ネコぶんこ


2021年04月03日 [長年日記]

§ [DnD][5e] アドベンチャー:落書き事件(1~3レベル)

今週の小冒険は少人数用のシティ・アドベンチャーですぅ。

データ系はOGLを使ってるので、そちらの参考にもどうぞですぅ。

また、現在イエローサブマリンさんに第5版用のアドベンチャー集『駆け出し勇者の小冒険』を1650円(税込)にて依託中ですぅ。さくっと遊べるシナリオをお探しの方は是非ですぅ。

冒険の概要

この冒険は1~3レベル程度のキャラクター1~2人向けの短時間で終わるアドベンチャーである。

港町のスリカトゥには商人たちが腕に覚えがある者を雇い、町の治安維持を行なわせる衛士隊がある。キャラクターたちはこの衛士隊に雇われた新人で、町を騒がす事件を捜査することになる。

衛士隊は流れ者の冒険者のような身分でも雇い入れるが、身元を保証する者がいるとより安心される。キャラクターが町の外から来た場合、酒場で新入りを見繕っていた隊長のエリムに勧誘され、身元も彼女が保証したことにするといい。

今回キャラクターたちが捜査するのは、町の倉庫や商店に描かれる謎の落書きである。丸や三角などの図形が人気のない時間帯に描かれ、住民たちは非常に迷惑をしている。

実のところ、これはこの町に住んでいるヤークという商人が行なっていることである。彼はレフメークというドラウの密輸人に息子を誘拐され、その言いなりになって指示された図形を夜中に描いている。

ヤークが描かされている図形は、スリカトゥで活動する地回りの六本指団が使っている符丁である。彼らは偽の暗号に翻弄されており、その裏で町の外から来たレフメークが密輸品を取引しているのだ。

キャラクターたちがエリムに命じられるのは落書き事件の解決だが、それ以上の手柄を挙げた場合、彼女から一目置かれることになるだろう。

冒険への導入

キャラクターたちはスリカトゥの衛士隊の隊長エリムから仕事を請ける。彼女はキャラクターたち全員を引き合わせると、近頃町で倉庫や商店に描かれる落書きの調査を命じる。

エリムはヒューマンの古強者で、長く赤い髪を後ろで束ねている壮年の女性だ。右腕につけた騎士だった祖先から受け継いだ大きなガントレットが特徴である。ポケットにはドワーフ造りの蒸留酒を忍ばせ、勤務中にも時折飲んでいる。部下への態度は仕事をやっていれば多少のさぼりや暴走は見逃す方である。

PCが1人の場合、エリムは衛士のシグナーを同行させる。彼は今年17歳になるヒューマンの男性で、武器の訓練も兼ねて衛士に志願している。属性は中立にして善。基本的にキャラクターの考えを尊重するが、悪の行動を取ろうとした場合、ひと言止めに入る。データは衛兵のものを使う。

衛兵

中型・人型生物(任意の種族)、任意の属性


AC:16(チェイン・シャツ、シールド)

hp:11(2d8+2)

移動速度:30フィート


【筋】 【敏】 【耐】 【知】 【判】 【魅】
13(+1) 12(+1) 12(+1) 10(+0) 11(+0) 10(+0)

技能:〈知覚〉+2

感覚:受動〈知覚〉12

言語:任意の言語1つ(ほとんど共通語)

脅威度:1/8(25XP)


アクション

スピア:近接/遠隔武器攻撃:攻撃+3、間合い5フィートまたは射程30/120フィート、目標1体。ヒット:4(1d6+1)[刺突]ダメージ、あるいは両手持ちでの近接攻撃の場合5(1d8+1)[刺突]ダメージ。

古強者

中型・人型生物(任意の種族)、任意の属性


AC:17(スプリント)

hp:58(9d8+18)

移動速度:30フィート


【筋】 【敏】 【耐】 【知】 【判】 【魅】
16(+3) 13(+1) 14(+2) 10(+0) 11(+0) 10(+0)

技能:〈運動〉+5、〈知覚〉+2

感覚:受動〈知覚〉12

言語:任意の言語1つ(ほとんど共通語)

脅威度:3(700XP)


アクション

複数回攻撃:古強者はロングソードで2回攻撃する。もしショートソードを準備しているなら、それはさらにショートソードで1回の攻撃も行える。

ロングソード:近接武器攻撃:攻撃+5、間合い5フィート、目標1体。ヒット:7(1d8+3)[斬撃]ダメージ、あるいは両手で持っている場合、8(1d10+3)[斬撃]ダメージ。

