2014年10月29日 [長年日記]
§ [TRR][Oni] リプレイ『鬼の話~エンディングフェイズ:シーン15』
エンディングフェイズ:シーン15・世はなべて……?(三日月)
「結局、この任務でも村雨丸への手がかりは見つからなかったわね……」
三日月は長屋で疲れを癒しつつ、タイムレシーバーを眺めていた。村雨丸の探索状況を示すプログレスバーは少し上がったが、直接の手がかりは掴めていないためまだまだ先は長い。
三日食いつなげるのが十日になっただけ、というエージェントらしくない悩みを頭の中でもてあそんでいると、タイムレシーバーが着信を告げた。その先から発せられるのは、いつも通りの声だった。
「私だ。時空破断に影響を及ぼす歴史の分岐点が解析された。今から座標を転送する」
「……イエス・マム。クレセントムーンです……これは……!」
送られてきた座標、それは今日、この場所だった。
「新撰組だ、御用改めである!」
凄まじい音で戸が蹴り破られ、浅葱色のだんだら羽織を纏って抜き身を振りかぶった“未来”の住人たちが部屋の中へ乱入してくる。
「……なっ! なぜ、新撰組が江戸にいるのよ!」
傷もまだ癒えていない体のまま、三日月は長屋から遁走する。もはやタイムレシーバーにも構っていられない状況であるが、そこからは長官の無慈悲な声が響いていた。
「詳細を君が知ることは、禁則事項に触れるため許されない。独力でこの状況を突破せよ。健闘を祈る」