ネコぶんこ


2012年08月15日 この写真では、ぼくらは古臭く見えるのかもしれないが、カンペキに見えるのも確かなのだ。 [長年日記]

§ [DnD][4e][Liber] アリ・マーメルスコット・フィッツジェラルド・グレイ恐怖の墓所

恐怖の墓所』は、これまでもさまざまなサプリメントやシナリオにその影がちらついていた悪役、デミリッチのアサーラックにまつわるダンジョン・シナリオ集ですぅ。

収録されているのはひとつの連続したキャンペーンではなく、推奨レベルが10、14、17、22レベルのシナリオで、お互い強く関係しているわけではないのでそれぞれ単体のシナリオとしてもプレイできますぅ。

四本のシナリオはいずれも数回のセッションでひとつのダンジョンを踏破するものになっていて、プレイヤの楽しみと悲鳴が絶えないようそれぞれにさまざまな趣向が凝らされ、雰囲気を伝えるための図版類も豊富に準備されているですぅ。

シナリオ集全体の雰囲気はPCがアサーラック作のダンジョンに挑む内容に徹底していて、それ以外の場所や組織の情報がほとんど存在しないのがかえって特徴になっているですぅ。

これと奥底に世界を憎む少年だった頃の心を秘めたまま強大な力を手に入れ、コラムでなぜ踏破の可能性があるダンジョンに重要なものを隠すのか問われれば「僕は君たちに可能性を与えたんだ。君たちの頭は僕をぎゃふんと言わせるほど上等じゃないだろうけどね!」と嘯くアサーラックの人物像を併せると、このシナリオ集が何者も介さない彼とPCの戦いに他ならないことが浮かび上がってくるですぅ。

シナリオのギミックは何を書いてもネタバレになりそうだから怖いけど、モンスタや罠以外でも次元界の特徴などであの手この手のリスクを仕込み、それでいてそれがPCの能力を極端に削ぐものでないのは流石で、DMなら参考になる部分は多いですぅ。

また、ところどころには謎かけの詩やパズルなどもあるので、これは和訳されて凄く助かる部分ですぅ。

収録されているモンスタのダメージは『モンスター・マニュアル3』での再定義前だから、ダイスひとつ分くらい上乗せしてもいいかもしれないですぅ。

今回の『恐怖の墓所』を続篇シナリオとして見た場合、ガイギャックスが『Tomb of Horrors』で“最高の困難を克服したことをプレイヤが自慢できる”ように書いたシナリオの系譜としては、推奨より2レベル下げた難易度エクストリームの存在や、4eのフレンドリィさを維持しつつ底意地の悪い罠や仕掛けで、みんなが遊べるけど“自慢するための”プレイもできるあたりに着地していると感じたですぅ。

設定面でも『Return to the Tomb of Horrors』からさまざまな設定を拾ってそれらの今を描いているのは、なかなか心憎い演出ですぅ。

単純に遭遇の分量を見れば数回のセッションで一区切りつく程度のシナリオ四本なので、そんなに長い時間をキャンペーンに費やせない人や、オンラインでのプレイにも向いていると思うですぅ。