ショートソード:近接武器攻撃:攻撃+5、間合い5フィート、目標1体。ヒット:6(1d6+3)[刺突]ダメージ。

ロングボウ:遠隔武器攻撃:攻撃+3、射程150/600フィート、目標1体。ヒット:5(1d8+1)[刺突]ダメージ。

1.落書き現場

エリムに教えられた一番新しい落書きの現場に赴くと、そこは建物に店を持つ青果店である。赤い塗料で丸や三角などがでかでかと描かれており、ハーフオークの店主が腕組みをしてそれを眺めている。衛士が来たら、店主は早く掃除をしてしまいたいので捜査をするなら手早くやってくれとぶっきらぼうに言い放つ。

店主に話を訊くなら、昨日はぐっすり寝ていて朝起きたらこのありさまだと頭を振る。

塗料について調査するなら、難易度10の【知力】判定で、赤い土から作られる一般的な塗料だとわかる。キャラクターたちがそうするなら、塗料をこそげ取って後で誰かに調査を依頼することも可能だ。

図案は数秒もあれば書き写せる単純なものだ。魔法や宗教にまつわるものではない。難易度20の【魅力】判定に成功すれば、そのキャラクターはこれがこの町の地回りの1つ、六本指団が使っているものを知っている。

足跡がないかどうか追跡するなら、難易度20の【判断力】〈生存〉判定に成功すれば、ヤークの家にたどりつける。

一通り調査が終わったなら、店主は落書きを消す作業に入る。

2.情報収集

キャラクターたちが捜査をするなら、まず塗料か図案に行くことだろう。それらの答えは「1.落書き現場」に書いたとおりだが、その知識を持つ適切な者に聞き込みをすれば判定をしなくても情報が手に入る。

塗料の場合、たとえば画材などを扱っている雑貨屋(スリカトゥは商業が盛んで、住民にちょっと訊ねれば教えてもらえる)に行き、現物を見せて店員に訊ねれば同じものを紹介される。

落書きの図案の場合、この町にある怪しい酒場に出入りするならず者たちに訊ねれば、地回りの六本指団のものだと教えてもらえる。代表的なその手の酒場はミノタウロスの用心棒が有名な酔いどれゾンビ亭などだ。これはキャラクターたちが知っていて構わない。

3.六本指団のねぐら

六本指団のねぐらは倉庫街にある使われていない倉庫のひとつだ。ここにはいつも全員で6人の六本指団のうち2人(山賊のデータを使用)が待機し、サイコロやカードで暇を潰している。

彼らは衛士隊の者が来ると警戒感を強めるが、落書き事件のことについて訊ねると、彼らもほとほと困っていると言い、協力を表明する。落書きは彼らの符丁だが、仲間の誰も書いた覚えがないと言っていることを話す。

山賊

中型・人型生物(任意の種族)、任意の属性


AC:12(レザー・アーマー)

hp:11(2d8+2)

移動速度:30フィート


【筋】 【敏】 【耐】 【知】 【判】 【魅】
11(+0) 12(+1) 12(+1) 10(+0) 10(+0) 10(+0)

感覚:受動〈知覚〉10

言語:任意の言語1つ(ほとんど共通語)

脅威度:1/8(25XP)


アクション

シミター:近接武器攻撃:攻撃+3、間合い5フィート、目標1体。ヒット:4(1d6+1)[斬撃]ダメージ。

ライト・クロスボウ:遠隔武器攻撃:攻撃+3、遠隔80/320フィート、目標1体。ヒット:5(1d8+1)[刺突]ダメージ。

4.時間経過

落書きは毎夜行なわれる。夜中に町を警邏するなら、1d20をロールし、出目が16~20の場合、落書きをしているヤークと鉢合わせする。六本指団と協力した場合、彼ら6人分もロールし、出目が16~20の場合、彼らがヤークを捕らえ、翌朝連絡してくる。

ヤークのデータは一般人のものを使う。中年にさしかかったハーフエルフで、属性は真なる中立である。

一般人

中型・人型生物(任意の種族)、任意の属性


AC:10

hp:4(1d8)

移動速度:30フィート


【筋】 【敏】 【耐】 【知】 【判】 【魅】
10(+0) 10(+0) 10(+0) 10(+0) 10(+0) 10(+0)

感覚:受動〈知覚〉10

言語:任意の言語1つ(大抵は共通語)

脅威度:0(10XP)


