2018年05月31日 [長年日記]
§ [DnD][5e] 『新たなDMのための戦闘遭遇作成法(A New DM's Guide For Building Combat Encounters)』
2018年04月13日
これは新人ダンジョン・マスターが素晴らしいD&Dのゲームを行なうのに役立つシリーズ記事の6回目である。以前の記事では仲間を見つける(未訳)、最初の冒険をやってみよう(未訳)、君の即興技能を伸ばす方法、使えそうな道具(未訳)、そして卓でモンスターを表現するオプション(未訳)を紹介してきた。
この記事ではD&Dのゲームをやる中でもっとも挑戦的な側面を持つ、戦闘遭遇の構築についてを掘り下げていく。
この記事で行なう戦闘遭遇の構築の要約はこうだ。
- 物語、状況、そしてキャラクターの行動から遭遇を作っていこう。事前に遭遇を“戦闘”、“ロールプレイ”、“探検”として定義する必要はない。私たちは状況を準備するだけで、プレイヤーにそれらと接する方法を決断させねばならない。
- 状況を与えられて意味を持つモンスターの種別と数を選ぶこと。時に、これらは洞窟の入口にいる眠たがっている衛兵2人かもしれない。別の時、それは無傷のホブゴブリン戦団かもしれない。シーンに対して異なる向かい方をするために、キャラクターに始まりを与えよう。
- 予想外に致命的な遭遇を警戒しよう。モンスターの脅威度とキャラクター・レベルの間にあるゆるやかな関係性を理解しよう。多くのモンスターより、より少ないモンスターのほうが一般的に簡単だと思い出そう。もし君が不慣れなら、『Xanathar's Guide to Everything』の表のような道具を使おう。特に、1レベル・キャラクターには親切にしよう。彼らは本当にもろい。
- ゲームの間、必要に応じて遭遇を調整しよう。ヒットダイスの範囲内でヒット・ポイントを変更しよう。ダメージを高くしたり低くしたりしよう。モンスターを出し入れしよう。
- 遭遇の要素を新鮮にするためごちゃごちゃにしてしまおう。興味深い地形や魔法的特徴を加えよう。簡単で困難な混成した遭遇をキャラクターに投げかけよう。モンスターの波を使おう。
この記事ではこれらのすべてを掘り下げていく。
物語から遭遇を作ろう
ダンジョンズ&ドラゴンズはシーンを3種類の異なるゲームプレイ、NPCとの交流とロールプレイング、探検、そして戦闘と分類している。D&Dの方言では、これら分類されたシーンのすべては“遭遇”だと考えられる。
どんなシーンも事前にロールプレイのシーン、探検のシーン、あるいは戦闘のシーンと定義する必要はない。そのかわり、私たちは状況を準備し、それにどうあたるかプレイヤーに選ばせることができる。おそらく、彼らはゴブリンのかしらであるバグベアを直接攻撃するだろう。おそらく、彼らはこいつらに取引をもちかけるだろう。おそらく、彼らはゴミ捨て穴の上に隠れ、バグベアの計画を聞き出そうとするだろう。私たちはプレイヤーが遭遇に飛び込むときにどんな選択をするか、必ずしも知っているわけではないし、知っていることが楽しみを半分にするわけでもない。
ゲームをロールプレイの遭遇、探検の遭遇、そして戦闘の遭遇のいくつかに細分化することは一般的だが、それらの分類は横に置いて、単に状況を作ることを考えよう。これらの状況はキャラクターが関係できる興味深いものを持っているが、彼らがどのようにそれと相互作用するかは未知数だ。そう、一部のシーンは傾きに指向性がつく。ゴブリンの群れがフレンドリー・ファーミング・ファミリーズ(FFFs)でいっぱいの馬車を攻撃するとき、岩の調査に行くプレイヤー・キャラクターはいないだろう。しかし、私たちDMは多くの場合単純に舞台だけを設定し、プレイヤーにシーンの範囲内で行動してもらうことができる。それはD&Dの楽しみの大きな部分である。
状況に合わせたモンスターを選ぼう
