2021年04月17日 [長年日記]
§ [DnD][5e] アドベンチャー:放たれた刃(1~3レベル)
今週の小冒険も少人数用のシティ・アドベンチャーですぅ。
データ系はOGLを使ってるので、そちらの参考にもどうぞですぅ。
また、現在イエローサブマリンさんに第5版用のアドベンチャー集『駆け出し勇者の小冒険』を1650円(税込)にて依託中ですぅ。さくっと遊べるシナリオをお探しの方は是非ですぅ。
冒険の概要
この冒険は1~3レベル程度のキャラクター1~2人向けの短時間で終わるアドベンチャーである。
港町スリカトゥの衛士隊は、近頃町で暗躍していた殺し屋集団、緋色の牙へ手入れを行なった。
しかし、構成員の数名を取り逃がしてしまい、その中でもヒャルツという刺客はこの町を訪れている旅芸人一座の役者、ジョゼの暗殺以来を請けたままである。
義理堅く恨みを忘れない性格のヒャルツは、衛士隊への腹いせとしてより派手な手段でジョゼの命を奪おうと、彼が出演する芝居での暗殺決行を決意している。
キャラクターたちは緋色の牙の継続捜査を命令される。ヒャルツを追い、捕えることができれば冒険は成功となる。
衛士隊についての詳しい情報は、「アドベンチャー:落書き事件(1~3レベル)」を参照すること。
冒険への導入
キャラクターたちが所属する衛士隊はスリカトゥに係留されている難破船のひとつにある、暗殺集団緋色の牙の隠れ家を制圧した。
しかし、所属する刺客の数名が隠れ家から離れており、キャラクターたちはその中のひとり、ヒャルツという男の継続捜査を隊長のエリムに命じられる。
ヒャルツはジョゼの暗殺を捜査が始まった日の夜に行なわれる芝居の舞台で行なおうとしている。捜査開始時からの猶予は10時間である。これはプレイヤーたちに伏せておくこと。
PCが1人の場合、エリムは衛士のシグナーを同行させる。彼は今年17歳になるヒューマンの男性で、武器の訓練も兼ねて衛士に志願している。属性は中立にして善。基本的にキャラクターの考えを尊重するが、悪の行動を取ろうとした場合、ひと言止めに入る。データは衛兵のものを使う。
衛兵
中型・人型生物(任意の種族)、任意の属性
AC:16(チェイン・シャツ、シールド)
hp:11(2d8+2)
移動速度:30フィート
【筋】 | 【敏】 | 【耐】 | 【知】 | 【判】 | 【魅】 |
---|---|---|---|---|---|
13(+1) | 12(+1) | 12(+1) | 10(+0) | 11(+0) | 10(+0) |
技能:〈知覚〉+2
感覚:受動〈知覚〉12
言語:任意の言語1つ(ほとんど共通語)
脅威度:1/8(25XP)
アクション
スピア:近接/遠隔武器攻撃:攻撃+3、間合い5フィートまたは射程30/120フィート、目標1体。ヒット:4(1d6+1)[刺突]ダメージ、あるいは両手持ちでの近接攻撃の場合5(1d8+1)[刺突]ダメージ。
1.継続捜査開始
ヒャルツについては以下のことが既に調査済みである。
緋色の牙の隠れ家にあった押収品によれば、彼はヒューマンの男性で、裏の仕事について一通りの訓練を受けた者である。うぬぼれ屋で何らかの痕跡を残すことを誇りとする人物だ。彼は暗殺の依頼を受け、隠れ家を離れていた。
他の押収された資料はまだ他の衛士たちも解読に手間がかかっている。キャラクターも手伝うなら難易度12の【知力】判定を行なうこと。暗号や隠語が多く含まれているからだ。この判定を1回行なうには1d4時間がかかる。
資料の解読に成功すれば、ヒャルツの目標が、今町を訪れている旅芸人のジョゼ、決行は今日の夜、舞台の最中に殺すよう指定されたものだとわかる。
