2012年08月18日 ああ、レナードさん、ぼくらはみんな、どうしてこうも厄介なことになってしまったんだろう。 [長年日記]
§ [DnD][4e] 2012年08月05日(無題)
アゼリ・アダナ(ロングトゥース・シフターのガーディアン/ウォーデン/ホーンド・チャンピオン19):。いろいろなことをして周囲の味方を護る自然の戦士。ケモ要員。プレイヤはアシタカ氏。
エスペランザ(エラドリンのスカラー/メイジ/ブララニ・ウィンターソウル19):冷気を支配する力をより研ぎ澄ました秘術使い。トリガーハッピー。プレイヤは荒原の賢者氏。
グスタフ・トラップ(ヒューマンのグルームロート・エミッサリー/シーフ/パラゴン・シーフ19):速くて痛い弓使い。装甲は心許ない。バックスタブ人生。プレイヤは森聖氏。
セヴン(ドワーフのマーセナリー/ウォーロード/キャプテン・オヴ・フォーチュン19):斧を偏愛するドワーフ。死狂い。キャプテンにしてジェネラルなのでまぎらわしい。プレイヤは隠者氏。
宇宙海賊退治から十一日が経ち、アゼリも加えた四人はエラドリンの島で骨休めをしながら今後のことを話し合っていた。
主な議題は彼らが使っている戦利品の船は大気圏突入機能がないので、帰りは商人に頼んで降下船で後日カーレリアに送り届けてもらうか、次元移動機能を使ってエラドリンの島が熱源として使っている使っている火の次元界へのポータルを使うか。そのどちらを選ぶかである。
結局、特に急ぐ用事もないしプレイナー・ポータルの印形を増やすために物見遊山も兼ね、パーティは船で次元界を移動し、地上へとたどり着いた。
冒険者たちは街で騒がれないように離れた場所に出てきたが、かれらがまず目にしたのはカーレリアに発生している異変、城の上空で回転する青白い炎の柱だった。エスペランザがそれを分析すると、それはエンジェルが変身した姿だった。どうせ何をやっているか知れたものではないカッパーフィールドがやらかしたのかと、彼らは船を“名無し”に任せ、街に戻った。
街に戻り城に向かうと、そこには途方に暮れたカッパーフィールドがいた。
「この街。いや、お前たちの実力なら物質界でも有数の腕利きだろう? ちょっと話がある」
「きくだけなら」
カッパーフィールドに連れられて城の一室に通されると、くだんの天使が人型に戻って彼らが訪れるのを待っていた。
「単刀直入に話そう。現在この地方では、大規模な“門”の開門を凌駕する規模の次元震動が観測されている。」
「すると、“風の王”の?」
「いや、あれならこれまでの観測記録から特定ができている。別の原因だ」
「で?」
「定命の子よ、神々は“物質界の現状を維持する”ことを最優先課題としている。もし他次元界よりの侵略、侵食が看過できなくなった場合、少数を捨てることもやむなし。と裁定を下す可能性もある。ということを知ってほしい」
事実、カーレリアも位置する大荒野にはかつて別の国が栄えていた。しかし、神々は物質界を侵す存在を放逐するため、自らのもので足りない力をこの地で補ったのだ。
「具体的は3e版『不浄なる暗黒の書』の生贄ルールっぽいもので大荒野を今みたいな土地にして、得られた経験点をEpic Spellの構成要素につっこんで物質界に迫る“何か”を撃退したと思っていただきたいDEATHゥ」
「ひどい」
「そういう時代だったんDEATHゥ。仕方のないことだったんDEATHゥ」
「もちろん、神々もそれを望んでおられるわけではない。処断を行なうにしても、知性ある者たちにはお告げを下されるだろうし、他の生命についてもあたう限りの努力は行なう」
「それは聞き捨てならんですよ」
エンジェルは話を続けるが、エスペランザの説明を聞いたアゼリが遮る。彼ら自然の守護者はたとえ悪ではない神々が行なう、世界をより“よく”することでも自然に対する過大な介入をよしとしない。
