2018年05月06日 [長年日記]
§ [DnD] 『ダンジョンズ&ドラゴンズを作る舞台裏で(Behind the scenes of the making of Dungeons & Dragons)』
元記事投稿:2018年5月4日、午前6時00分|更新:2018年5月4日、午前9時57分
コラムニストのニコル・ブローダーは、ダンジョンズ&ドラゴンズのメーカーが何に取り組んでいるか、そしてシアトル・シーホークとゲームのテストをしている様子を観察するために、レントンのウィザーズ・オブ・ザ・コーストの本社に潜入した。
後ろでエレベータのドアが閉まると、あなたはドラゴンと向かい合っていた。鋼のようなつやと、他の部分は古代のオーク樹のようにねじれたギザギザ歯のクリーチャーは、ドアの向こうに吊られていた。明かりは紫から緑、赤に変化し続けている。
ここは現実の終わり、そしてやっかいな十代と善良なる大人がウィザード、クレリック、バード、そしてトロルに変身させて勇気づける物語とキャラクターの始まりだ。
レントン・オフィス・パークのイケアと自動車販売業者から目と鼻の先にある特徴のない建物の3階が、ダンジョンズ&ドラゴンズ――今年44周年を迎える卓上ファンタジー・ロールプレイング・ゲーム――を所有しているウィザーズ・オブ・ザ・コーストである(このハズブロの子会社は1997年以降、このゲームを所有している)。
過去数年、ダンジョンズ&ドラゴンズ――あるいはD&D――はギーク文化の隆盛と、彼らがその画面から目を上げ、自分自身の物語とつながりを求める新たな実感のおかげで、新しいプレイヤーの軍団を手に入れた。
「それは宇宙と私たちがぶつかった、魔法の瞬間でした」と、D&Dのブランド・ディレクターにしてエグゼクティヴ・プロデューサのネイサン・スチュワートは語り、マーベルとDCコミックスを原作にした映画、『ゲーム・オブ・スローンズ』や『ストレンジャー・シングス』のような番組の人気に言及した。
「あなたは今のようにギーク文化が栄えているのを見たことがないでしょう」
彼はまた約20万人がプレイテストし、プレイを合理化して新規プレイヤーに触れやすく、物語に焦点を当てて単純化されたルールになるようデザインされた、2014年の第5版発売にも触れた。
女性の参加とレプリゼンテーションへの新たな努力もあったとスチュワートは語る。
「私たちは開発をするとき、プレイしたい人は誰もが卓で歓迎されると感じることを確認したかった」彼は言う。「より多くの人々にとって、よりよい趣味に」
それは実を結んだ。2017年の調査で、D&Dプレイヤーのほぼ40%が女性だと明らかになった。
「それは特別な時間で、私には人々が向かい合ってのつながりを本当に欲しているという強い確信があります」彼は言った。「ゲームはぴったりそこにはまる」
その結果、2017年はD&D44年の歴史で「最大」だったとスチュワートは言う。
彼は販売数を明かしはしなかったが、2017年のD&Dブランドは2016年から売り上げは44%成長し、史上最大のプレイヤー数――北米だけでも1200万~1500万人――がいると説明した。
そして2014年以降D&Dを始めた人々の50%以上がゲームをオンライン配信を鑑賞するため、同社は3番目――にして最大の――配信イベントをTwitchで行なっている。(www.twitch.tv/dndで見ることができる)
『The Stream of Many Eyes』は6月の1、2、3日に、ロサンゼルスのスタジオから始まる。物語――何が6月1日に明らかにされるか――はあるD&Dスタッフが「『ダ・ヴィンチ・コード』と『ギャング・オブ・ニューヨーク』を足したようなものです」と言った。
イベントはシアトリカル・ドラマ・リアリティ・ロールプレイング・ゲーム――または略してTDRRPG――と呼ばれ、D&Dの7セッションの間継続した物語を紡ぐキャストがいる。
彼らは「ハイ・エルフ・バード・リザード」と呼ばれる何者かを含むセイレーンやローグで、すべての俳優は『トゥルー・ブラッド』のジョー・マンガニエロやデボラ・アン・ウォールのような“インフルエンサー”である。
最新の企画会議でスタッフは“本物の鍛冶屋”、ファイアーダンサーを探し、消防法をよく読む仕事を言い渡された。
