ネコぶんこ


2012年06月07日 ある学問における一つの問題を理解するという点では、学問に精通した人でも初心者でも、まったく学問の知識をもたない人でもすぐれた学者でも、みな同じである。 [長年日記]

§ [DnD][4e] 2011年09月04日『イド、そして伝説へ』

エスペランザ(エラドリンのメイジ10):力術をよくする秘術使い。トリガーハッピー。プレイヤは荒原の賢者氏。

グスタフ・トラップ(ヒューマンのシーフ10):速くて痛い弓使い。装甲は心許ない。プレイヤは森聖氏。

セヴン(ドワーフのウォーロード10):斧を偏愛するドワーフ。死狂い。プレイヤは隠者氏。

イド(ハーフエルフのパラディン10):騎士。ブレーキにならないcompanion。主人公。

山奥の遺跡で“風の王”降臨を阻止したパーティが八日間かけてカーレリアの近くへ戻ってくると、武装したオークやノール、トロルの一団が道を占拠していた。

トロルが先行したところをオークが横から殴り、弓兵のノールが狙撃する統制の取れた攻撃でパーティは時間をかなり消耗するが、彼らを撃退することには成功した。だが、下山を急いだ冒険者たちがふもとで見たものは、今にもカーレリアに向かって攻撃を開始しそうなオークの軍勢だった。

軍勢の中を駆けるのは困難とみたパーティはグスタフの先行偵察とエスペランザの知識を頼りに、カーレリアの陣までたどり着いた。そこで志願兵を指揮しているカッパーフィールドに話を聞くと、パーティが山に行っている間に突如オークがカーレリアに集結してきたのだという。

カーレリア勢の調査によると、オーク軍は秘密兵器を擁しておりカーレリアを見下ろせる南西の丘にある陣でそれを準備しているらしい。前線では小競り合いが続く膠着状態なので、パーティが動いて事態を打開することが期待されている。
「前線に飛び込むなら弓兵隊による弾幕くらいは援護してやる。ただし指示出さんと適当だ」
「信用できないなあ」
「雑魚沢山相手にするより秘密兵器の破壊工作かな」
「その後大将首取って退路確保だな」

かくして、パーティは前線での小競り合いを無視し、南西の丘にある秘密兵器を目指した。またもこっそり近づいてみると、そこでは数十フィートはある巨大な山車の上に火炎放射器が取り付けられた攻城用ジャガーノートが組み立てられていた。
「いいこと考えた。乗っ取ろう」

丘の陣が直接攻撃されることを想定していなかったのかオークの警備は薄く、吶喊したセヴンがTakedown Strikeジャガーノートを横倒しにしてしまうなど大立ち回りを演じた末、グスタフがジャガーノートの中に入って中の敵も一掃し、制御装置を奪い取った。
「さて、どうする」
「どうせ大将殺して帰るんだ。せいぜい派手な花火になってもらうさ」

数分後、オーク軍の本陣は蜂の巣をつついたような騒ぎになっていた。カーレリアへの突撃指令を待つだけだったジャガーノートが友軍に向かって暴走し、進路上のオークを次々と挽肉へと変えていっているのだ。

オークの大将ゾドグは背中を厭な汗が伝うのに気づきながらも、ある冒険者たちの噂を思い出し、声をからして部下に激を飛ばしていた。
「かような手を使うとは……敵はあの街にこれありと名高き勇士たちに違いあるまい。命を粗末にするな、ここは俺が抑える! 戦えぬ者は退け!」

雑兵をいくら出しても無駄である。ジャガーノートを奪われた以上、作戦を再検討する必要もある。冒険者と拮抗できる部隊以外の消耗は避け、次の戦いへ備えさせる。その間に己と精鋭の戦士たちが殿となり、冒険者を押さえつつ撤退する。

武勇を旨とするオークにとっては屈辱の決断だが、これだけの部隊を率いるゾドグはそれを呑み込める器を持っていた。

伝令を飛ばしたところで、阿鼻叫喚の様子はゾドグの陣にも及んできた。天幕はなぎ倒され、旗指物は炎に巻かれる。その屍山血河を悠然と歩いてくるのは、氷の笑みを浮かべたエラドリンの青年。
「これが何かわかるか?」

彼は共通語でそう言うと、手のひらに小箱を出す。

もちろん、ゾドグには判っていた。
「そうだよ。あれの制御装置だ」

死ね。余人には理解し難いが、おそらく満面の笑みなのだろう表情でエラドリンが叫び、ボタンを押す。ジャガーノートはゾドグの同胞ごと大爆発を起こし、四散した。

もはやゾドグの許に残った仲間は、長年戦ってきた一族でも指折りの戦士六人、ノールとオーガの傭兵一人づつしかいない。だが、退くわけにもいかなかった。ここで彼が逃げれば、この軍勢はごっそりと減ることになる。再起には時間がかかることになるだろう。

西の大荒野に彼並みの族長はまだ多くいる。東への夢は、彼らに。

それに、ここまでしてやられた以上、ゾドグにも誇りがあった。オークの将は鬨を挙げて冒険者の前に立ちはだかる。それに応えたのは、矢と剣と斧、そして視界のすべてを覆い、足を凍りつかせる嵐

その二十秒にも満たない戦いが、ゾドグがこの世界で味わった最期の戦いだった。

この日プレイしたのは以前紹介した「技能チャレンジ『平原での合戦』」を使って行なった戦場ものシナリオですぅ。

途中プレイヤ側からの提案でかなりアドリブ処理をしたけど、最初に枠組み決めていたから楽だったですぅ。