ネコぶんこ


2014年08月16日 [長年日記]

§ [TRR][Oni] リプレイ『鬼の話~オープニングフェイズ:シーン2』

オープニングフェイズ:シーン2・人助けの仕事(三日月)

「……時空破綻ポイントに到達して、すでに三ヶ月……一向に村雨丸の手がかりもつかめぬまま……私はいったい何をやっている……」

化政時代への転送、潜伏は上首尾だったが、そこから先の探索で三日月は一向に成果を挙げられていなかった。たまに故郷から送られてくる報告も事実を打開するようなものはなく、ただ焦燥のみが募っていく。

「入りやすよ?」

その思考を払ったのは、軒先からかかった股旅姿の男の声。丈という拝み屋で、脛に傷もつ者たちの間ではちょっと顔が利く。彼女も勝手がわからぬこの時代の江戸に潜伏するため、色々と力を借りていた。

三日月:「……なんだ、丈さんですか。」

GM/丈:「今日は三日月の姉さんに、手すきならぜひ頼みたいことがありやして」

三日月:手すき、と言う言葉に軽く落ち込みつつ。「……いったいなんです? ニセ坊主とニセ神主は御免ですよ」

GM/丈:「今日はそんな仕事じゃありゃせん。陰ながら人を護る仕事ってやつですよ。まあ、話だけでもどうです」

三日月:「……お話、聞かせていただきましょうか」日銭が足りぬとあれば背に腹は代えられない。

GM/丈:「さる筋から頼まれた話でね。裏店にご婦人がひとり住んでらっしゃる。表立って何かしてやるってわけにはいかねえが、何もしないのも不義理……そういう話ですよ」

三日月:「さる筋……ってのは詮索しちゃいけないんでしょうね……でもまぁ、悪事に手を染めるってのでも無さそうですし、もう少し詳しく聞かせて下さい」

GM/丈:「へい。そのご婦人が誰かに狙われてる。だから、人知れず見張って何かあれば知らせてくれっていう話でさあ」

三日月:「穏やかじゃありませんね……でも、何故私に? あなたの手下にやらせるような仕事でしょう?」

GM/丈:「それがね。ご婦人の家の近くを山猿みてえな大男がうろついてるらしくって、無宿どもがビビっちまいまして」

三日月:山猿みたいな大男……? 妖異?「……続けて」

GM/丈:「出かけてる間はともかく、家の近くで見張りをするのは出来るお人に頼むしかねえかなと。三日月の姉さんなら綺麗所だし、警戒されることもあるめえ……こういう筋書きでして」

三日月:「できるお人で綺麗どころ…ねぇ。相変わらず人を乗せるのがお上手ですね、丈さんは」

GM/丈:「いえいえ、本当のことですよ。とりあえず請けるってんなら、食い扶持込みで金は出ますぜ」

三日月:「まぁ……このままじゃ三日もしないうちに夜泣き蕎麦も食べられなくなるところだった。渡りに船というのかしら? 請けますよ、その仕事」

「じゃ、詳しい手筈は道々」

丈はすうと立ち上がると、三日月に仕事の話をしながら見張り所まで案内した。

先方が安心するまでお倫の身辺を見張り、異変があればつなぎに連絡すること、彼女の仕事中には別の見張りがつくので持ち場を離れていてもよいこと、仕事中の食事なども依頼人持ち……それらを耳に入れながら、三日月は懐からこの時代には存在しないはずの樹脂で作られた小箱を取り出す。

(お倫さん……ねぇ。この人の存在を守った場合の世界線収束予想図は……と)

それは正しき未来への道標たる技術の結晶、タイムレシーバー。事象乱流予測システム“宿星”がメッセージを発してきたのだ。

(……この仕事、受けて正解だったみたいね。村雨丸に近づいたのかもしれない)

GM:タイムレシーバーから【宿星:お倫に気を配る】がアウトプットされます。