「無論、事前に次元震動が止められるようならそれが最良だ。だから、信仰の戦士たちにクエストを下してこの件に関する調査を進めさせている。そして、君たちには特に頼みたいのだ」
この大荒野がふたたび神の手によって命を絶やされぬように。
四人はエンジェルの依頼を受けた。もちろん、諸費用は彼らとカッパーフィールド持ちである。
まずは彼らが地上を離れていたうちにあっためぼしい事件の分析だったが、これはすぐに終わった。ほんの二日前、エンジェルがカーレリアに降臨したその日に、かつてパーティが助けたこともある遺跡調査を生業としているウィザードのベリオス率いる調査団が荒野の遺跡で遭難し、大きな被害を受けていたのだ。
べりオスは冒険者がほとんど荒らし終えた大荒野の遺跡を調査するために数十人の調査団を組んで現地入りしていたが、調査中に遺跡が崩落して調査隊に怪我人と行方不明者を出した。何らかの怪物である可能性もあるため、このことをポータルで数人の助手がカーレリアへ報告しに戻っていた。
遺跡には整備されたポータル用の印形はあるが、ベリオスのレシディウムには限りがあり、全員撤退するだけの量はない。そのため、ベリオスたちは安全が確認されている遺跡の外れまで退避し、もっとも戦闘能力の高いベリオスと傭兵が護衛しながらカーレリア側の返事を待っているという状況である。
時間も符合するので何か封印を解除してしまったんじゃないかと踏んだパーティは、歩きで十数日、空飛ぶ船でも三日はかかりそうな時間を惜しんでリンクト・ポータルで遺跡へ向かった。
遺跡はだだっ広い荒野のただなかに点在する、煉瓦造りの建物群だった。ベリオスは若干驚いたが恩人の冒険者たちには協力的で、調査と護衛のために雇った冒険者ふたりが神殿の遺跡で床の崩落に巻き込まれ、そのまま瓦礫の下敷きになったようだと話した。
現場を確認するとボロボロになっていた床の底が抜けて深い大穴が口を開けた上に床や土砂が流れ込み、ベリオスが怪物や二次被害を恐れて作業を中断させたのも理解できないではない状況になっていた。
だが、身軽に下へ降りたグスタフは簡単に壁の隠し扉を発見し、全員で潜入した。すると、そこは細い通路になっていて、先には男が倒れていた。彼の名はランツ。グスタフと同業のローグだが、特定の組織に所属していない男で、金次第では金属竜殺しも引き受けるというほど仕事を選ばない男らしい。英雄級後半くらいの実力を公言しているが、強さを測ってみるとパーティと同じくらいの実力があるようだった。
彼を助け起こして事情を訊くと、崩落に巻き込まれた時死に物狂いでもがいていたらこの空間に入ったものの、化け物がうようよしていたので死んだふりをしていたと謂った。
謂っていることとやっていることがかなり怪しい。しかし通路の奥にはダイアモンドストーム・リーパー(『The Plane Above』)など土と風の元素が暴走した結果の怪物がいるのは事実だったので、パーティはランツも戦闘に参加するよう要求し、それらとの戦いに入る。
だが、ランツは戦闘開始早々に身を隠してそのままエスペランザを斬りに行く。しかしそれは出目1で外れ、早々にウォール・オヴ・アイスで怪物がいるほうの通路を分断したエスペランザから反撃に猛攻を受け、ランツはほうほうのていで逃げようとするがフロストバーンのダメージでその場に倒れ、ドッペルゲンガーの正体を現わしたのだった。
怪物のほうも処分してランツを尋問すると、彼はたびたび仕事を持ってくる仕事仲間で自称バードのレイアから今回の仕事を請けていた。その内容は、レイアと組んで遺跡の調査隊に参加し、仕掛けをわざと起動させて崩落事故を装ってこの横穴に入り、もし後続で誰か来たなら怪物たちが足止めをしている間に仕留めろ。というものだった。
