2012年06月02日 たとえ星運と地上の文明ならびにその状況とが一致することがあっても、それにはかならず現実的な力が働いている。 編集
§ [DnD][4e][Dungeon] Dungeon203号(Dungeon Issue #203)
目次
編集部より:錨をあげろ!(Editorial: Anchors Aweigh!)
航海するキャンペーンを始める? それならアストラル海を往くキャンペーンはどうだろう?
ザラーキスのわしづかみ(Grasp of Thalarkis)
そよ風のルコス船長は恐るべきクラーケンのザラーキスを倒したと思った。彼はなんという勘違いをしてしまったのだろう。13~15レベルのキャラクター向けD&Dアドベンチャー。
異端狩り(Hunt for the Heretic)
エーテルの異端者はアストラル海を放浪し、財宝探索者や商人の後をつけている。しかし、狩人が獲物になるこの時間はもうたくさんだ。14~16レベルのキャラクター向けD&Dアドベンチャー。
外洋での冒険(Jeff Morgenroth)
地べたを這いずり回るだけがD&Dではない。ここでは君が冒険者をダンジョンから出し、血沸き肉踊る外洋の冒険を与えるいくつかのやり方が挙げられている。
怪物誌:アストラル海の危険(Bestiary: Perils of the Astral Sea)
定命の世界と神々の領界の間には殺戮するアリークス、ギスヤンキのアンチ・パラディン、そして他の次元界の脅威が闊歩する――英雄たちの戦場――アストラル海がある。
古代の芸術(Art of the Ancients)
ここでは帝国の宝物庫、忘れられた地下室、荒れ果てた修道院、そして海底の難破船に満載された多くの驚くべき芸術品の数々を紹介する。
今月はDungeonでも自然世界の海からアストラル海まで、幅広い海の冒険を扱っているですぅ。
2013年06月02日 しかし、ちょっとショッキングな書き方かもしれないが、“ロールプレイ”はロールプレイング・ゲームの存在する理由ではなく、ロールプレイング・ゲームを可能にするための道具である。 編集
§ [Liber] テア・ベックマン『ジーンズの少年十字軍』
父親の友人からタイムマシンの実験に志願して現代から十三世紀へ転送されたドルフ・ヴェーハは、少年十字軍の行列に巻き込まれ現代へ戻る機会を逃し、仕方なくルドルフ・ヴェーハ・フォン・アムステルフェーンを名乗って彼らの旅に加わることになる……という導入の小説ですぅ。
ドルフは八千人からなる少年十字軍を恐れて近くの街が城門を閉ざしたため、放浪学生のレオナルドと一緒に彼らと野営することを余儀なくされ、そこでまったく統率されておらず病人や小さい子がどんどん脱落していく様子を見てしまい、複雑な思いを抱きながらも彼らと同行することを決意するですぅ。
この少年十字軍は羊飼いのニコラースと彼に従う修道士を指導者に、貴族の子弟、騎士の息子たち、自由民の子、農奴の子や浮浪児たちとさまざまな境遇の参加者がいて、彼らの中に社会の縮図が投影される構図になってますぅ。
少年十字軍と行動することになったドルフは現代の思想や知識を武器に困難へ立ち向かうことになるけど、これもせいぜい身分より才能で人材を配置する、疫病は病原菌が媒介することを知っている、旅行好きな両親とヨーロッパの各地を旅していた程度で、やりすぎて嫌味を感じさせない程度に抑えているのが巧みなところですぅ。そしてもちろん高度な知識や技術は持っていないため、肝心なところで人を救えないやるせなさもあるですぅ。
こうしたタイムトラベル定番の要素も楽しいけど、この小説最大の凄みは、行進から脱落していく子たちを背負ったりレオナルドのロバに乗せて助けようとし、息絶えた子を埋葬するドルフの様子をつぶさに描写する序盤から、疫病が蔓延して日に数十人単位の死者が出始めると日々の数値になってしまった死者と埋葬の様子が繰り返され、アルプス越えに至ってはもはや死者の数を数えることすら放棄されていくことで、ドルフ越しに読者すら死や中世人の死生観に慣れさせてしまうところにあるですぅ。
さまざまな事件でドルフは現代と比べて驚くほど軽い人の命や価値観、倫理観の違いに戸惑うけど、著者はあくまでもそれらを淡々と記述し、中世のそれらが現代と比べて遅れている、劣っていると安易に断じないところも逆に読者を慣れさせていく効果的な技法になってますぅ。こうした突き放した視点だからこそ、人々の規範たろうとする貴族としての魅力や威厳、責任感を備えたカロルスやヒルデ、農奴出身で強かなペーター、篤い信仰を持つ博愛の人ではあるけれど老獪なタデウス修道士、皮肉屋だけれど正義感の強いレオナルド、今の境遇から逃れるために旅を始めたマリーケなど、できる限りで自らが思った最善の行ないをしようとする中世の人々がより魅力的に感じられるようになっているですぅ。
