ネコぶんこ


2014年03月18日 [長年日記]

§ [Liber] 小川英雄ローマ帝国の神々――光はオリエントより

ローマに信仰が受容されたという共通の視点から、古代オリエントの諸宗教を概説した本ですぅ。

章立てはエジプトやシリア、アナトリアなどローマが征服した地方の神々、ミトラス教、ユダヤ教、キリスト教、グノーシス主義、そして占星術と、有名どころが一通り押さえられてますぅ。また、前史としての古代オリエント文明やヘレニズム文化、ローマ古来の信仰についても解説されているですぅ。

大きなテーマとその流れとしては、前半のさまざまな地方の神々からミトラス教まででさまざまな密儀、そして後半のユダヤ教からの章では哲学と、信仰を裏書きする方法論の変化が書かれている印象を受けたですぅ。

書名通り、諸宗教がローマでどう受容されてどう信仰されたかが眼目になっているので、地元でどう信仰されていたかは比重が小さめだということには気をつけておいたほうがいいですぅ。巻末に参考文献リストはあるので、おのおのを詳しく知りたい方はそれらを参考にするのがよさそうですぅ。