以前も話したように、物語と状況がそこでどんな遭遇が行なわれるかを制御する。モンスターを選ぶときにもまったく同じことがいえる。状況に合ったモンスターを選ぼう。現実的に考えるとホブゴブリンの幕屋には25体のホブゴブリンと50体のゴブリンがいるかもしれない。彼ら全体がすぐにキャラクターに突撃はしないかもしれないが、それが幕屋の規模だ。ホブゴブリンの斥候隊1つは6体のホブゴブリンと1体の隊長からなっているかもしれない。1つの戦闘部隊は、20体のゴブリン、12体のホブゴブリン、ホブゴブリンの隊長2体、そしてホブゴブリンの大将1体からなっているかもしれない。
この幕屋とキャラクターのバランスを取ろうとしてはいけない。キャラクターに関係なく、これが幕屋の、斥候隊の、そして戦闘部隊の規模だ。小さな斥候隊と取引するか、戦闘部隊に接近するかを決断するのはキャラクター次第だ。
ときに、キャラクターは古いドワーフの像を調査する2体のホブゴブリンに出くわすかもしれない。別のとき、キャラクターは2ダースのホブゴブリンと傷を持つワーグを駆る2体の隊長から圧倒されていることに気づくかもしれない。物語が遭遇を制御するのだ。
致死の遭遇を計算する
多くのDMは遭遇がどれくらい難しいかについての漠然とした考えを求めている。17レベル・キャラクターの一団がフェイルーンでこの幕屋と正面衝突してもたいした問題はないが、4レベル・キャラクターの戦闘部隊全員とぶつかったら即死しかねない。
遭遇が戦闘の方を向く前に、私たちが大雑把な潜在的難易度を把握しておくことはそれを助けてくれる。それは不意の全滅(TPK)となる前に、状況を組み立て、プレイヤーに他のオプションを提示することを手伝ってくれる。遭遇の難易度を理解するにはこつを理解する必要があるし、新人DMには難しい問題を引き起こすこともある。新人DMがキャラクターをあまりに硬すぎ、たやすくキャラクターを殺すことができるモンスターに挑ませてしまうのが、もっとも一般的なものだ。
偶然の全滅はD&Dの他のどのレベルよりも、1レベルで非常に起こりやすい。18レベル・キャラクターの一団とティアマトの戦いがひどいと思う誰もが、1レベル・キャラクターがあまりに多くのラットの群れと戦うとどうなるかを気づかなかった。
1レベル・キャラクターにはもっとも優しくあれ。君が彼らをどれだけ壊れやすいと考えても、彼らはもっと壊れやすい。もし君が何体かのモンスターを1レベル・キャラクターに差し向けたいなら、脅威度が1/4以下のモンスターを、キャラクター数より少ない(およそ2キャラクターあたり1体)ように選ぼう。脅威度1/2のならず者2、3人すら、1レベル・キャラクターに床を舐めさせることができる。これらの貧しく若い冒険者には親切にして、そして君には19レベル以上に与える甘美な痛みがある。
『ダンジョン・マスターズ・ガイド』には、さまざまな難易度で遭遇を構築するための詳細な指針がある。これらはウィザーズ・オブ・ザ・コーストがモンスターをデザインし、戦闘遭遇のバランスを取るために使うガイドラインだ。私は、君がこれらのガイドラインを無視するように提案する。それらはあまりに複雑で、時間がかかりすぎ、どのみち使えそうな結果を与えてくれない。
D&Dのデザイナでありルール・セージのジェレミー・クロフォードがこれらのルールの詳細に踏み込み、そして説明したDragon Talkの素晴らしい回では、その主な目的が遭遇の“バランス”を取るものではないが、特にそれが致死である場合、DMが戦闘遭遇の難易度を測るのを助けるようになっていると解説した。『ダンジョン・マスターズ・ガイド』の数学はこの大まかな目安を与えられるが、他のより簡単な方法のいくつかでもそうすることができる。私は遭遇が致死かどうか決めることに対する3つの異なる方法を提供するので、君は一番好きな方法を選んでよい。これらの方法すべては根底に『ダンジョン・マスターズ・ガイド』と同じ数学を使っているが、より簡単だ。