「私たちがこれまでに行なったことは、まったくもって野心的なことです」D&Dコミュニケーションズ・マネージャのグレッグ・チトーは語る。 「しかし、誰もがこの飛躍を愛しています」
D&Dは故ゲイリー・ガイギャックスと彼のパートナー、デイヴ・アーンソンによって創造された。彼らはファンタジー・ロールプレイング・ゲームを創造し、人々がJ・R・R・トールキンの本で読むだけだったウィザードとゴブリンを、彼らの食卓と未完成な地下室に持ってきた。
「ファンタジーは主流になりました」フランチャイズ・クリエイティヴ・ディレクター、マイク・ミアルスは語る。「人々はエルフが何か知っています。社会がそれらの語彙を消化した今、何でもできるのです」
D&Dのオフィスで働く人々はガイギャックスの遺産の執事として奉仕し、ルールを改善し、物語を拡大する。
ガイギャックスのペンは現在、D&Dのシニア・ストーリー・デザイナのクリス・パーキンスが握っている。彼はツイッターのフォロワーが68000人を超え、世界中のテーブル、――あるときは衣装を着て――舞台でゲームを行なう、有名なダンジョン・マスターだ。
「物語はもっとも重要なものです」とパーキンスは言う。「それこそが核心で、その本を書くのが私の仕事です」
彼は自分が書くプレイヤーを迎えるための物語を“フレームワーク”と呼んでいる。
「私たちはカップを作るが、飲み物は作りません」と彼は言った。「私たちの物語は出発点のはずです。私は共通経験になる素晴らしい物語を求めています」
「私は人々にその後について話してほしいです」とパーキンスは続けた。「それらの物語は彼らの心に残り、どれも現実に比肩しうる経験になるでしょう」
ジェレミー・クロフォードはD&Dのリード・ルール・デザイナで、ゲームのマネージング・エディタで、さらに『プレイヤーズ・ハンドブック』デザインの先頭に立った。彼はD&Dのプレイを第1版、6歳の頃から始め、ガイギャックスと日々を過ごした。
「私は常に、私たちがよりうまくできるように取り組んでいます」クロフォードは言う。「私は今、改訂したい衝動を抑えなければなりません」
プレイヤーからのフィードバックは「私たちに不可欠です」とクロフォードは言い、やってくるコメントと提案を処理する担当者がひとりスタッフの中にいると付け加えた。
クロフォードがゲーム・コンベンションの間にテーブルに座り、ファンとD&Dをプレイすることは珍しくない。
「私は盲点を見るために世界の中にいる必要があります」と彼は言った。「それが私の調査です。何が混乱させるのか?何がうまくいったのか?そのすべてがゲームを導く核心になります」
この日に、チームはこの秋にアバロンヒルから発売される新しいD&Dのボード・ゲームをプレイテストしていた。それはD&Dにとって新しい若年層プレイヤーと家族向けの、学びやすく、プレイが速いものになっている。
テスターのひとり、シアトル・シーホークスのランニング・バック、C・J・プロサイスは、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストの研修期間を終えていた。野心的なゲーム・デザイナの彼は、オフシーズンの間、ここで働くために登録した。このボード・ゲームはアソシエイト・ゲーム・デザイナとして彼の名前を最初にクレジットしている。
「私はちょうど、自身をよくするために何かをしたかった」とプロサイス(23歳)は言った。「ゲーム・デザインは、私の将来設計で心が向いているところです」
プロサイスのゲーム経験はほとんどがXboxだ。スポーツ、シューティング、そしてアドベンチャー・ゲーム。
「しかし、これは自分自身の異なる部分を見つけることができました」と、彼はD&Dについて語った。「そして、あるいは私が知らない人々を知ることができる。そして、ゲームは常に私がトラブルから離れる方法でした」
「さらに、私は他の誰かになって逃げ延びることができる」と彼は言った。
好き?
「私は自分自身をより強くウィザードだと見ることができます」そう彼は言った。
そして、ゲームの魔法がある。たとえ誰が、あるいはどこでプレイしていても、D&Dは想像力とファンタジーの物語によって育てられる――あなたがその本社のドアを通って踏み出し、その後の44年が始まったとき、すべては明白になった。
「D&Dがどれだけ開かれたものか」クロフォードは言った。「私には今から人々が一世紀後もプレイしている様子が見えますよ」