでも私たちが作った物語は『モンスター・マニュアル』の良き読み物として、あるいは君のひらめきを誘うものとしてそこに残る。

メドゥサの表立った部分――ゲームの歴史上とても著名だった要素――をそのままにしておくことで、私たちは既存のアドベンチャーとキャンペーンをD&D Nextに合わせるように変更する必要がないことを約束できる。同様の理由で、メドゥサについての新たな神話はアドベンチャーのひらめき、NPC、あるいは君だけのキャンペーン・セッティングに何らかの示唆を与えることができる。

マイク・ミアルス

マイク・ミアルスはD&Dのリサーチ&デザイン・チームのシニア・マネージャだ。彼はレイヴンロフトのボードゲームやD&D RPGのサプリメント何冊かを手がけている。