ネコぶんこ


2012年11月05日 歴史を止めろ。 [長年日記]

§ [DnD][4e][LnL] 『高レベルのプレイ(High-Level Play)』

伝説と伝承

マイク・ミアルス

私たちはD&D Nextをデザインする一環として、ゲームの10レベルを厳しく検討した。大部分の人は高レベルでプレイしない。みんなが新しいキャラクターを試したくなってキャンペーンは自然消滅し、そして伝統的にゲームは新しいレベルへと成長するたびに参照すべきものがどんどん増えて複雑さを増してきた。

わが経験上、デザイナは高レベルのアドベンチャーを書くのが好きではなく、DMもそれらを運営することを好まない。どんなパーティでも成長すれば凄まじいことができるようになり、キャラクターが操るいくつもの呪文、魔法のアイテム、そして特殊能力についていけるDMはほんのわずかだ。

しかし私はそこで思考停止するわけではなく、10レベルで一息入れてからのことをこの記事で書こうとしているのだと思ってもらいたい。そう、私たちはまだ高レベルのプレイについて作業を続けている。高レベルのロールプレイングについて、それをなめらかにできそうなものをいくつか提供することができる。

私たちはまず、ボーナスが直線的に成長する考えから離れた。ファイターの攻撃ボーナスは彼のレベルに等しく、クレリックの場合は彼女のレベルの2/3だとしよう。低レベルだとこの成長はうまく機能するが、高レベルだとすぐに破綻してしまう。現在の数値によるボーナスは低く成長も遅くなっている。

もはやすべてのレベルで君に多くの力を与えることはなくなった。君はほとんどの場合、呪文やクラス特徴を得ることになるだろう。これは術者の場合いくつかの呪文を得て――さらに――ほとんどのキャラクターは5から10程度の何かを10レベルまでに得ることを意味する。10レベル以上になると、君たちがさらに何かの力を得る機会は少なくなる。キャラクターはより単純でプレイが簡単になり、DMはパーティが何をできるのかより短時間で把握できるようにならなければならない。

魔法の話になってしまうが、術者が一日に使える呪文の量をかなり減らしてしまったが、無限回呪文や刻印呪文で退屈しないでほしいと考えている。さらに、君たちがそれを望むときに金貨の心配をすることなく儀式を執行できるような仕組みも作りたい。こうした方向性で儀式はかなり見違えるだろう。たとえば、呪文を準備している間だけ儀式を使えるようにすれば、君はモンスターを一掃する呪文を準備しながら探検や交流を助けることもできる。さらに興味深いことには、この方法は儀式、技能、そして専門分野などに比べるとより強く、実質的な無限回要素をゲームへと導入できる。無限回と回数制限のある呪文のダメージを比較することは簡単だが、戦闘以外のオプションにどれだけ応用できるかについては慎重を要する。

そして、高レベルの“壊れた”能力はそれらの能力が単体でより強力なものになる。キャラクターはより強くあるべきで、クラス特徴や呪文スロットで与えられる力が少ないなら、それらの特殊能力をとても強力にできる余裕が生まれる。プレイヤーがより理解しやすくDMもぱっと見て把握しやすい高レベル・キャラクターを提供できると私たちは約束しよう。

もちろん、高レベルプレイもシステムの骨格の構造をなすもののひとつだ。高レベルプレイの中には何が含まれるだろうか? 私たちが基本的に想定しているものは、高レベルのキャラクターがより低いレベルの頃に行なったものと同種の冒険を行なうことだ。君たちはより強いクリーチャーと戦って異なる次元界を訪れることになるだろうが、まだ冒険は続くのだ。

だが、それはあくまで基本的な想定にすぎない。君たちが20レベルになってもダンジョンで暴れ続けることができるゲームを私たちは作りたい。もし君たちがゲームの変化を望むなら、私たちが偉業システムと呼んでいるオプションを導入することができる。このシステムによって、ローグは盗賊ギルドを設立し、クレリックは神殿を建立し、ファイターは砦と家臣を得て、ウィザードは新たな呪文を開発できるようになる。君たちのキャラクターが世界でどんな地位にあるかをより直接に語り、彼や彼女の遺産を残していくのが偉業システムだ。

この方法はキャラクターが二桁レベルになると家臣と政治権力を持ってそちらの闘争に関わるようになるAD&Dを参考にしたものだ。これらは以下に示す例のようなものだ。神格のセイントに取り立てられる、リッチ化による不死の探求、あるいはアークデヴィルやデーモン・プリンスの物質世界に対する野望と戦うことなどがさまざまな偉業の中には含まれるだろう。偉業は君のキャラクターである彼や彼女が死んで何年も後に語られる昔話や伝説に反映される。

これらを筆頭に、高レベルのプレイで発生する一般的な問題いくつかへの対処を含めたものを私たちは偉業システムと認識している。現在のキャラクターやキャンペーンに少し飽きてきた? キャンペーンの時代を前後させて君の高レベル・キャラクターの弟子や後継者の物語をプレイすればいい。君のファイターがとばりの森の近くに砦を建設するのに3年を費やしたとしよう。建設にあたってゴブリンの部族との小競り合いがあり、君は彼らを森から追い払うために駆け出しの冒険者たちを雇うことにする。かつてはNPCが君たちにクエストを与えていたところだが、現在は君たちの高レベルPCが君たちの新しいキャラクターたちに仕事と冒険を与えるのだ。

ある意味、偉業システムはプレイヤーとDMの立場を似たものに変化させる。キャラクターはもはや世界有数の実力者で、DMがいつも描写しているNPCたちと肩を並べているのだ。このシステムにより、プレイヤーはセッティングをより広く戦略的に認識する。ここでDMは明確にギアを切り替えて新たな挑戦――政敵、経済的な挑戦、より低レベルのキャラクターが適任の厄介事――などを混ぜて提供しつつ、君たちのグループで最初に生まれた強力なキャラクターが立ち向かわなくてはならない世界を揺るがす事件を起こすのだ。

私たちが目指す正しく構築されたシステムは、高レベルのプレイが好きな人たちをより幸せにし、これまで高レベルを避けてきたDMにも面白そうなので試してみようと思わせるものだ。

マイク・ミアルス

マイク・ミアルスはD&Dのリサーチ&デザイン・チームのシニア・マネージャだ。彼はレイヴンロフトのボードゲームやD&D RPGのサプリメント何冊かを手がけている。