2.ジョゼを探せ
スリカトゥは交易の町でもあるため、旅芸人なども多くいる。彼らの中からジョゼを探し出すのはなかなかの仕事だ。
ジョゼの居場所を調べるのに必要な難易度は13である。町の出入りの名簿類を洗うなら【知力】、町の人々に話を聞くなら【知力】などが妥当だろう。この判定を1回行なうには1d4時間がかかる。
判定に成功すれば、ジョゼは旅芸人ラスマカス一座におり、一座は町外れの倉庫を宿舎兼練習場として借りていることがわかる。
3.旅芸人ラスマカス一座
これまでの捜査で10時間が経過しているなら、ここでの展開は大きく違うものになる。ヒャルツは暗殺を成功し、ラスマカス一座にはジョゼの遺体が横たえられているのだ。この場合、ヒャルツは市門の外へと逃亡しつつある。難易度20の【判断力】〈生存〉判定に成功すれば、追跡してけりをつけることができる。
ラスマカス一座は座長のラスマカス率いる、芝居と曲芸の旅芸人一座である。ラスマカス(斥候のデータを使用)は鼻の頭が赤い中年のハーフリングの男性で、曲芸を得意としている。
ジョゼ(貴族のデータを使用)は一座の看板女優で、短めに切った薄茶色の髪を持つ中性的なエルフの女性である。
一座には他に役者や裏方が10名ほどいる(一般人のデータを使用)。
ラスマカス氏は事情を話しても、今回の公演は一座の今後を賭けた重要なものだと渋る。
ジョゼは怖いもの知らずゆえ、自分をおとりにしてヒャルツを捕らえるのはどうかとキャラクターたちに提案する。
ジョゼの提案に乗るなら、キャラクターたちはそれぞれ客席で待機するか役者のふりをするのか選ぶこと。役者のふりをするなら、難易度10の【知力】判定で、舞台の賑やかしに出てくる村人の台詞を覚えてもよい。こうした場合、「4.死の舞踏」での【魅力】〈芸能〉判定に有利を得る。
キャラクターたちが他の方法を提案するなら、GMは「4.死の舞踏」にあるヒャルツの行動なども参考にしながら遭遇を組み立ててほしい。
一般人
中型・人型生物(任意の種族)、任意の属性
AC:10
hp:4(1d8)
移動速度:30フィート
【筋】 | 【敏】 | 【耐】 | 【知】 | 【判】 | 【魅】 |
---|---|---|---|---|---|
10(+0) | 10(+0) | 10(+0) | 10(+0) | 10(+0) | 10(+0) |
感覚:受動〈知覚〉10
言語:任意の言語1つ(大抵は共通語)
脅威度:0(10XP)
アクション
クラブ:近接武器攻撃:攻撃+2、間合い5フィート、目標1体。ヒット:2(1d4)[殴打]ダメージ。
貴族
中型・人型生物(任意の種族)、任意の属性
AC:15(ブレストプレート)
hp:9(2d8)
移動速度:30フィート
【筋】 | 【敏】 | 【耐】 | 【知】 | 【判】 | 【魅】 |
---|---|---|---|---|---|
11(+0) | 12(+1) | 11(+0) | 12(+1) | 14(+2) | 16(+3) |
技能:〈看破〉+4、〈芸能〉+5、〈ペテン〉+5
感覚:受動〈知覚〉12
言語:任意の言語2つ
脅威度:1/8(25XP)
アクション
レイピア:近接武器攻撃:攻撃+3、間合い5フィート、目標1体。ヒット:5(1d8+1)[刺突]ダメージ。
リアクション
受け流し:貴族はそれにヒットした1回の近接攻撃に2のACを加算する。そのためには貴族が攻撃者を視認可能で近接武器を使用している必要がある。
斥候
中型・人型生物(任意の種族)、任意の属性
AC:13
hp:16(3d8+3)