第1に、『Xanathar's Guide to Everything』にはとても改善された遭遇難易度を決定するためのガイドラインと表が収録されている。遭遇のバランスを経験点予算、難易度、そしてモンスターの数で計算する代わりに『Xanathar's Guide』には、あるキャラクター・レベルとモンスターの脅威度を比較し、それにつり合う数のモンスターを調べられる一覧表がついている。
第2には、私が君に、遭遇が死地かどうかの大まかな計算ができるようにする、いくつかの経験則をお教えする。これを覚えておけばいくらか役に立つが、君の頭で強く結線されていれば、君は遭遇の難易度を決定するために他のいかなる道具や表も必要としない。この方法では、モンスターの脅威度をキャラクター・レベルと比較する。
脅威度をキャラクター・レベルと比較する
重要なのはモンスターの脅威度が何を示しているか理解することだ。『モンスター・マニュアル』によれば、キャラクター4人の一団は、キャラクターのレベルに等しい脅威度のモンスターを倒せなければならない。かように、2レベル・キャラクターの一団は脅威度2のオーガを倒せなければならない。
『ダンジョン・マスターズ・ガイド』で使われている遭遇作成のための数学を逆算していくと、脅威度とキャラクター・レベルにあるいくつかの関係性を理解できる。これらの比較は死地ではなく、接戦となる戦いを演出する。
その脅威度がキャラクター・レベルの1/4なら、1体のモンスターはおよそキャラクター1体に等しい強さだ。上記のようにキャラクターが4レベルの場合、それは1/2だ。
その脅威度がキャラクター・レベルの1/2なら、1体のモンスターはおよそキャラクター2体に等しい強さだ。上記のようにキャラクターが4レベルの場合、それは3/4だ。
その脅威度がキャラクター・レベルの1/10なら、2体のモンスターはおよそキャラクター1体に等しい強さだ。上記のようにキャラクターが4レベルの場合、それは1/4だ。
助けになるかもしれない小さな表がここにある。最初の列は脅威度とキャラクター・レベルの比だ。2つめの列は、キャラクターの人数に比較したモンスターの数だ。
キャラクター・レベル1から4 | |||||
---|---|---|---|---|---|
脅威度/キャラクター・レベル | × | 1/10 | 1/4 | 1/2 | 1 |
モンスターの数:キャラクターの数 | 4:1 | 2:1 | 1:1 | 1:2 | 1:4 |
キャラクター・レベル5から20 | |||||
脅威度/キャラクター・レベル | 1/10 | 1/4 | 1/2 | 3/4 | 5/4 |
モンスターの数:キャラクターの数 | 4:1 | 2:1 | 1:1 | 1:2 | 1:4 |
これらの計算を上回るあらゆる遭遇は、モンスターの数とモンスターの脅威度をキャラクターのレベルと比較したものとして、潜在的に死地である。
しかし、このシステムは君に戦いがどう進行するのか、完全に正確な予想を与えるものではない。戦闘遭遇の難易度にはあまりに多くの変数が絡む。これらの変数にはキャラクターが既に遭遇してこなした戦いの数、キャラクターが持っている呪文、キャラクターが持っている魔法のアイテム、彼らが戦っている環境、そしてもちろん、ダイスの出目、プレイヤーの経験、キャラクター・クラスの連携が含まれる。
このように、君が遭遇難易度を理解する助けにするために使おうと決めたいかなるガイドラインも、完全に正確ではない。そのかわり、君はアドベンチャーやキャンペーンの間、さまざまな種類の戦いに対するキャラクターを公正に見て、自分の手で裁定しなければならない。ときに、君は戦闘をより簡単にしたり軽減する必要がある。他のとき、君はキャラクターに挑戦するためにモンスターの数を増やす必要がある。
D&Dで戦闘を行なってより多くの経験を君のものにすれば、そしてキャラクターの能力をより理解するほど、キャラクターが何をでき、それに応じて何を調整するかを見越すことがより簡単になる。
飛びながらその場で遭遇難易度を調整する