ランツはレイアという女の素性を詮索したことはなかったが、蟲のような怪物を使役していた上、通路にいた怪物を手なずけてもいたので、いずれただ者ではないことは推測していた。しかし、何度か組んだが金払いは確実だったらしい。
話を聞いたらパーティはランツに二度とカーレリアに近づかないことを約束させ、身包み剥がして外へ追い出した。運がよければ生き残るだろう。
一方横穴の先は、元素の力が非常に乱れていた。土と風の元素が異常に活性化し、通路はどんどん風化して穴が広がっている。パーティは慎重に進むが、パープル・ワームに感づかれ、通路を迷わないように進みつつ、地面の震動を乱したり秘術で餌の匂いを偽装するなどしてやり過ごし、最深部へと到達した。
通路の最深部では道をふさぐように別の次元界が侵食してきており、そこを中心に洞窟が崩れて広い空間を作成していた。そしてそこでは、レイアらしき女性が豪奢な身なりをした土の元素を統べる貴族のダオを口説いていた。
「王子のご英断感謝いたします。王様は慎重なようでしたが宮殿を物質界に移動させたなら、その軍勢で定命の者をねじ伏せることなど簡単です。大丈夫、あなたならできますわ」
「そうだ、そうだな。父上は慎重すぎるのだうへへへへ」
「明らかに利用されてるぞお前」
「ちょうどいいところに定命の者たちが来たようです。さあ、彼らを倒して一番手柄としましょう」
「そうだなうへへへへ」
「ドラクエのミニチュアからトロルを使ってみたのはいいけど、明らかに知能が落ちてるDEATHゥ」
明らかにレイアから食い物にされているように見えるダオの王子だが、それなりに実力はある。それを警戒したアゼリから多重で状態異常を仕掛けられて立ち上がりは遅れたものの、配下のシルト・サイクロンやアース・ランブラー・アルコンも王子に協力してパーティを分断しかけるが、ダメージで押し負けてシルト・サイクロンが破壊されたところで主導権を奪われ、集中攻撃を受けた王子は倒れた。
一方、レイアはその戦いを一歩引いた場所で傍観しながらインドウィリング・デヴィル(『The Plane Above』)を放ってくる。しかし、インドウィリング・デヴィルの寄生と支配の特性を警戒したパーティが一気に潰しにかかり、その小さなデヴィルは真価を発揮することなく潰された。
そしてパーティはレイアも追い詰めるが、上位のデヴィルが戦場に介入して逃げられてしまった。
戦闘にひと段落ついたのでエスペランザは次元界の障壁が崩れ、侵食されている部分の調査を行なったが芳しい結果は出なかった。だが、セヴンが様子を見ると向こう側にあるダオの宮殿と物質界の他に、その融合を後押しするような力がどこかから流れ込んで来ていることがわかった。
アゼリが情報流の中をたゆたう大量の偽情報を選り分けて〈知覚〉で本命を見つけ、グスタフが〈盗賊〉の業でそれを引き出し、エスペランザが〈魔法学〉を活かしてそれを解析する一方で、セヴンが〈持久力〉を活かして情報流に飛び込み生身で情報を選別した。その結果、パーティはこの次元侵食にデヴィルたちが悪徳を取り引きしている“ささやきの市場”という次元界から強力な介入が行なわれていることを知った。
ささやきの市場で使われている通貨は、多元宇宙でさまざまな者たちが発する負の感情である。レイアは今回の収益と計画全体の見込み益を買われ、上位のデヴィルが回収したのだろうと、エスペランザは推測した。
「ダオと物質界の住民だけでなく、物質界の住民と神々にも対立構造を作れるからな」
さて、問題は次元侵食の処理である。向こう側の次元界を支配するダオの王と交渉して戻してもらうか、ささやきの市場からの介入を止めれば何とかなる。
「さて問題です。俺たちの中で〈交渉〉できる人」
「そういうのはスタイルじゃない」
「できない」
「ぶっ殺すほうが性に合ってる」
「船もあるし、行きますか」
というわけで、デヴィル蠢くささやきの市場へ赴くことが二秒で決定された。