アクション

クラブ:近接武器攻撃:攻撃+2、間合い5フィート、目標1体。ヒット:2(1d4)[殴打]ダメージ。

5.ヤークへの尋問

落書きの現場を押さえる、足跡をたどって家に着くなどでヤークを尋問するなら、事情について聞く耳持つ態度であれば重い口を開く。あるいは、暴力をちらつかせても口を割る。

彼はレフメークというドラウに5歳になるひとり息子のシャイルを誘拐され、彼に言われるまま落書きをしていたと話す。自分は罪に問われてもいいが、亡き妻との間にできた息子だけはなんとしてでも助けてくれと懇願する。

シャイルを助けることについて前向きな意思を示せば、彼はレフメークの居場所をキャラクターたちに教える。

6.レフメークの隠れ家

市壁の外にあるあばら家がレフメークの隠れ家だ。中には黒毛のマスティフを従えたドラウがおり、部屋の片隅にずだ袋に入れられたシャイルが転がされている。

レフメークは追い詰められると密輸品の利益200gpを山分けで手を打たないかとでまかせを言い、逃げる隙を作ろうとする。

ドラウ

中型・人型生物(エルフ)、中立にして悪


AC:15(チェイン・シャツ)

hp:13(3d8)

移動速度:30フィート


【筋】 【敏】 【耐】 【知】 【判】 【魅】
10(+0) 14(+2) 10(+0) 11(+0) 11(+0) 12(+1)

技能:〈隠密〉+4、〈知覚〉+2

感覚:暗視120フィート、受動〈知覚〉12

言語:エルフ語、地下共通語

脅威度:1/4(50XP)


生得呪文発動:ドラウの呪文発動能力値は【魅力】(呪文セーヴ難易度11)である。これは以下の呪文を、物質構成要素なしに生得発動できる。

無限回:ダンシング・ライツ

いずれも1回/日:ダークネスフェアリー・ファイアー

フェイの祖先:ドラウは魅了状態へのセーヴィング・スローに有利を得るうえ、ドラウを魔法的に眠らせることはできない。

陽光過敏:ドラウは陽光の中では攻撃ロール、そして視覚を利用した【判断力】〈知覚〉判定に不利を受ける。

アクション

ショートソード:近接武器攻撃:攻撃+4、間合い5フィート、目標1体。ヒット:5(1d6+2)[刺突]ダメージ。

ハンド・クロスボウ:遠隔武器攻撃:攻撃+4、射程30/120フィート、目標1体。ヒット:5(1d6+2)[刺突]ダメージ、および目標は難易度13の【耐久力】セーヴィング・スローに成功しなければ、1時間毒状態になる。セーヴィング・スローに5以上の差で失敗した場合、目標は毒状態の間気絶状態になる。目標はダメージを受けるか他のクリーチャーがアクションを消費して揺り起こすなら覚醒する。

マスティフ

中型・野獣、無属性


AC:12

hp:5(1d8+1)

移動速度:40フィート


【筋】 【敏】 【耐】 【知】 【判】 【魅】
13(+1) 14(+2) 12(+1) 3(-4) 12(+1) 7(-2)

技能:〈知覚〉+3

感覚:受動〈知覚〉13

言語:-

脅威度:1/8(25XP)


鋭敏聴覚/嗅覚:マスティフは聴覚あるいは嗅覚を使った【判断力】〈知覚〉判定に有利を得る。

アクション

噛みつき:近接武器攻撃:攻撃+3、間合い5フィート、目標1体。ヒット:4(1d6+1)[刺突]ダメージ。目標がクリーチャーなら、それは難易度11の【筋力】セーヴィング・スローに成功しなければ伏せ状態になる。

結末

レフメークの隠れ家からは、ドラウ造りの毒がいくつか残っている。彼はこれを密輸していたのだ。

シャイルが無事に帰ってきた場合、ヤークは涙して喜び、キャラクターたちに個人的な礼として50gpを持ってくる。

落書き事件を解決した場合、エリムからねぎらいの言葉がかけられる。その裏にあったレフメークの密輸事件も解決したなら、報奨金として1人あたり20gpが授与される。

この記事はOpen Game Licenseに基づいて作成されている。Open Game Licenseに該当するのは、クリーチャーやアイテムの名前やステータスなどである。この記事の他の箇所は個人的な使用を除き、いかなる形式でも許可なく複製することはできない。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]
§ かいうーす (2021年04月05日 20:02)

「2.情報収集」の文末が「有名な酔いどれゾンビ亭などだ。これはキャラクターたちが知っていて構わない。 <br> <br>他の」…で尻切れトンボとなっています。

§ ぱらでぃん (2021年04月10日 19:04)

「他の」を消したつもりで消し忘れてたみたいですぅ。