2016年03月08日 [長年日記]
§ [DnD][5e] 『2016年3月のレビュウ(March 2016 Review)』
Unearthed Arcana
2ヶ月ごとにUnearthed Arcanaの一部として、マイクとクリスがDungeon Masters Guildの最新製品と、その中でも特によいところを選び、レビュウをしていく。
D&Dデザイン・チームが君のゲームのために新素材を出す機会であるほうのUnearthed Arcanaは今月、休みをもらう。そのかわりに、Dungeon Masters Guildに現われたもっとも興味深くて楽しめる新たな製品の一部を見ていこう。
DMs Guildを知らない君に説明すると、フォーゴトン・レルムのための新製品を含み、君が作ったD&D作品を投稿して売ることのできるウェブサイトだ。私たちはこのサイトへの圧倒的な反応を既に観測し、コミュニティがどうなるか見ていくのを待ちきれないでいる。
この記事はUnearthed Arcanaの新たな記事群の第一弾だ。今月から始まり、1ヶ月ごとに継続して私たちはGuildに飛び込んでお気に入りの製品をいくつか取り上げていく。さらに、必要に応じてこれらの製品を将来の調査の一部として、その必要があるなら、私たちはその作者とともに公式のD&Dコンテンツとして将来の製品に含めるための作業をする。
前置きは充分だろう。さあ、見ていこう!
BLOOD MAGIC
『Blood Magic』、ジョシュア・ライネックによるデザイン、Alea Publishing Group刊行。
ゲームの中に小休憩で回復するためにヒット・ダイスを使う考えを導入してから、私たちはヒット・ダイスの他の使い道をプレイヤーに与えないように注意してきた。そのデザインの方向はプレイヤーが後々ヒット・ポイントが不足することを犠牲にして成功を手に入れ、1回の戦いでヒット・ダイスを燃え尽きさせる危惧から行なわれた。
『Blood Magic』はヒット・ダイスをキャラクターの資源として使うアイデアに飛び込み、楽しさを呼び起こしている。7分割されたこのPDFは、術者が力のために命の精髄を捧げる取引――鮮血魔法――を提供する。秘術の学派、鮮血魔法(Blood Magic)、魔力の起源、王の血(King's Blood)は、鮮血魔法を君のキャンペーンへ導入するために与えられる。
これらのメカニクスはウィザードかソーサラーのキャラクタの気味悪さやおどろおどろしさを際立たせる――『Curse of Strahd』のアドベンチャーを行なっているグループにはうってつけだ。鮮血魔法の学派のウィザードはヒット・ダイスを消費して自分自身に傷を与えることができる。その見返りに彼らはブラッド・ポイントを得て、守りを堅くし、生きているクリーチャーを発見し、そして呪文に追加の[精神]ダメージを追加できるようになる。王の血の起源を持つソーサラーは倒れた敵の命の火花を捕らえ、倒したクリーチャーの種別にもとづいた利益を得ることができる。たとえば、ドラゴンを殺したキャラクターはセーヴィング・スローに有利を得て、エレメンタルを倒した場合はACにボーナスを得る。
新しい魔法のアイテム4種類の包みを開いて詳しく解説すると消費したヒット・ダイスを回復させるポーション・オヴ・クルオル、装備した者が負傷した敵にとどめを刺すよう強要するカースド・サンギン・ブレードがある。
『Blood Magic』が私の目を引いたのは雰囲気とメカニクスの融合だ。それはキャンペーンの主題となる要素を抽出し、異なるキャラクター・クラスの新しいオプションとしてそれを表現するよい例である。
BOOK OF BEASTS: DEMON DEPOSITORY
『Book of Beasts』、ジョナサン・リーセウッサーによるデザイン
デーモンを愛していない人がいて? 『Out of the Abyss』キャンペーンに向かったプレイヤー以外の誰もが、いくつかの新たな混沌のフィーンドを彼らのキャンペーンに加えることを愛している。『Book of Beasts』は昔のデーモンを何種かアップデートし、彼らを『Out of the Abyss』などのアビスの縁で行なうキャンペーンの理想的な資源にする。
この一冊ではブラッド・デーモン、ブレザウ、ファイアー・デーモン、モー・デーモン、ラターキン、そしてサイオン・オヴ・ザグトモイにステータスを与えている。私の個人的なお気に入りはモー・デーモンで、その実装はその勘所を捕らえるいい仕事をしている。脅威度1/2で現われるそれは、デーモンの味方に有利を与えるぱくりと噛みつく顎がもっとも目立つ能力だ。モー・デーモンの小さな群れは強大なデーモンやカルトの完璧な助手になる。
この本のデーモンすべては挿絵にあるような第4版のデザインに似た動きをするが、そのデザインをエレガントに第5版へ持ってきている。君のグループが戦術的な挑戦を愛しているなら、これは君のモンスター一覧を補う大きな一冊になる。
BATTLE FOR THE UNDERCITY
『Battle for the Undercity』、モニカ・バレンティネリー作
すべてのDMはときに即席のアドベンチャーを必要とし、『Battle for the Undercity』は君のゲームに落とし込めることに特化した短篇シナリオ3本が特徴になっている。フォーゴトン・レルムや他のどのD&Dセッティングの都市にも適用させやすく、読み込みを簡単にさせる賢い考えなのもBattle for the Undercityの特徴だ。それは入り組んだ下水道の区画を描き、そこに3つの異なる悪漢の集団を設定した。アドベンチャーはパーティに与えられる3つの異なった任務で、キャラクターはそれぞれ異なる集団と戦うことになる。このやり方の素晴らしいところは、読み込みが簡単なところだ。地図と番号を読み終えることで、君は3つの異なるシナリオをグループで行なうことができる。もちろんそれぞれの派閥は、君のキャンペーンに落ちる影として落とし込めるよう充分に作り込まれている。
都市を拠点にしたキャンペーンを現在行なっているひとりとして、私はこの枠組みが、ぶっつけ本番の材料を準備しておき、簡単に取り出せるすばらしい方法だと発見した。私はこの枠組みが理解されることを願う。それは多くのDMの人生を楽にするから。
著者について
マイク・ミアルスはD&Dリサーチ&デザイン・チームのシニア・マネージャだ。彼はD&D第5版のデザインを主導している。彼が他に名前を出している仕事は『キャッスル・レイヴンロフト』ボードゲーム、第4版『モンスター・マニュアル3』、そして第3版『プレイヤーズ・ハンドブック2』だ。
クリス・リンジーはダンジョンズ&ドラゴンズ・ブランド・チームの一員で、まるで扉も窓もない暗い部屋で群れる猫のように、製品開発を担当している。