DMたちの間には、汚い秘密がある。彼らは皆、ずるをしている嘘つきだ。しかし、私たちはずると嘘をゲームの面白さとプレイヤーの楽しみのために使う。たとえば、戦闘の趨勢次第でモンスターのヒット・ポイントを変えることができる。戦いが厳しくなってきたり、単純に困難な場合、モンスターが持つヒット・ポイントを減らすことができる。キャラクターがあまりにたやすくモンスターを刻んでいるなら、脅威を増すためにそれを増やすこともできる。モンスターのヒット・ダイスの範囲でヒット・ポイントを変える限り、私たちは技術的にずるをしていない。
たとえば、オーガは平均59のヒット・ポイントを持ち、そのヒット・ダイスは7d10+21だ。このように、どんなオーガでも26から91のヒット・ポイントを持ちうる。より大きく凶暴なら90ヒット・ポイントがあるかもしれないが、より弱いものは40だけかもしれない。事前にこれらの変更をする必要はない。私たちはゲームの盛り上がった勢いを維持するために戦闘の間、彼らのヒット・ポイントを変えることができる。
モンスターのダメージを微調整することもできる。ヒット・ポイントのように、私たちには平均値のダメージとダメージ計算式が与えられている。必要ならモンスターの与えるダメージをそのダイス幅の最大値まで増やし、ルールの範囲内にいることができる。同様に、モンスターが予想より多くのダメージを負わせているとわかるなら、ヒットをより少なくするかもしれない。
最後に、戦いを調整するためにモンスターを出し入れする。占有が攻撃されている音を聞いたとき、6体以上のホブゴブリンなら飛び込んでくるだろう。2体のホブゴブリンは助けを求めるために逃げるか、第三者によって取り乱してしまうだろう。
これら3つの技術すべては、もしもの事態が起きたときに戦いの難易度を変更するつまみを私たちに与えてくれる。私たちはおよそこうすることを望んでいないが、うまくいっていなかったり、ゲームの楽しさが落ちているなら、オプションはそこにある。
興味深い地形や魔法的特徴を加える
平原にいる6体のホブゴブリンは興味深くもない。4体のホブゴブリンと彼らが乗る4体のワーグが古代ドワーフの大拱門の周辺で野営をしているなら、特にその大拱門に不思議の力が渦巻いているなら、それはより興味を引く。
冒険のシーンを作成するとき、興味深い地形や魔法的特徴を入れることで歯ごたえを増すことができる。『ダンジョン・マスターズ・ガイド』の第5章にある2つの表、記念碑と奇妙な場所は、私たちが戦闘遭遇の中に魔法的特徴を織り込むインスピレーションとして使える。『ダンジョン・マスターズ・ガイド』の付録Aにも、ダンジョンの特徴のために類似した表がある。これらを書き込むことは、プレイヤーに戦いをより動的で刺激的にするためにこれらの特徴を戦闘でどう使うか考えさせることができる。
このような特徴は、シーンの中に調査と神秘の要素を加えてくれる。
いい遭遇を作るための結論
言い遭遇を作るのは、即興のような技術で、それはより多くのものをよくしてくれる。その技能は私たちが生きている間伸ばすことができるものだ。いくつかの一般的なガイドラインを頭に入れ、シーンからシーンで実践することで、うまくいくこと、そうしないこと、将来試したいことを学んでいける。
著者について
マイク・シアはライター、技術者、ダンジョン・マスター、そしてウェブサイト『Sly Flourish』の運営者だ。マイクはフリーランスとしてウィザーズ・オブ・ザ・コースト、Kobold Press、Pelgaane Press、そしてSasquach Gamesで働き、『Lazy Dungeon Master』、『Sly Flourish's Fantastic Locations』、そして『Sly Flourish's Fantastic Adventures』を執筆している。マイクはバージニア州北部に彼の妻ミシェルと、彼らのダイアワーグ、ジェブと一緒に住んでいる。