2011年11月04日 何時間が過ぎただろうか、この一団はずっとゲームをつづけ、笑い、語り合い――いつの間にかカーテンの隙間から朝日が差し込んで、徹夜明けで目がチカチカしていることにさえ気づかなかった。 [長年日記]
§ [DnD][4e] Brian R. James、他『Monster Vault: Threats to the Nentir Vale』
『Monster Vault: Threats to the Nentir Vale』は、『モンスター・マニュアル』のようにモンスタのデータを集めた本ですぅ。
ただ、このサプリメントは“ネンティア谷へ迫る脅威(Threats to the Nentir Vale)”という副題の通り、『ダンジョン・マスターズ・ガイド』で紹介されたネンティア谷に割拠する勢力の構成員、世界を裏から操るドラゴンや魔法使いなどに焦点を絞り、彼らの目的や他勢力との関係なども含めて解説する形になっているので、ワールドガイドやシナリオソースとしてもより使いやすい物になっているですぅ。
判型は通常のルールブックと同じサイズのソフトカヴァで、ケースにはモンスタのトークンとポスターマップが同梱されているですぅ。収録されているモンスタのデータは1レベルから20レベルが182種類で、英雄級、伝説級向けですぅ。
冒頭ではネンティア谷の詳しい説明が載っていて、かの地がネラス帝国最北端の植民地として開拓されて二百年ほどかけて発展し、ネラス帝国の衰退期だった約一世紀前に血槍族(Clan Bloodspear)のオーク軍団が谷に攻め込んだ血槍戦争(Bloodspear War)により大きく衰退したという簡単な歴史も明らかになってるですぅ。現在のネンティア谷は血槍戦争から復興しようとしている途上で、冒険者がひと旗揚げるにふさわしい土地ということも強調されてますぅ。
もちろんモンスタの項目としてもClan Bloodspearは用意されていて、データと一緒に自分をグルームシュの妃と称している新族長“オークの女王”マスーガ(Msuga, the Orc Queen)、女王とは双子の姉妹で、実は彼女が真の黒幕だとも噂される“血の魔女”ローカ(Rohka, the Blood Witch)という幹部の情報や、初代族長が自分の倒したアイアン・ドラゴンの角から魔剣を鍛えた逸話など、シナリオのアイデアになりそうな伝説が紹介されてますぅ。
今まで再録されていなかったBoggleやAbyssal Plague Demonのような新規モンスタがいるのはもちろんのことながら、D&D Encountersで使われたPhantom Brigadeが収録されているのも心憎いですぅ。
データもさすがにこなれていて、遭遇が面白くなるものが多いですぅ。中でも私のお気に入りは、ネンティア谷へアルコシア帝国の遺産を探しに来ているドラゴンボーンのディーザン軍団(Dythan's Legion)が復活させたアルコシアの攻城塔(Arkhosian Siege Tower)ですぅ。これは“生ける建造物”(Living Building)という特徴を持っていて、乗り物のように人を乗せて進軍したり、上に射手を乗せてやぐらとして使ったりもできるですぅ。もちろん中に乗り込むための方法も書かれているので、PCが逆に乗り込み、中で暴れたり乗っ取ったりする方向にも話を膨らませられる面白いものになっているですぅ。