移動速度:30フィート
【筋】 | 【敏】 | 【耐】 | 【知】 | 【判】 | 【魅】 |
---|---|---|---|---|---|
11(+0) | 14(+2) | 12(+1) | 11(+0) | 13(+1) | 11(+0) |
技能:〈隠密〉+6、〈自然〉+4、〈生存〉+5、〈知覚〉+5
感覚:受動〈知覚〉15
言語:任意の言語1つ(大抵は共通語)
脅威度:1/2(10XP)
鋭敏聴覚・視覚:斥候は視覚と聴覚を使う【判断力】〈知覚〉判定に有利を得る。
アクション
複数回攻撃:斥候は2回の近接攻撃あるいは2回の遠隔攻撃を行なう。
ショートソード:近接武器攻撃:攻撃+4、間合い5フィート、目標1体。ヒット:5(1d6+2)[刺突]ダメージ。
ロングボウ:遠隔武器攻撃:攻撃+4、射程150/600フィート、目標1体。ヒット:6(1d8+2)[刺突]ダメージ。
4.死の舞踏
捜査開始から10時間後、舞台の幕が上がる。会場はこの町の裕福な商人たちが資金を出し合って作った公会堂で、身なりの良い観客も訪れている。
劇のあらすじはジョゼ演じる漂泊の剣士が盗賊団に狙われた村の用心棒をするというもので、派手な剣戟が見せ場だ。
ヒャルツ(諜報員のデータを使用)は舞台に乱入できる最前列に陣取っており、剣戟の場面に乱入してジョゼを殺害し、最初からの段取りであるかのように逃げ出す計画を立てている。その後はさっさと町を出て行き、この武勇伝を利用して近くの町で仕事をするつもりだ。
戦闘になった場合、キャラクターがターン開始時に難易度10の【魅力】〈芸能〉判定に成功し続ければ、暴漢の乱入ではなくすべては劇の演出だったことにできる。
諜報員
中型・人型生物(任意の種族)、任意の属性
AC:12
hp:27(6d8)
移動速度:30フィート
【筋】 | 【敏】 | 【耐】 | 【知】 | 【判】 | 【魅】 |
---|---|---|---|---|---|
10(+0) | 15(+2) | 10(+0) | 12(+1) | 14(+2) | 16(+3) |
技能:〈隠密〉+4、〈看破〉+4、〈説得〉+5、〈捜査〉+5、〈知覚〉+6、〈手先の早業〉+4、〈ペテン〉+5
感覚:受動〈知覚〉16
言語:任意の言語2つ
脅威度:1(200XP)
急所攻撃(1回/ターン):目標に有利を得た、あるいは目標が無力状態にない諜報員の味方から5フィート以内にいる場合、攻撃ロールで目標に武器攻撃がヒットしたなら、諜報員は追加で7(2d6)ダメージを与える。
狡知のアクション:これのすべてのターン、諜報員はボーナス・アクションとして疾走、離脱、あるいは隠れ身アクションを取れる。
アクション
複数回攻撃:斥候は2回の近接攻撃を行なう。
ショートソード:近接武器攻撃:攻撃+4、間合い5フィート、目標1体。ヒット:5(1d6+2)[刺突]ダメージ。
ハンド・クロスボウ:遠隔武器攻撃:攻撃+4、射程30/150フィート、目標1体。ヒット:5(1d6+2)[刺突]ダメージ。
結末
ヒャルツを倒したなら、衛士としての任務は成功だ。彼から事情を聞き出せば、依頼主はラスマカスの成功を妬んだ同業者だとわかる。
ジョゼの殺害を阻止したならジョゼとラスマカスから大変感謝され、30gpの礼金をもらえる。舞台での戦闘中に【魅力】〈芸能〉判定を成功させた場合、迫真の舞台は大評判となる。キャラクターたちはラスマカスから役者にならないかと声をかけられる。
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