病魔を克服し、盗賊騎士たちと戦い、アルプスを越えてイタリア半島へと入る頃の少年十字軍は困難との戦い方を覚えたアウトロウに変わっていき、その目的も自分が何者かになるための旅路となり、それぞれが到達する旅の終わりとドルフの思いを絡めることで、少年十字軍の旅を一面的な悲劇で終わらせはせずに少年少女の成長へ繋げていく非常に完成度の高い物語になっていて、読後は爽やかな気持ちになれること請け合いの小説ですぅ。
最後になるけど、実在した人物が歴史に残した事跡のきっかけを作ったり、歴史を改変しつつ結局は史実の通りにつじつまを合わせてしまう要素もこの作品はとてもすっきりと料理していて、そういう部分でもお奨めの逸品ですぅ。
2014年06月02日 編集
§ [DnD][5e][LnL] 『ちょっとした要約(A Quick Recap)』
もう6月だなんて信じられない。ここ数週間で私たちはいくつかの計画について幕を開き、ダンジョンズ&ドラゴンズ次の6ヶ月間についてお膳立てをしてきた。その目玉はこれらだ。
- 『暴虐の悪竜(Tyranny of Dragons)』は会話型RPG、MMOの『Neverwinter』、そしてWizKidsから発売されるD&D公式ミニチュアとゲームにまたがるクロスオーバーしたキャンペーン最初のシリーズだ。
- ダンジョンズ&ドラゴンズ第5版は7月に『D&D Starter Set』が店舗を襲う。『Player's Handbook』はGen Conが開かれる8月に合わせられ、『Monster Manual』は9月にうなりを上げ、そして『Dungeon Master's Guide』が11月に発売される。
- 『ベーシックD&D』はwww.dungeonsanddragons.comから無料のPDFとして利用できる完全なRPGだ。『Starter Set』と同時に公開され、君がコア・クラス(ウィザード、クレリック、ファイター、ローグ)と種族(エルフ、ドワーフ、ハーフリング、ヒューマン)を使った20レベルまでのキャラクターを作成するためのすべてが含まれている。『Player's Handbook』が発売されれば、『ベーシックD&D』はモンスター、財宝、そしてDMがキャンペーンを作成してゲームを運用するために必要なルールを含んだものに拡大される。
- 第5版のさまざまなものをみんなが出版して共有するためのプログラムも計画しているが、すべてを告知するのは今年の秋まで保留させてもらう。私たちは2015年の早いうちにこのプログラムを始めようしている。
既に多くのものが進行中で――さらに、君は以下のことも知っておける。
- これから数ヶ月間、このコラムは発売を控えた製品の内容を事前に知らせることに集中する。まずは『D&D Starter Set』について、来週から始める。
- 6月13日から15日まで、ロドニー・トンプソンと私はオハイオ州コロンバスのOrigins Game Fairに参加する。私たちのセミナやD&Dプレイ会場に立ち寄り、声をかけてほしい。私たちは6月16日に『伝説と伝承』のコラムでそれを要約して素敵な発表をしよう。それは驚天動地のものではないが、それにもかかわらず、私は興奮している。
現在やっていることの話をすれば、私たちの時間は『Player's Handbook』と――『暴虐の悪竜』最初のエピソード――『Hoard of the Dragon Queen』の仕上げに費やされている。この記事が公開される6月2日、『Hoard』は印刷所へ送られる。『Player's Handbook』は6月9日に入稿だ。こうして最後にこれら両方の製品の最終稿を眺めるのは感動的だ。
上記の製品に加え、私は今週『Dungeon Master's Guide』と長い時間を過ごしていた。クリス・パーキンスは『Monster Manual』を形にするため悪戦苦闘し、その本は現在グラフィック・デザインの段階にある。それに新しい『DM's Screen』のレイアウトも見せてもらったが、私の(明らかな欲目で)見たところ、それも素晴らしいものだった。
さて、これらが私たちが2014年6月2日現在立っているところだ。発売日はとても遠く離れているようだが、私たちの〆切は時間を早く過ぎ去らせようとする。7月はあっという間に来てくれるとはいかないようだ。
マイク・ミアルス
マイク・ミアルスはD&Dリサーチ&デザイン・チームのシニア・マネージャだ。彼はD&D第5版のデザインを主導している。彼が他に名前を出している仕事は『キャッスル・レイヴンロフト』ボードゲーム、第4版『モンスター・マニュアル3』、そして第3版『プレイヤーズ・ハンドブック2』だ。