2015年05月10日 [長年日記]
§ [Liber] 『一問一答:ウィリアム・ギブスン(Q&A: William Gibson)』
「私の凄いところ? 富の再配分さ」
2015年5月9日(土)12時00分(英国夏時間)
サウスカロライナ州生まれのギブスン(67)は、ベトナム戦争の兵役を忌避してカナダに移住した。電脳空間という言葉を使い、それを一般化したSF小説の処女作、『ニューロマンサー』(1984年)は六百万部以上を売り上げた。彼の最新作は『The Peripheral』だ。彼はふたりの子を持つ既婚者で、バンクーバーに住んでいる。
あなたが一番幸せなときは?
より深く実存を楽しむことができることに気づいた瞬間が一番幸せ。
あなたが一番恐れているものは?
今の私は老い、未来が突然塑像していた何よりもはるかに厳しく見えてきた――単に私がいないというだけでなく、それ以外には、例えば乱暴者がいない。
あなたにとって最初の記憶は?
1950年に私の両親がテネシー州で借りていたピーナツ畑に母といた。急な丘を下る道があった。黒いアメリカ製パネルトラックが飛ばしていた。
あなたが持つ素晴らしい力は?
富を再配分すること。
あなたが自分の外見で一番嫌いなところは?
背の高い人が居づらくなっているような姿勢。
あなたの大好きな言葉は?
明らかに“Thing”。筆が乗るほど、私の話し言葉はより不正確になっていくから。
あなたの人生を変えた本は?
私が丁度それを読めるようになったとき、母がくれた二冊組のシャーロック・ホームズ短篇集。
あなたの人生で一番の大恋愛は?
45年間続く私の妻、デボラと。
あなたがついていた最悪の仕事は?
ファイバーグラス製ボートを作る工場でのとても平凡な仕事。有害な環境で、とても汚く、かゆくて、私のような移民の労働者を利用していた。
誰からでもあなたに言われた最悪の言葉は?
十代後半に誰かが話してくれたことだけれど――私は偽悪的になっていた――私がとても好きだった3年生の先生が、ベトナム戦争に対する私の意見について頭ごなしに軽蔑された。
あなたは少年時代に招来の夢がありましたか?
古生物学者。
あなたが一番やましさを感じる喜びは?
さぼり。
あなたが一番残念に感じた意見、そしてその理由は?
ペンタゴンの技官は1969年にソヴィエト連邦が崩壊することを正確に予見していた。私はそのときそれで幸せな気分になれるとはナンセンスだと感じた。
あなたが過去に行けるとすれば、どこに行きますか?
トラウマになる経験だろうが、ヴィクトリア時代のロンドン。
あなたのくつろぎ方は?
チャリティ・ショップを覗くことだけど、私はあまり買わない。あれらは人類の日常博物館だ。
あなたが一番死に近かったのはいつ?
13歳の頃、ピストルを撃って異常な跳弾がかすめたとき。あるいは1970年にイビサ島でフランコ政権の治安警察が、私たちの近くにいた犬を撃って路上の喧騒を鎮めたとき。
あなたのもっとも大きな業績はなんだと考えている?
積み重ねることではなく、大きく跳んだことではないだろうか?
あなたが今一番やりたいことは?
バルセロナのランブラス通りで、時差ぼけせずにコーヒーを飲みたい。
ジョークをひとつ。
男が頭の上にカエルを乗せてバーに入ってきた。バーテンは「それは何?」と訊ねる。「わからないんだ」カエルは言った「しかしこいつは最初尻のいぼだった」。
『The Guardian』がウィリアム・ギブスン氏へ一問一答形式のインタビュウをしていたので訳しましたぁ。プライベートなことについての内容が主ですぅ。