ネコぶんこ


2014年04月02日 [長年日記]

§ [Liber][Ludus] 『基本FAQ:マイケル・ムアコックとケイオシアムはどんな問題を抱えていた?(FAQ: What issues did Michael Moorcock have with Chaosium?)』

There are two sides to every dispute; the answer given here reflects Mike Moorcock's position; it may not entirely agree with Chaosium's version.

FAQ: What issues did Michael Moorcock have with Chaosium? - Moorcock's Miscellany

あらゆる論争にはふたつの陣営がある。ここで示される答えは、マイケル・ムアコックの立場を反映したものだ。それはケイオシアムの言い分と完全にかみ合わないかもしれない。

80年代初頭(?)、ケイオシアムとTSRの両方は彼らのロールプレイング・ゲームにエルリック・サーガのルールを導入する許可を得るため、マイクに接触していた。当時のRPGは多分に“趣味的”で、マイクは両社に彼のキャラクターを使う許可を無料で与えて満足するようなものだったが、ゲイリー・ガイギャックスの証言[脚注1]によれば、マイクの代理人は彼のその認識を知らずにケイオシアムにエルリック関連小説の権利契約を行なった。ケイオシアムはエルリックのゲームについて唯一の権利を持つと解釈し、(ムアコックによれば[脚注2])TSRに著作権侵害の疑いがあると申し出た。結局、両社はTSRがメルニボネの神話を『Deities and Demigods』のルールブックで使うためにケイオシアムの認証を得るという形で合意した。しかし、(TSRの大株主)ブライアン・ブルームはTSRのゲームが競合他社に利益を与えることに反対し、増刷分のルールブックからはメルニボネの神話を削除させた。[脚注3](皮肉にも、その神話自体が削除された後も認証はルールブックに残った。)

だがマイクのケイオシアムへの不満は、彼らが彼との契約の履行を渋ったと解釈したことで高まった。つまり、彼のキャラクターを使った新製品についての事前の通告、使用料の不払いと製品自体の品質への不満である。[脚注4]

議論は数年間に渡ったが、2007年、エルリック(そしてマイクの他のキャラクター)の権利はマイクとよりよい関係にあるイギリスのゲーム会社、Mongoose Publishingに委譲されることで決着をみた。

議論についての詳しい情報は、以下のスレッドを参照してほしい。(警告:その一部はあまり上品なものではない。)

ソース:

脚注1

以下引用:

ゲイリー・ガイギャックスの投稿:

(ブライアン・ブルームが)クトゥルフとメルニボネの神話を『Dieties and Demigods』から外したとき、私は抗議した。メルニボネ関係が外されたのは彼が単純に他の会社が関係したものを使いたくないからだった。「私はケイオシアムのものを使いたくない」と彼は言った。私たちはマイケル・ムアコックからの許可を得ていたのにだ。むろん、彼のあずかり知らぬところで、彼の代理人は書籍に関する権利をケイオシアムに与えたが、私はマイケルからの手紙を持っていて、私は本当に好きだったから長い間無料でマイケルのものを使っていた。彼は私に1994年のDragonConで読者数を倍にしたと感謝してくれた。

http://www.quartertothree.com/game-t...6&postcount=80

脚注2

以下引用:

マイケル・ムアコックの投稿:

私はTSRとケイオシアムの両社に私のキャラクターを使う許可を出した。その頃それは大きなビジネスではなかった。そしてケイオシアムはTSRに(たとえ両社に平等な権利があるとしても)訴訟をちらつかせ、私は突然何が起こったかほとんどわからなかったが、ケイオシアムはゲームの権利を“所有”していた。それ以来ずっと彼らはボードとカードゲームを管理していた。私は彼らが提示したり出版するものについて満足ではないが、ほとんどの文章について問題はない、しかし、現在の彼らは出版前に見本を示さないことにより、契約の条件を破っている。

脚注3

以下引用:

ゲイリー・ガイギャックスの投稿:

小説からふたつの創作パンテオンを引用するにあたり、著作権使用料は発生しなかった。私はマイケル・ムアコックから小説の宣伝をするために無料でメルニボネ・パンテオンを使えるという内容の手紙を持っていた。エルリック関係の権利をマイケルの代理人から取得したなら(ケイオシアムは)、不満だった。私は私たちも彼らのゲームを紹介し、彼も私たちの書籍について同様のことをすると同意した。ブライアン(・ブルーム、TSRの大株主)はどんな他のゲーム会社と関係することも反対したので、彼は『DEITIES & DEMIGODS』の該当する章の除去を個人的に要求してきた。

脚注4

以下引用:

マイケル・ムアコックの投稿:

私はとてもとても長い間、ケイオシアムから権利報告書を受け取っていたが、それがなくなった。彼らは私のキャラクターの名前が使われている本を出版しても、献本を送る礼儀すら欠いていた。

数年前に彼らは別の会社が出版しようとしていたカードゲームの権利を買った。そのカードゲームは出版されず、彼らは私に支払いを行なわない理由としてこれを使ったが、故意にカードゲームとRPGを混同しているように感じられた。私の代理人が権利報告書や使用料の支払いを求めた試みのすべては、混乱や沈黙で応じられた。

他のコメント

以下引用:

マイケル・ムアコックの投稿

以前も書いたが、産業になるという考えが私の中であまり重要ではなかったときに、私はD&Dとケイオシアムの両者に権利を許可した。今の私が介入できるなら、キャラクターをおおむねにおいてよい形で利用してくれたD&Dに権利を与えたい。

以下引用:

マイケル・ムアコックの投稿

私とケイオシアムの問題は関心の不足ではなく――『Silverheart』でゲーム一本分を執筆したが――私が彼らと仕事をしたときはいつも、目標を変えた人たちへの不満がつのっている……さまざまな理由で彼らは私の創作を、私にそれらを自由にできると知らせず、そして私に同意することを望み、どうとでも自由にできると思っているようだ。私はそういう議論をよく知っている。

マイケル・ムアコック氏のサイト『Moorcock's Miscellany』にあるRPGの権利関係顛末をまとめたFAQの翻訳ですぅ。

よくいえばおおらかだった当事の雰囲気を感じてしまうですぅ。