2014年05月12日 [長年日記]
§ [DnD][DnDNext][LnL] 『魔法のアイテムと調律(Magic Items and Attunement)』
D&D Nextのプレイテストで、私たちは魔法のアイテムを調律していくという考えを導入した。キャラクターが仕える強力な魔法のアイテムを数を制限できるため、調律はDMとゲーム・バランスに大きな利益をもたらす。アイテムを調律するとき、君はその魔力に自身の生命の精髄を混じらせる。君は君自身に宿る力をアイテムに示し、そしてその見返りとして君は大いなる力を与えられる。調律することで消耗するので、キャラクターはいちどに3つ以上のアイテムを調律することができない。
ポーションやスクロールなど、単純な魔法のアイテムに調律は必要ない。魔法の物品ではあるが、これらのアイテムは機能させるためにキャラクターとの特別な繋がりを何ら必要としない単純な道具だ。調律が求められるアイテムはより注目に値するもので強力なものだ。それらは世界の中でキャラクターを定義することに役立つ固有のアイテムだ。レイストリンとスタッフ・オヴ・マギウス、ドリッズトが持つ彼の動物の相棒、グエンワイヴァーを召喚するためのフィギュア・オヴ・ワンダラス・パワーのことを考えてほしい。これらはアイテム以上に、それぞれのキャラクターの物語で重要な部分だ。
アイテムを調律するとき、君はその支配を受けてしまう危険を冒す。調律を必要とするすべてのアイテムが代償を持っているわけではないが、アイテムの目的や作成者の意図は誰にも知ることができない。魔法のドワーヴン・アックスはキャラクターに無理矢理失われた氏族の故郷を探させ、そこに巣食うドラゴンを倒すよう強要してくるかもしれない。生贄をアスモデウスへ差し出すのに使われたダガーは、九層地獄の主への忠誠と引き換えに大いなる力を約束するかもしれない。ドゥエルガル造りの鎧一式はすべての攻撃を弾くかもしれないが、戦いの中でグレイ・ドワーフと対峙すれば決まって、どうしようもないほどに着用者を凍えさせるかもしれない。
調律はキャラクターにちょっとした危険をもたらす。それは魔法のアイテムが目的を持って造られたことを示すが――時にその目的はアイテムによって提供されるボーナスや特殊能力よりも大きくキャラクターに重くのしかかる。私たちがD&Dのためにデザインしている多くのものと同様、調律の代償はDMがロールプレイを促進させ、キャンペーンに命を吹き込むために利用できる道具のひとつだ。
ハンド・オヴ・ヴェクナのように名前のついたアーティファクトは特別な調律の代償を持つが、一般的な魔法のアイテムにはそれがない。たとえば、スタッフ・オヴ・ディフェンスは調律を必要とするが、その記事には調律の代償が書かれていない。その代わり、DMにはそれを調律するキャラクターのためにスタッフが持つ物語を特別なものにし、オプションを加えるためのオプションがある。ドラゴンのねぐらで見つかったスタッフは、古代の魔女王の衛兵のために作成されたものかもしれない。それを調律したキャラクターは、女王がかつて統治していた失われた都市についての知識を得る。しかしキャラクターが女王の末裔と出会ったとき、彼は彼女についていき彼女を危害から守りたいという突然の衝動にかられる。こうして、スタッフは数千年後でさえもその役割を果たし続ける。
調律の物語要素はキャンペーンの歴史と文化に溶け込んだ、珍しく謎めいたものとしてアイテムに命を吹き込む。うまく利用すれば、調律は驚きの感覚をゲームに加えて魔法のアイテムを独特で刺激的に感じさせることができる。
アイテムの鑑定
D&Dにおける驚きの感覚は魔法のアイテムを覆う謎にもある。調律のシステムで、私たちは君のキャラクターが行きつ戻りつ冒険の間にアイテムを鑑定していく可能性を想定している。
単純に普通の魔法のアイテムを使いこなすのは、そこに神秘的な力が染み込んでいくとじゅうぶん判断できる。ディテクト・マジックは遠くから魔法のアイテムを特定、あるいはアイテムからのオーラを感知することで魔法的性質の本質的ではない手がかりを得るのに役立つ。君は魔法のアイテムの能力を学ぶために小休憩を費やし、その間にアイテムをいじり回したり魔法の起動を試みることができる。キャラクターは小休憩ごとにひとつのアイテムを調査できる。(ポーションはこのルールの例外だ。単純にポーションを少し口にすることでその特性は明らかになる。
アイテムが調律を必要とする場合、君は小休憩が終わっても調律による危険と利益を知らされない。君はそのアイテムが調律できるものだと知ることはできるが、それで何が起こるかはわからないのだ。アイテムを調律することで能力は明らかになる。しかし、アイテムの利益と代償のうちいくつかは明らかになるまで時間がかかるかもしれない。
君がアイテムを調律することに慎重であるなら、アイデンティファイの呪文でアイテムひとつの特性と代償がすべて明らかになる。この呪文はアイテムの秘密を学ぶのに必須のものではなくなったが、君がアイテムと最初の調律を行なってそれを学ぶ危険から助けてくれる。
これらの変化はプレイヤーが彼らのキャンペーンでアイテムを使いこなしていくのを私たちが見て、それがより最善のものだと感じたからだ。わずかなDMしかアイデンティファイの呪文を強調せず、多くのキャラクターは魔法の武器や鎧といった明らかに利益があるアイテムを使おうとしていた。私たちはこれらのルールがプレイヤーがテーブルの上で考えるのと同じくらいに明確て、単純で、そして最善のものだと考えている。
マイク・ミアルス
マイク・ミアルスはD&Dのリサーチ&デザイン・チームのシニア・マネージャだ。彼はレイヴンロフトのボードゲームやD&D RPGのサプリメント何冊かを手がけている。